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栗毛
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くりげ
ふりがな文庫
“
栗毛
(
くりげ
)” の例文
最初
(
のっけ
)
から四番目まで、湧くような歓呼の
裡
(
うち
)
に勝負が定まって、さていよいよお
鉢
(
はち
)
が廻って来ると、源は
栗毛
(
くりげ
)
に
跨
(
またが
)
って馬場へ出ました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
太郎は、そこを
栗毛
(
くりげ
)
の裸馬にまたがって、血にまみれた
太刀
(
たち
)
を、口にくわえながら、両の手に
手綱
(
たづな
)
をとって、あらしのように通りすぎた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
最新輸入の新しい型の自動車と交っては、昔ゆかしい
定紋
(
じょうもん
)
の付いた箱馬車に、
栗毛
(
くりげ
)
の
駿足
(
しゅんそく
)
を並べて、優雅に上品に、
軋
(
きしら
)
せて来る堂上華族も見えた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その大将め、はるか
対方
(
むこう
)
に
栗毛
(
くりげ
)
の逸物に
騎
(
の
)
ッてひかえてあったが、おれの働きを心にくく思いつろう、『あの
武士
(
さむらい
)
、打ち取れ』と金切声立てておッた
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
明日
(
あした
)
、柵の
厩
(
うまや
)
の
栗毛
(
くりげ
)
を曳いて、横山ノ牧へ、行てくだされ。こちらの
牝馬
(
めすうま
)
の栗毛へ、横山の名馬と評判のたかい
牡馬
(
おすうま
)
のタネを、もろうて来るのじゃ。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
栗毛
(
くりげ
)
の
駒
(
こま
)
の
逞
(
たくま
)
しきを、
頭
(
かしら
)
も胸も
革
(
かわ
)
に
裹
(
つつ
)
みて飾れる
鋲
(
びょう
)
の数は
篩
(
ふる
)
い落せし秋の夜の
星宿
(
せいしゅく
)
を一度に集めたるが如き心地である。女は息を凝らして眼を
据
(
す
)
える。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
栗毛
(
くりげ
)
の馬の平原は狂人を載せてうねりながら、黒い地平線を造って、潮のように没落へと
溢
(
あふ
)
れていった。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
あゝ、ロバァト! 今日は。よく憶えてゐますよ。あなたはヂョウジアァナさんの
栗毛
(
くりげ
)
の
仔馬
(
こうま
)
に時々私を
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
濃い
栗毛
(
くりげ
)
の髪を額に乱し、曇った色
艶
(
つや
)
をし、眼の鋭い顔のやつれた、少しもきれいでない若い女が、なんの用かと彼に尋ねた。疑念をいだいてるらしい様子だった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
能登守が立って見ている馬は、今まで見て来た馬のうちでいちばん強そうな
栗毛
(
くりげ
)
の馬でありました。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
第一番目の眼鏡をのぞくと、昔の
鎧武者
(
よろひむしや
)
が
栗毛
(
くりげ
)
の馬にまたがつて
駈
(
か
)
けてくるところが見えました。
のぞき眼鏡
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
緩端
(
えんばた
)
に
平伏
(
へいふく
)
したる齋藤茂頼、齡七十に近けれども、猶ほ
矍鑠
(
くわくしやく
)
として
健
(
すこ
)
やかなる
老武者
(
おいむしや
)
、右の鬢先より頬を
掠
(
かす
)
めたる
向疵
(
むかふきず
)
に、
栗毛
(
くりげ
)
の
琵琶
(
びは
)
股
(
もゝ
)
叩いて物語りし昔の武功忍ばれ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
たとえば年寄りの
栗毛
(
くりげ
)
などは、
馭者
(
ぎょしゃ
)
のアントンのむちを横っ腹へ食らいはしまいかとたえずびくびくしながら、乾草の山をかき分けているのですが、これは馬のことですから
夢がたり
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
大坪流の古高新兵衛は
逞
(
たくま
)
しい
黒鹿毛
(
くろかげ
)
、八条流の黒住団七は
連銭葦毛
(
れんせんあしげ
)
、上田流の兵藤十兵衛は
剽悍
(
ひょうかん
)
な三
歳
(
さい
)
栗毛
(
くりげ
)
、最後に荒木流の江田島勘介は、ひと際逞しい
鼻白鹿毛
(
はなじろかげ
)
に打跨りつつ
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
山木が車赤坂
氷川町
(
ひかわちょう
)
なる片岡中将の門を入れる時、あたかも英姿
颯爽
(
さっそう
)
たる一将軍の
栗毛
(
くりげ
)
の馬にまたがりつつ
出
(
い
)
で来たれるが、車の駆け込みし
響
(
おと
)
にふと驚きて、馬は
竿立
(
さおだ
)
ちになるを
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
平吾は
栗毛
(
くりげ
)
の馬に乗って、放牧場の枯草の中を一直線に駆けていった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
主の言葉に
依
(
よ
)
ると、ゼーロンの最も寛大な
愛撫者
(
あいぶしゃ
)
であった私が村住いを棄てて都へ去ってから間もなく、この
栗毛
(
くりげ
)
の
牡馬
(
おすうま
)
は図太い驢馬の性質に変り、打たなければ決して歩まぬ木馬の振りをしたり
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
短
(
みじか
)
く
刈
(
か
)
つた
栗毛
(
くりげ
)
の
光沢
(
つや
)
から
沁
(
し
)
み
出
(
で
)
る
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どれも
栗毛
(
くりげ
)
の馬の顔である。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
栗毛
(
くりげ
)
の
仔馬
(
こうま
)
走らせし
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
秋
(
あき
)
は
落葉
(
おちば
)
の
栗毛
(
くりげ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
そのとたんに、太郎は、足をあげて、したたか
栗毛
(
くりげ
)
の腹を
蹴
(
け
)
った。馬は、一声いななきながら、早くも尾を宙に振るう。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これより両家の間は長く中絶えて、ウィリアムの乗り
馴
(
な
)
れた
栗毛
(
くりげ
)
の馬は少しく肥えた様に見えた。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一頭の
栗毛
(
くりげ
)
に
鞭
(
むち
)
が上った。馬は闇から闇へ二人を乗せて、奴国の宮を蹴り捨てた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
四白というのは、
鹿毛
(
かげ
)
、
栗毛
(
くりげ
)
をとわず、馬の四つ脚の
蹄
(
ひづめ
)
から脛に、そろって、白い毛なみを持っている特徴をいうのである。ごくまれにしかないが、あれば、
不吉
(
ふきつ
)
だと、むかしからいわれている。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、馬に鞍を置いてしまうと、正勝と
平吾
(
へいご
)
と
松吉
(
まつきち
)
の三人の牧夫は銘々に輪になっている細引を肩から
袈裟
(
けさ
)
にかけた。そして、正勝は
葦毛
(
あしげ
)
の花房に、平吾は
黒馬
(
あお
)
に、松吉は
栗毛
(
くりげ
)
にそれぞれ
跨
(
またが
)
った。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
するとある農家の前に
栗毛
(
くりげ
)
の馬が一匹
繋
(
つな
)
いである。それを見た半之丞は
後
(
あと
)
で
断
(
ことわ
)
れば
好
(
い
)
いとでも思ったのでしょう。いきなりその馬に
跨
(
またが
)
って
遮二無二
(
しゃにむに
)
街道を走り出しました。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いまは
罷
(
や
)
めたが、
検非違使
(
けびいし
)
をしていた
源
(
みなもと
)
ノ
為義
(
ためよし
)
。知ってるだろう。
大治
(
たいじ
)
五年、あの人が、
延暦寺
(
えんりゃくじ
)
堂衆
(
どうしゅう
)
の鎮圧にのり出したとき、四白の
栗毛
(
くりげ
)
にのっていた。
相模栗毛
(
さがみくりげ
)
とよんで、人も知るかれの愛馬だ。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するといつか白ズボンの先には太い
栗毛
(
くりげ
)
の馬の脚が二本、ちゃんともう
蹄
(
ひづめ
)
を並べている。——
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、また雪のような
泡
(
あわ
)
が、
栗毛
(
くりげ
)
の口にあふれて、
蹄
(
ひづめ
)
は、砕けよとばかり、大地を打った。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼の脚は復活以来いつの
間
(
ま
)
にか馬の脚に変っていたのである。指の代りに
蹄
(
ひづめ
)
のついた
栗毛
(
くりげ
)
の馬の脚に変っていたのである。彼はこの脚を眺めるたびに何とも言われぬ
情
(
なさけ
)
なさを感じた。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
薄明
(
うすあか
)
りの中にも毛色の見える
栗毛
(
くりげ
)
の馬の脚を
露
(
あらわ
)
している。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“栗毛”の解説
栗毛(くりげ、en: chestnut/sorrel英語は、chestnutとsorrelを区別する場合が多い。、la: badius/spadixbadiusは鹿毛を含む。spadixは本来のラテン語ではなく、ギリシア語σπαδιξの借用、zh: 棗)は、馬の毛色のひとつ。一般に黄褐色(栗色)の毛を持つ馬のこと、またはその状態そのものを指す。
(出典:Wikipedia)
栗
漢検準1級
部首:⽊
10画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
“栗毛”で始まる語句
栗毛蟲