)” の例文
年から年中日がないちああしてあの奥の間へ通ずる障子の隙間から、まるで何者かを期待するかの様に表の往還を眺め暮している事。
とむらい機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「そうだ、おせんちゃん。けえときにゃ、みんなでおくってッてやろうから、きょういち見世みせはなしでも、かしてくんねえよ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「そりゃあもう旦那、來ない段じゃありませんや! どうしたって來ますさ。何しろ一んじゅう蒸しましたものね。」
どうも全く孝助はらないようにございます、お腹立はらだちの段は重々御尤ごもっともでござりますが、お手打の儀は何卒なにとぞ廿三までお日延ひのべの程を願いとう存じます
お前さんはやっと二、三前に起床おきられるようになったばかりじゃないか。それに、こんな天気に外出するとまた悪くなるよ。もう少し我慢をしなさい。
碧眼 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ある新聞社にいる知人から毎日寄贈してくれる新聞がこの越して来てから二三届かなかったので、私はきっと配達人が此家ここが分らない為であろうと思った。
ある日の午後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たゞナスタシヤムの花ばかりがいくんたつても生々いき/\した色に咲いてゐる。どんな西洋人が、どうしてかういふ裏町にひつそりと住んでゐるのだらうと思ふ。
女の子 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
鉄蔵はのさのさ入りて大胡坐おおあぐら。「これでも子持の親父様とっさんだ。」「そういやあ竹坊はどうした。二三見えねえぜ。」「彼奴あいつあ、こかしたよ。」と平気でう。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「一ン! あたしは、あなたの目醒時計になつてゐるわけだわね。厭になつてしまふわ。」
F村での春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
夫 あれが十六ン(指を折り)明日あす明後日あさつて、……しあさつていつぱいには帰る筈です。
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
お花は叔父のために『君が代』を唱うことに定まり、源造は叔父さんが先生になるというので学校に行ってもこの二、三は鼻が高い。勇は何で皆が騒ぐのか少しも知らない。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
近頃では交代が少なくなったので一ンに一度は、弁当を車掌台に突ったったまま食わなければならぬこと等や、また土地で起った……………についてもびっくりするほどよく知っていた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
四邊あたりぐらす花園はなぞのあきかんむしのいろ/\、天然てんねん籠中ろうちうおさめてつきこゝろきゝたし、さてもみのむしちゝはとへば、月毎つきごとの十二そなゆる茶湯ちやとうぬしそれはゝおなじく佛檀ぶつだんうへにとかや
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
須貝 僕は親切でないのか、今日はいち遊んでやったんだぞ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
「いや、つい二三前に越して来たばかりです」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何時ゐつ また 會はれよう——もう、二三——
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
庄「王子の茶園に往って送りこみを頼んで来た、二三うちに送り込むだろうが、来なければ又往って遣ろうが」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
建物いったいのアパートは、台所口が全部この階段に向かっていて、しかもほとんどいちあけ放されているので、むんむんするようないきれが立ちこめていた。
「大變にお靜な方。いちゐなさるのかゐなさらないのか分らないくらゐよ。ちよい/\そこいらを往き來してる人は、あれはおうちから附いて來てる女中さんかい?」
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
舁「えゝ旦那え、二三うちに大雪かも知れませんぜ、雪のえ中に峠を越した方が宜しゅうござんしょう」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いちでも早く立ちたいんでせうよ。年寄のくせに気のいら/\した女ですからね。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
林「やい親爺おやじ、とぼけるな、それだからあらかじめ不都合のないようにしろと云ったんだ、二三前から緑町みどりちょうの医者が出入でいりをしているが、ありゃア誰が医者にかゝっているのだ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
冷吉は診察室へ下りて來るのが一んの何よりの變化であつた。午後ごゞには、學校から歸つてから出かけて來るらしい、二三人の子供等がゐて、病院に來馴れたやうに方々を飛び𢌞つた。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
斬り掛られ黙って引込ひっこんでる人じゃアねえからちゃん/\斬合きりあいを初めるでしょう、そうしておっかさんの身体へきずでも付けると大変だから、お前さんは二三身を隠して下せえ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「だつて婆やが来たつてぢき帰らないでもいゝでせう? これまで一人で忙しい目ばかりしたんだから、五六日は悠つくり遊んで行つて下さいよ。今度は留守番があるから、一んどこかへ伴れてつて上げる事も出来るし……」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
それでも勤めますとあと二三は身体が利かんくらいだという、余程稽古のむずかしいものと見えます。許し物と云って、其のうち口伝物くでんものが数々ございます。以前は名人が多かったものでございます。
梅若七兵衛 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
忠「有難う存じますが、お嬢様わたくしの病気も此のたびは死病と自分も諦めました、とても御丹誠の甲斐はございませんから、どうぞもお薬もまして下さいますな、もう二三の内にむずかしいかと思います」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)