“屡〻:しばしば” の例文
“屡〻:しばしば”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治14
宮本百合子6
神西清3
谷崎潤一郎2
堀辰雄2
“屡〻:しばしば”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 仏教 > 各宗13.3%
文学 > ロシア・ソヴィエト文学 > ロシア・ソヴィエト文学7.4%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行1.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
私は、この名状しがたい感覚を、自分の芸術家としての成育の上にどこまで摂取出来るだろうかと思うことが屡〻しばしばです。
決してそれを裏切るようなことはしないと、寝物語に彼女が屡〻しばしば涙をもって云う言葉を、己は疑うことは出来ない。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
屡〻しばしば、その堤へおばあさんに伴われて散歩に来るときなど、私はよく桜の木の下に立ち止まって、彼等の遊戯に見入っていた。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
積極的な文学上の努力であるということが、外見の消極を保たざるを得ないことは、いろんな歴史の波の間に屡〻しばしば生じましょうね。
それから、その男は、この諏訪塩尻あたりの往還で、旅客が人足の悪手段にのって路銀をせしめられる屡〻しばしばの実例を幾つも挙げて、
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マルチネ仏国人である——昔から革命を屡〻しばしば繰返したフランス人が民衆の夜を理解して居る点——興味がある。
女中達に対する愛憎の変化が激しくなって、嫌い出すと極端な言葉を使い、「殺す」とか「殺してやる」とか云うことを屡〻しばしば口走る。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
丁度泊りがけで鎌倉に行って居た国男も戻り、屡〻しばしば噂にきく山田氏ツーさん等も見えたので、自分も荷作りを中止して仲間入りをした。
従ってその武士だ、弓取りだと自負する者のうちには、屡〻しばしば、田夫や町人にも劣る下劣なのが見かけられる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして動物の中から人類が発生するまでに、その進化の過程には屡〻しばしば創造と称せらるべき現象が続出した。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
どんなに軽々といい心持だろうと思うと、私は一つの夜の光景を何故か思い出します、屡〻しばしば思い出します。
足を止めた万太郎は、もう屡〻しばしば見ているので、月明りの遠目にもその薬草園の人影を、いつぞや取逃がした優形やさがたの覆面と見て、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは屡〻しばしばパロディであり、時に稚い模倣ですらあった(例えば一八八五年の『猟手』をツルゲーネフの『あいびき』と比較して見たまえ)。
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
「あらましは読めるな。——ところでまた、安土からのご使者などは、屡〻しばしば、伊丹城にみえるようか」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女は持つ愛はあらわだけれども小さい。男の持つ愛は大きいけれどもさえぎられている。そして大きい愛は屡〻しばしばあらわな愛に打負かされる。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
だがそうした冗談口が屡〻しばしば反語的に真相を明している実例をわれわれは既に十分見て来たはずだ。
ちょっと、小うるさい眉をして見せたのは、ここへも屡〻しばしばやってくる武者修行が多いのだろう。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして夏には、淀の網打ちにも屡〻しばしば誘われ、四条やただすの夕涼み、或は、宇治の集りと、彼女を飽かせまいとする行楽と行事は果しがなかった。
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「武士が独りで馬に乗れないでは不自由だ。これから屡〻しばしば乗り方を稽古せねばなるまい」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これまで屡〻しばしば私が来て見て感じていたことから見れば、この進歩は、質の向上です。
いつか父となって——初めて亡き父の心がわかる心地も屡〻しばしばであったが——剣の道に志してから、彼はふたたび、幼稚なおのれに帰ってしまった気がする。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
予は既に、歳月の久しき、嗜好の屡〻しばしば變じ、文致の畫一なり難きをうらみ、又筆をくことの頻にして、興に乘じて揮瀉すること能はざるを惜みたりき。
吾々の方から見れば、もう十年生きて居られたならなどと思うことが屡〻しばしばある。
子として、親の前に、おもてそむけるような場合が、屡〻しばしばあった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
文明日新の修身処世法は、如何いかなる主義にり如何なる方向に進む可きやとは、今の青年学生の大にまどふ所にして、先輩に対して屡〻しばしば質問を起すものあり。
修身要領 (新字旧仮名) / 福沢諭吉慶應義塾(著)
殊に工業主義、器械主義、商売主義のみ横行する今日のような世界に、昔気質の禅僧が一人や二人、出来るなら、日本全国に百人ばかり居てくれたらと思うこと屡〻しばしばである。
僧堂教育論 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
それと反対に、彼は屡〻しばしば子供つぽい反抗を彼女に示すやうになつた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
名馬を手に入れる事では、屡〻しばしば悶着もんちゃくや喧嘩さえ起った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
客を客にまかせて、屡〻しばしば、花嫁のうかがいに行った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飯を噛み噛み茶碗の中へ、われ知らず涙をながしているのに、はっと気がつけば、さし向っていた妹のふさ子も、わっとはしをおいて泣き出すようなことも屡〻しばしばであった。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、間もなく朦朧俥夫の取締規則が出来て、溝の側の溜場にも屡〻しばしばお手入れがあってみると、さすがに丹造も居たたまれず、暫らくまごまごした末、大阪日報のお抱え俥夫となった。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「ついこの秋頃まで、一刀斎どのは、白河の神楽かぐらヶ岡の辺に一庵をむすんでおいであった。屡〻しばしば、こちらよりも訪れ、先生も時折、四条の拙宅へ立ち寄って下されたりなどして」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は、日本文学の発生について、既に屡〻しばしば書いて居る。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「心に邪気があって、吹けないことが屡〻しばしばございます」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうです、この「ベビーさん」と「パパさん」とはそれから後も屡〻しばしば出ました。ナオミが何かをねだったり、だだをねたりする時は、いつもふざけて私を「パパさん」と呼んだものです。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
屡〻しばしば自分の夢のなかにまで現はれたこともある。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
事実チェーホフは屡〻しばしば不愛想に黙りこんだ。
——屡〻しばしば、受持の先生たちが相談して、男の組と女の組とを互に競い合わせるために男の組の半分を女の教室へやり、女の組の半分を男の教室に入りまじらせて、一緒に授業を受けさせることがあった。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「なに、最前も屡〻しばしば呼んだと申すか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その数カ月前から立派な白髯はくぜんの老人がいつも大きな花束をかかえて屡〻しばしばその家に出はいりしていたが、そんなことを好きな一面のあるこの家の夫婦をおだてて、そこをとうとう自分の出張所にしたのである。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
——近ごろ丑之助は、兵庫に愛されて、前よりも屡〻しばしば城へ見えるが、きょうは二人の供について、背に弁当の包みを負い、兵庫の換え草履一そく腰に挟んで、なりの小さい草履取——という恰好して後から歩いてゆく。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
沢庵は赦免の後、屡〻しばしば柳営りゅうえいに上って家光の法問に答え、恩寵年と共に厚きを加えて、遂に命に依って品川東海寺の開山第一世となっているが、最初、沢庵を将軍に推挙したのは柳生但馬だったといわれている。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私たちが生活するようになってから、私は屡〻しばしば新しい歓びとおどろきにうたれてそれを百花繚乱という表現やそのほかの表現で二人の間にもって来たが、例えば今こうやって書いている私の心を流れているものは、何と云ったらよいでしょう。
容貌ようぼう人の形にあらず。故に之を名づけて目利真角嘉和良めりまつのかわらと謂ふ。年十四歳の時、祖母天仁屋及び母真嘉那志に相随あいしたがひて、ともに白雲に乗りて天にのぼる。後年屡〻しばしば目利真山に出現して、霊験を示す。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
また若きより屡〻しばしば闘ひてしばしば負けたるものは、負けぐせつきて、痛を忍び勇みをなすといふことを知らず、まことはおのが力より劣れるほどの敵にあひても勝つことを得ざるものなり。鶏にても負けぐせつきたるをば、下鳥したどりといひて世は甚だ疎む。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「もと南陽の一耕夫、身のほどを知らず、天渾てんこんの数をわきまえず、みだりにいくさいだして、わが平和の民を苦しむることの何ぞ屡〻しばしばなるや。今にしてさとらずんば、汝の腐屍ふしもまた、祁山きざんの鳥獣にきょうさるる一朝の好餌でしかないぞ」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その婦人も最近それに気が付いたので、矢張一箇月のうちにそれが薄くなる時、消えてしまう時、濃くなる時があり、大体来潮時の前後に於いて最も顕著になると云っているのであるが、その答の方を読むと、貴方あなたの如き症状は適齢期を過ぎた未婚の婦人には屡〻しばしばある生理的現象で
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
『京都の織物問屋で、西陣屋利兵衛と申しますので。はい、実は、さるお大名方へお取立をいただいて、屡〻しばしば御当地へ出てまいりまするので、商用とては、ほんのわずか、逗留中は、とかく体をもて余しまするので、御高名をお慕い申して、御指南を仰ぎたいと……実はかような考えで参りました訳でござりますが』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、家康や信長などの陣中生活を見ても、本陣には名代みょうだいを置いて、自分はひそかに前線の先手さきてに立ち交じって直接に下知をしていたというような例はいくらもあるから、信玄にしても、常備八人の影武者はどうか分らないが、名代を用いた場合などは屡〻しばしばあったものと観て大過はなかろうと思う。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)