年下としした)” の例文
にんうちのもっとも年下とししたへいは、そらかんがえていました。このとき、とおきたほううみ汽笛きてきおとがかすかにこえたのでありました。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その一人の、新吉より年下とししたのきえちゃんが、今こんな目にあっているのですから、新吉はだまって見ていられるはずはありません。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
カピ妻 ならば、いま、ようおもふてや、そもじよりも年下としした姫御前ひめごぜで、とうに、このヹローナで、母親はゝおやにおなりゃったのもある。
故に十二、三歳にもなると、子どもはもうそろそろ若者入りの支度をする。一方はまたできるだけ早く、そういう仕事は年下とししたの者に渡そうとしたのである。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おしげは末吉より十三年下とししたであった。二人ともに遅れてはいたが、はじめて所帯を持つ身の上であった。
日日の麺麭 (新字新仮名) / 小山清(著)
いつもときは、しももののそろひで、おとなしづくりのわかをとこで、をんなはう年下とししたくせに、薄手うすで圓髷まげでじみづくりの下町好したまちごのみでをさまつてゐるから、姉女房あねにようばうえるほどなのだが
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この車夫しやふ小六ころくよりはみつほど年下としした子供こどもがあつて、始終しじゆう小六ころく御相手おあひてをしてあそんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
善良な優しい「ロールヒェン」——エレオノーレ・フォン・ブロイニングは彼より二歳年下とししたであった。彼は彼女に音楽を教え、彼女は彼を詩の理解へみちびいた。彼女は彼の少年時代の伴侶ともだった。
かれは、みづかまもることにおごそかなもとめの孤壘こるゐあねたいするおとうとのやうなしたしさをみせてちかづいてつた。かれ彼女かのぢよよりも二つばかり年下とししたなのであつた。いつのにかぱつと二人ふたり關係くわんけいうはさにのぼつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
とさすがに兄らしいのが、年下とししたの子供の手を助けるように引いた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いざ、金銀きんぎんあふぎつてふよとれば、圓髷まげをんな、なよやかにすらりときて、年下としした島田しまだびんのほつれを、透彫すかしぼりくしに、掻撫かいなでつ。心憎こゝろにくし。かねつたふらく、ふね深川ふかがは木場きばかへる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし叔父おじさんも、叔母おばさんもやさしいひとであったし、二つ年下としした吉雄よしおくんもすぐなかよしになったので、三郎さぶろうは、公休日こうきゅうびには、かならず叔父おじさんのいえかえるのが、なによりのたのしみだったのです。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
しまいには四にんのほかにも年下とししたの七つ八つぐらいの子供こどもが三にんも四にんあとからついてきたのであります。しかるに太郎たろうのほうはいつも一人ひとりでありました。太郎たろうみちのまんなかって勇敢ゆうかんたたかいました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
年下とししたおとうとは、まちほうにきらきらかがやあかりをながめていましたが
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それにちがいない。」と、年下とししたおつはうなずきました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、自分じぶんより年下としした子供こどもたちからも
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)