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淺黒
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あさぐろ
其處へ
風呂敷を
肱なりに
引挾んだ、
色の
淺黒い、
目に
張のある、きりゝとした
顏の、
鬢を
引緊めて、おたばこ
盆はまた
珍しい。……
『
僕ですか、
僕は』と
言ひ
澱んだ
男は
年の
頃二十七八、
面長な
顏は
淺黒く、
鼻下に
濃き八
字髭あり、
人々の
洋服なるに
引違へて
羽織袴といふ
衣裝
侍女は
手を
支えたまゝ、
色の
淺黒い
瓜實顏を
擡げて
答へた。
頬にも
襟にも
白粉氣はなかつた。
薄い頭髪、然うとは見えぬやうにきように
櫛卷にして、
兩方の
顳顬に
即効紙を張ツてゐた。
白粉燒で
何方かといふと色は
淺黒い方だが、鼻でも口でも
尋常にきりツと締ツてゐる。
艇尾には
色淺黒く、
虎髯を
海風に
吹かせたる
雄風堂々たる
海軍大尉あり、
舵柄を
握れる
身を
延して、『やゝ、
貴下等も
日本人ではないか。』とばかり、
私と
武村兵曹の
面を
見詰めたが
色の
淺黒い
面長で、
品が
好いといふでは
無いか、お
前は
親方の
代りにお
供を
申すこともある、
拜んだ
事が
有るかと
問へば、
見た
段か
格子戸に
鈴の
音がすると
坊ちやんが
先立で
驅け
出して
來る
顏は
色の
淺黒い、
左の
眼尻に
黒子のある、
小さい
瓜實顏でございます。
今は
少しく
色淺黒くなつて、それに
口元キリ、と
締り、
眼のパツチリとした
樣子は、
何とも
云へず
勇ましい
姿、
此後機會が
來て、
彼が
父君なる
濱島武文に
再會した
時、
父は
如何に
驚くだらう。