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気色
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きしょく
ふりがな文庫
“
気色
(
きしょく
)” の例文
旧字:
氣色
其法は夜中を以て
両炬
(
りょうきょ
)
を
燃
(
もや
)
し、人の形状
気色
(
きしょく
)
を
視
(
み
)
て、参するに生年
月日
(
げつじつ
)
を以てするに、百に一
謬
(
びょう
)
無く、元末より既に名を天下に
馳
(
は
)
せたり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いま
何処
(
どこ
)
に隠れているのだろう。覆面探偵青竜王は
戦慄
(
せんりつ
)
すべき吸血鬼事件に対しいまや本格的に立ち向う
気色
(
きしょく
)
をみせている。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
顔色
(
がんしょく
)
生けるが如くにみえたので、県令はさてこそという
気色
(
きしょく
)
でいよいよ厳重に吟味したが、王はなかなか服罪しない。
女侠伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
したのと聞いたら、着るにも
気色
(
きしょく
)
が悪いと云って、良人だって着やしないし、わたしの意気だって届かないじゃないか
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分はすぐに顔を洗いに行った。
不相変
(
あいかわらず
)
雲のかぶさった、
気色
(
きしょく
)
の悪い天気だった。
風呂場
(
ふろば
)
の
手桶
(
ておけ
)
には
山百合
(
やまゆり
)
が二本、
無造作
(
むぞうさ
)
にただ
抛
(
ほう
)
りこんであった。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
私は
堪
(
こら
)
えかねて、母親の方に向き直って言うと、
生酔
(
なまえ
)
いに酔っぱらった越前屋の婆さんは、眼と眼との間に顔中の皺を寄せて、さもさも
気色
(
きしょく
)
の悪そう
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
濡
(
ぬ
)
れた
褌
(
ふんどし
)
をぶら下げて、暑い夕日の中を帰ってくる時の
気色
(
きしょく
)
の悪さは、実に
厭世
(
えんせい
)
の感を少年の心に
目醒
(
めざ
)
めさせた。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
気色
(
きしょく
)
のはりもゆるみ、
腰
(
こし
)
のはりもゆるんで、たばこ入れに手がでる。ようやく腰をかけて
時候
(
じこう
)
の話もでる。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「お上さん、お
前
(
めい
)
の深切ぶりはもう
舎
(
よ
)
してくんな。俺あ痛くもねえ腹探られて、
気色
(
きしょく
)
が悪くてならねえ。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
先刻彼がそれを望んでいるのを見て私がひどく
気色
(
きしょく
)
を害したあの刑を、そこに持ってこようとつとめた。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
こう腹を
定
(
き
)
めて見ると、サアモウ一刻も居るのが厭になる、借住居かとおもえば
子舎
(
へや
)
が気に喰わなくなる、我物でないかと思えば
縁
(
ふち
)
の欠けた火入まで
気色
(
きしょく
)
に障わる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「なにも尻込みをすることはなかろう。……それとも、俺がいちゃ
気色
(
きしょく
)
が悪くて話も出来ねえか」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
子供が泣きやんで笑顔をつくると、呪わしかったお松の
気色
(
きしょく
)
も、忘れたように笑顔になりました。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
従順なる家妻は敢てその事に不服をも唱えず、それらしい様子も見せなかったが、しかもその
気色
(
きしょく
)
は次第に悪くなった。限りなき笑声の中に限りなき不安の情が充ち渡った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
良ッちゃんが、あんな男の嫁さんになるかと、思うただけで、背中がゾコゾコッとするわ。
蜈蚣
(
むかで
)
と、
蚯蚓
(
みみず
)
と、毛虫とが、一緒に襟元に飛びこんだみたいよ。おう、
気色
(
きしょく
)
が
悪
(
わ
)
る。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼女は
真面目
(
まじめ
)
に取り合う
緒口
(
いとくち
)
をどこにも
見出
(
みいだ
)
す事ができないのみならず、長く同じ筋道を
辿
(
たど
)
って行くうちには、自然
気色
(
きしょく
)
を悪くした様子を外に現わさなければすまなくなった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鶴「お止しよ、酒を飲むと本当にひちっくどい、
気色
(
きしょく
)
が悪いから
厭
(
いや
)
だよ、
些
(
ちっ
)
とお慎しみ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ああ
嬉
(
うれ
)
しい事をした。このラサという所ほど
気色
(
きしょく
)
の悪い腹の立つ所はない。一体ラサという所は
餓鬼
(
がき
)
の住む所だ。悪魔の住む所だ。おれはもうこんな所に来ないぞといって願いを
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
父はもう服を改め、顔を洗ったあとのさっぱりした
気色
(
きしょく
)
で、母の
肘掛椅子
(
ひじかけいす
)
のそばに
腰
(
こし
)
を下ろして、持ち前のなだらかな響きのいい声で、『
討論新聞
(
ジュルナル・デ・デパ
)
』の
雑録欄
(
ざつろくらん
)
を読んでやっていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「うちらも自転車にのれたらええな。この道をすうっと走りる、
気色
(
きしょく
)
がええじゃろ」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「それにしてもあの
娘
(
こ
)
は、どうしてここに入って来たのでしょう。
気色
(
きしょく
)
の悪い……」
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あけ放った窓から、涼しい風が吹きこんでくるが、早くも夏が来たような暑さだったから、汗ばんだ肌を海風はねばつかせて、
気色
(
きしょく
)
が悪い。俺がいささか不機嫌だったせいもあろうか。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
その日は一日
気色
(
きしょく
)
の悪い日で、店から来た束髪の女ともあまり口を利かなかった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
一々お前に
逆
(
さか
)
らって済まねえが、——今朝っから
気色
(
きしょく
)
の悪いことが続くんだよ、
家主
(
おおや
)
の
親仁
(
おやじ
)
がやって来て、立退く約束で家賃を棒引にした
店子
(
たなこ
)
が、此方の足元を見て、
梃
(
てこ
)
でも動かねえから
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ジュリアはすこし
蒼
(
あお
)
ざめただけだ。さして驚く
気色
(
きしょく
)
もなく、化粧鏡をうしろにして、キッと痣蟹を見つめたが、
朱唇
(
しゅしん
)
を開き
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
兄弟子が横眼でじろじろ視ているので、彼は
気色
(
きしょく
)
のわるいのを我慢して冠蔵の師直と無事に打ち合わせをすませた。
半七捕物帳:38 人形使い
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
数右衛門はちょっと
気色
(
きしょく
)
に障った。別れたら独りで
何処
(
どこ
)
かで飲もうと
胸算
(
むなざん
)
していた当てが外れたからである。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「変な気は変な気でげすよ、変った
気色
(
きしょく
)
でげすな、いわば正しからざる気分でげしょう、正は変ならず、変は正ならず、変は通ずるの道なり、君子の正道じゃあがあせん」
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし不思議な事に、この態度は、しかつめらしく彼の着席を待ち受ける座蒲団や、二人の間を
堰
(
せ
)
くためにわざと真中に置かれたように見える
角火鉢
(
かくひばち
)
ほど彼の
気色
(
きしょく
)
に
障
(
さわ
)
らなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
仙「じゃア然う仕様が、何だか
気色
(
きしょく
)
が悪くっていけねえから酒を買って来てくれ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この時は僧侶にとってはラサ府に居って一番
気色
(
きしょく
)
のよい時で、どこへ行っても美しい。
平生
(
へいぜい
)
は僧侶でも婦人でもちょっと
蹲
(
つくも
)
って
垂流
(
たれなが
)
しをやるですが、この時はそういう訳に行かんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
父の信用を
恢復
(
とりかえ
)
せそうなのと、母親に鼻を
明
(
あか
)
させるのが、
気色
(
きしょく
)
が好かった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
横目の山村十郎右衛門はさすがに
気色
(
きしょく
)
を損じ、苦い顔で帰って行った。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「あんなものを見たんで、すっかり
気色
(
きしょく
)
がわるくなってしまったよ。」
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
涙を払ひて両袖をかき抱き、あはや海中に身を投ぜむ
気色
(
きしょく
)
なり。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
気色
(
きしょく
)
が悪いのじゃなくて。」
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
気色
(
きしょく
)
の悪い魔じゃ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
学者たちは、さきほどの
気色
(
きしょく
)
もどこへやら、その場にはいまわる者もあり、あるいは階段をかけあがる者もあった。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いや、座中、
悉
(
ことごと
)
くの顔が、あきらかに、はっと
気色
(
きしょく
)
をなし、
凝視
(
ぎょうし
)
を、越前守の身一つにあつめた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵馬を、
麾
(
さしまね
)
いた仏頂寺弥助の
気色
(
きしょく
)
なんとなく穏かならず、どういう
料簡
(
りょうけん
)
か、近づく兵馬を尻目にかけて、腰なる刀を抜いて青眼に構えたのは、意外でもあり、物騒千万でもある。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
要するに女は先刻より大変若く見えたのである。切に何物かを待ち受けているその眼もその口も、ただ
生々
(
いきいき
)
した一種
華
(
はな
)
やかな
気色
(
きしょく
)
に
充
(
み
)
ちて、それよりほかの表情は
毫
(
ごう
)
も見当らなかった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
年寄はこれだからいかぬと、内心はすこぶる不平であったが、
滅多
(
めった
)
な抗議を申し込むとまた
気色
(
きしょく
)
を
悪
(
わ
)
るくさせる危険がある。せっかく慰めに来ていつも失策をやるのは余り器量のない話だ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神尾主膳も一議に及ばず、びたの勧誘に応じて出動したくらいですから、最初のほどはかなり気をよくして、ブラブラ歩き出したものですが、そのうちに、またも
気色
(
きしょく
)
を悪くしてしまいました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と博士たちがおどろけば、ロロー殿下は別におどろいた
気色
(
きしょく
)
もなく
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
で、はなはだ、かれの
気色
(
きしょく
)
がうるわしくない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
津田は少し悪い
気色
(
きしょく
)
を外へ出した。小林は平気であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相撲取が、急に
気色
(
きしょく
)
を変えました。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
謎の女はいよいよ
気色
(
きしょく
)
が悪くなった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“気色”の意味
《名詞1》
気色(きしょく、古:きそく)
天気の様子。それにあらわれる前兆。
感情などが顔にあらわれること。顔色。
気持ち。気分。
《名詞2》
気色(けしき)
感情などが顔にあらわれること。顔色。
様子。ありさま。
きざし。気配。
(出典:Wiktionary)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“気色”で始まる語句
気色立