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恁
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かか
ふりがな文庫
“
恁
(
かか
)” の例文
然
(
しか
)
も
猶
(
なお
)
これは
真直
(
まっすぐ
)
に真四角に
切
(
きっ
)
たもので、およそ
恁
(
かか
)
る
角
(
かく
)
の材木を得ようというには、
杣
(
そま
)
が八人五日あまりも懸らねばならぬと聞く。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かか
)
る田舎の
習慣
(
ならはし
)
で、若い男は、忍んで行く女の数の多いのを誇りにし、娘共も亦、口に出していふ事は無いけれ共、通つて来る男の多きを喜ぶ。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
恁
(
かか
)
る処へ、左右の小笹
哦嗟々々
(
がさがさ
)
と音して、
立出
(
たちいず
)
るものありけり。「さてはいよいよ
猟師
(
かりうど
)
よ」ト、見やればこれ
人間
(
ひと
)
ならず、いと
逞
(
たく
)
ましき二匹の犬なり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
吾
(
わが
)
孫
興邦
(
おきくに
)
はなほ
乳臭
(
ちのか
)
机心
(
つくえごころ
)
失せず。かつ武芸を好める本性なれば
恁
(
かか
)
る
幇助
(
たすけ
)
になるべくもあらず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この
故
(
ゆえ
)
に写生文家は
地団太
(
じだんだ
)
を踏む熱烈な調子を避ける。
恁
(
かか
)
る狂的の人間を写すのを避けるのではない。写生文家自身までが写さるる狂的な人間と同一になるを避けるのである。避けるのではない。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
恁
(
かか
)
りしは
黄金
(
こがね
)
の
天津横木
(
あまつよこぎ
)
。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
恁
(
かか
)
る折から、地方巡業の新劇団、女優を
主
(
しゅ
)
とした帝都の有名なる
大一座
(
おおいちざ
)
が、此の土地に
七日間
(
なのかかん
)
の興行して、全市の湧くが如き人気を博した。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かか
)
る処へ文角の来らんとは、思ひ設けぬ事なれば、黄金丸驚くこと大方ならず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
神職 そ、その媛神におかせられては、
直
(
す
)
ぐなること、正しきこと、明かに清らけきことをこそお
司
(
つかさど
)
り遊ばさるれ、
恁
(
かか
)
る、
邪
(
よこしま
)
に汚れたる……
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かか
)
る時桂木の身は
危
(
あや
)
ふしとこそ予言したれ、
幸
(
さいわい
)
に怪しき敵の
見出
(
みいだ
)
し
得
(
え
)
ぬは、
由
(
よし
)
ありげな媼が、身を以て桂木を
庇
(
かば
)
ふ
所為
(
せい
)
であらう。桂木はほツと
一息
(
ひといき
)
。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
神職
退
(
さが
)
れ、棚村。
恁
(
かか
)
る場合に、身らが、その名を聞き知っても、
禍
(
わざわい
)
は幾分か、その
呪詛
(
のろ
)
われた当人に及ぶと言う。聞くな。聞けば聞くほど、何が聞くほどの事もない。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前途
(
ゆくて
)
に
金色
(
こんじき
)
の日の輝く思ひの、都をさしての旅ながら、
恁
(
かか
)
る
山家
(
やまが
)
は
初旅
(
はつたび
)
で、
旅籠屋
(
はたごや
)
へあらはれる按摩の事は、古い物語で読んだばかりの沢は、つく/″\とものの
哀
(
あわれ
)
を感じた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
人に血を吸われたあわれな者の、
将
(
まさ
)
に死なんとする耳に、与吉は
福音
(
ふくいん
)
を伝えたのである、この与吉のようなものでなければ、実際また
恁
(
かか
)
る福音は伝えられなかったのであろう。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世を
果敢
(
はかな
)
んで居るうちは、我々の自由であるが、
一度
(
ひとたび
)
心を
入交
(
いれか
)
へて、
恁
(
かか
)
る
処
(
ところ
)
へ来るなどといふ、
無分別
(
むふんべつ
)
さへ出さぬに於ては、
神仏
(
しんぶつ
)
おはします、
父君
(
ちちぎみ
)
、
母君
(
ははぎみ
)
おはします
洛陽
(
らくよう
)
の貴公子
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
邪
(
よこしま
)
な心があつて、ために
憚
(
はばか
)
られたのではないが、
一足
(
ひとあし
)
づゝ、みし/\ぎち/\と響く……
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふき
)
添ふ
縁
(
えん
)
の音は、
恁
(
かか
)
る
山家
(
やまが
)
に、おのれ
魅
(
み
)
と成つて、歯を
剥
(
む
)
いて、人を
威
(
おど
)
すが如く思はれたので
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
(
かか
)
る
田舎
(
いなか
)
も、文明に
馴
(
な
)
れて、近頃は……余分には蝋燭の用意もないのである。
光籃
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
桂木は伸びて手首を
蔽
(
おお
)
はんとする、
襯衣
(
しゃつ
)
の
袖
(
そで
)
を
捲
(
ま
)
き上げたが、手も白く、
戦
(
たたかい
)
を
挑
(
いど
)
むやうではない
優
(
おとな
)
しやかなものであつた、けれども、世に力あるは、
却
(
かえ
)
つて
恁
(
かか
)
る少年の意を決した時であらう。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
拝見の
博士
(
はかせ
)
の手前——
二
(
に
)
の
矢
(
や
)
まで
射損
(
いそん
)
じて、殿、
怫然
(
ふつぜん
)
とした
処
(
ところ
)
を、(やあ、
飛鳥
(
ひちょう
)
、
走獣
(
そうじゅう
)
こそ遊ばされい。
恁
(
かか
)
る
死的
(
しにまと
)
、殿には弓矢の
御恥辱
(
おんちじょく
)
。)と呼ばはつて、ばら/\と、散る
返咲
(
かえりざき
)
の桜とともに
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、耳も
牙
(
きば
)
もない、
毛坊主
(
けぼうず
)
の
円頂
(
まるあたま
)
を、水へ
逆
(
さかさま
)
に
真俯向
(
まうつむ
)
けに成つて、
麻
(
あさ
)
の
法衣
(
ころも
)
のもろ
膚
(
はだ
)
脱いだ両手両脇へ、ざぶ/\と水を掛ける。——
恁
(
かか
)
る
霜夜
(
しもよ
)
に、
掻乱
(
かきみだ
)
す水は、氷の上を
稲妻
(
いなずま
)
が走るかと疑はれる。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
即
(
すなわ
)
ち人と家とは、栄えるので、
恁
(
かか
)
る景色の
俤
(
おもかげ
)
がなくなろうとする、その末路を示して、滅亡の兆を表わすので、
詮
(
せん
)
ずるに、
蛇
(
へび
)
は進んで
衣
(
ころも
)
を脱ぎ、
蝉
(
せみ
)
は栄えて
殻
(
から
)
を
棄
(
す
)
てる、人と家とが、皆
他
(
た
)
の光栄あり
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思ひ
懸
(
が
)
けず、
恁
(
かか
)
る
処
(
ところ
)
で
行逢
(
ゆきお
)
うた、
互
(
たがい
)
の
便宜
(
べんぎ
)
ぢや。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
恁
漢検1級
部首:⼼
10画
“恁”を含む語句
恁麽
恁許
恁云
恁麼
恁々
恁懸
恁様
恁那
有恁
正当恁麼時