りょう)” の例文
英国南西部の海岸で年々にとれる魚の総数を漁夫の数に割り当てて統計してみると、漁夫一人のりょうする数が年によって著しくちがう。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それで、漁師りょうしは、時分じぶんはからって、このしまってはりょうをします。れるときにはおどろくほど、れることもありました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
漁夫たちは口を食物で頬張ほおばらせながら、きのうのりょうのありさまや、きょうの予想やらをいかにも地味な口調で語り合っている。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
何事もなく事済ことずみになるに違いない、これが殿様へ生涯の恩返し、しかし何うかして明日みょうにち主人をりょうにやりたくないから、一応は御意見をして見ようと
家の裏手に真二郎のやっている罐詰かんづめ工場があった。工場と言っても小規模のもので、りょうのない冬は休んでいる。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
「ああこの雨を孕んでやがったんで二、三日りょうがまずかったんだな。それとも赤潮あかしおでもさしていたのかナ。」
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
平助は正覚坊の背中をでながら、さてその始末しまつに困りました。家に置いておけば、自分がりょうに出た不在中るすに、村のいたずら小僧こぞうどもからどんな目にあわされるかわかりません。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
漁師りょうしか、そうでなくっても楽みにりょうをするもの、もしくは網をすくことを商売としておるもの、と言ったようなものが、灯火ともしびの下に背をかがめてその網をすいておると秋風が吹いて来て
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
「だって今朝けさの新聞に今年は北の方のりょうはたいへんよかったと書いてあったよ」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あるのこと、いくそうかのふねは、いつものごとくあお波間なみまかんで、りょうをしていたのです。すると、天気てんきがにわかにかわって、ひどい暴風ぼうふうとなりました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
君の父上のかりそめの風邪かぜがなおって、しばらくぶりでいっしょにりょうに出て、夕方になって家に帰って来てから、一家がむつまじくちゃぶ台のまわりを囲んで
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ことにりょうが少ない時なんかは、少しばかりの酒を前にして、しおれ返ってしまいました。
正覚坊 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
就きまして只今では高輪たかなわ八ツ山の前におりょうなどに往らしった時分、お馴染の船宿の二階を借りて居らっしゃいまして、御帰参のお支度にかゝって居りますが、故郷へは錦を飾れの比喩たとえゆえ
「ああだけどねえ、お父さんはりょうへ出ていないかもしれない」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「もう、氷山ひょうざんもこなくなった。うみうえは、おだやかだから、りょうかけよう。」というので、三にん漁師りょうしは、あるのこと、ふねって、おきほうへこいでゆきました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
りょう人々ひとびとは、なみのおとうさんの銀色ぎんいろのふえをにとって、ふしぎそうにながめるのでした。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、むかしのことでした。この海岸かいがんちかまち人々ひとびとは、ふねって、おきりょうをしていました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あわれなむすめあには、こうしたさむにも、生活せいかつのために、おきりょうをしていました。ちらちらと、よこなぐりに、ゆきは、なみうえちると、たちまちえてしまいました。
海のまぼろし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうぞ、これからまちるのをらしてください。」と、おんなはいって、毎日まいにち毎晩まいばんはたりました。そして、もう、ふゆとなってりょうのできなくなった一たすけました。
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それが、きこえることもあれば、またきこえぬこともあります。ふえのきこえたつぎのは、ふねおきしても、りょうがないということです。」と、宿やどひとは、こたえました。
海と少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは二年前ねんまえに、うみりょうかけたきりかえってきませんでした。その当座とうざ、たいへんにうみれて、難船なんせんおおかったといいますから、きっと父親ちちおやも、そのなかはいっているのだろうとかなしみなげきました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
難船なんせんでない。りょうがないというんだぜ。」
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)