かへ)” の例文
かへりの遅きを母の親案じて尋ねに来てくれたをば時機しほに家へは戻つたれど、母も物いはず父親てておやも無言に、れ一人私をばしかる物もなく
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
サア、みな水兵ものどもた/\、大佐閣下たいさかくかのおかへりだよ、それに、めづらしい賓人おきやくさんと、可愛かあいらしい少年せうねんとが御坐ござつた、はや御挨拶ごあいさつまうせ/\。
先年蒲原郡の内或家あるいへにて井をほりしに、其夜医師いし来りて井を掘し㕝をきゝ、家にかへる時挑灯てうちんを井の中へ入れそのあかしにて井を見て立さりしに
かへりのおそきをはゝおやあんしてたづねにてくれたをば時機しほうちへはもどつたれど、はゝものいはず父親てゝおや無言むごんに、一人ひとりわたしをばしかものもなく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
○さるほどにつまいへにかへりに火をたきたて、あたゝかなるものくはせんとさま/″\にしつらへ待居まちゐたりしに、時うつれどもかへりきたらず。
この深山しんざんすこしばかり迂回うくわいしてかへつたとて、左程さほどおそくもなるまい、またきわめて趣味しゆみあることだらうとかんがへたので、わたくし發議はつぎした。
毎日こゝかしこの木を心のまゝにきりとりてたきゞにつくり、小屋のほとりにあまたつみおき、心にるほどにいたればそのまゝにつみおきて家にかへる。
一日いちにちすみやかに日本につぽんかへりたいのは山々やま/\だが、前後ぜんご事情じじやうさつすると、いま此人このひとむかつて、其樣そん我儘わがまゝはれぬのである。
お力の中座をしたるに不興ぶきようしてやかましかりし折から、店口にておやおかへりかの声を聞くより、客を置ざりに中坐するといふ法があるか、皈つたらば此処へ来い
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女はさら也、男も十人に七人はこれ也。しかれどもすめみやことて、繁花はんくわの江戸に奉公する事としありてのち雪国の故郷ふるさとかへる者、これも又十人にして七人也。
馬鹿らしい氣違じみた、我身ながら分らぬ、もう/\かへりませうとて横町の闇をば出はなれて夜店の並ぶにぎやかなる小路を氣まぎらしにとぶら/\歩るけば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
馬鹿らしい気違じみた、我身ながら分らぬ、もうもうかへりませうとて横町の闇をば出はなれて夜店の並ぶにぎやかなる小路こうぢを気まぎらしにとぶらぶら歩るけば
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すはやとて両人衣服をぬぎすて水に飛入りおよぎよりて光る物をさぐりみるに、くゝり枕ほどなる石なり、これを取得とりえて家にかへり、まづかまどもとおきしに光り一室いつしつてらせり。
馬鹿ばからしい氣違きちがひじみた、我身わがみながらわからぬ、もう/\かへりませうとて横町よこちようやみをばはなれて夜店よみせならぶにぎやかなる小路こうぢまぎらしにとぶら/\るけば
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
越後より江戸へかへる時高田の城下をとほりしが、こゝは北越第一の市会しくわいなり。商工しやうこうのきをならべ百物そなはらざることなし。両側一里余ひさし下つゞきたるその中をゆくこと、甚意快いくわいなりき。
店口にておやおかへりかの聲を聞くより、客を置ざりに中座するといふ法があるか、皈つたらば此處へ來い、顏を見ねば承知せぬぞと威張たてるを聞流しに二階の座敷へ結城を連れあげて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
下座敷したざしきはいまだにきやくさわぎはげしく、おりき中座ちうざをしたるに不興ぶきようしてやかましかりしおりから、店口みせぐちにておやおかへりかのこゑくより、きやくおきざりに中坐ちうざするといふはうがあるか、かへつたらば此處こゝ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)