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しばしば
ふりがな文庫
“
屡〻
(
しばしば
)” の例文
女中達に対する愛憎の変化が激しくなって、嫌い出すと極端な言葉を使い、「殺す」とか「殺してやる」とか云うことを
屡〻
(
しばしば
)
口走る。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
丁度泊りがけで鎌倉に行って居た国男も戻り、
屡〻
(
しばしば
)
噂にきく山田氏ツーさん等も見えたので、自分も荷作りを中止して仲間入りをした。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それから、その男は、この諏訪塩尻あたりの往還で、旅客が人足の悪手段にのって路銀をせしめられる
屡〻
(
しばしば
)
の実例を幾つも挙げて
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嬰児は何処をあてどもなく
匍匐
(
ほふく
)
する。その姿は既に十分
憐
(
あわ
)
れまれるに足る。嬰児は
屡〻
(
しばしば
)
過って火に陥る、
若
(
も
)
しくは水に
溺
(
おぼ
)
れる。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それは
屡〻
(
しばしば
)
パロディであり、時に稚い模倣ですらあった(例えば一八八五年の『猟手』をツルゲーネフの『あいびき』と比較して見たまえ)
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
▼ もっと見る
予は既に、歳月の久しき、嗜好の
屡〻
(
しばしば
)
變じ、文致の畫一なり難きを
憾
(
うら
)
み、又筆を
擱
(
お
)
くことの頻にして、興に乘じて揮瀉すること能はざるを惜みたりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いたずら盛りの中学生は日曜にボールをやって
屡〻
(
しばしば
)
叱られた。それでも聴かないと捉まえて舎監のところへ引き摺って行く。大女だから子供は
敵
(
かな
)
わない。
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
文明日新の修身処世法は、
如何
(
いか
)
なる主義に
依
(
よ
)
り如何なる方向に進む可きやとは、今の青年学生の大に
惑
(
まど
)
ふ所にして、先輩に対して
屡〻
(
しばしば
)
質問を起すものあり。
修身要領
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
、
慶應義塾
(著)
それはこういう自分の幼時に
屡〻
(
しばしば
)
経験された、切ない感情の思いがけない生れ変りに過ぎないのだということが、いま
漸
(
ようや
)
く、私にはっきりと分かって来る。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
病人は暮方から熱が高まり、夜は悪夢にうなされて
譫言
(
たわごと
)
を言い、
屡〻
(
しばしば
)
水をもとめた。明方に漸く寝しずまるのが例であった。附添の男は和尚に
祈祷
(
きとう
)
を
懇願
(
こんがん
)
した。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私は、日本文学の発生について、既に
屡〻
(
しばしば
)
書いて居る。その都度、幾分違つた方面から、筆をおろしてゐるのだが、どうも、千篇一律になつて居さうなひけ目を感じる。
日本文学の発生
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
且
(
か
)
つ
(四四)
七十
子
(
し
)
の
徒
(
と
)
、
(四五)
仲尼
(
ちうぢ
)
獨
(
ひと
)
り
顏淵
(
がんえん
)
を
(四六)
薦
(
すす
)
め、
學
(
がく
)
を
好
(
この
)
むと
爲
(
な
)
す。
然
(
しか
)
れども
(四七)
回
(
くわい
)
や
屡〻
(
しばしば
)
空
(
むな
)
しく、
糟糠
(
さうかう
)
にだも
厭
(
あ
)
かず、
而
(
しかう
)
して
卒
(
つひ
)
に
(四八)
蚤夭
(
さうえう
)
せり。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
吾々の方から見れば、もう十年生きて居られたならなどと思うことが
屡〻
(
しばしば
)
ある。老師の尚お若きときには「わしは四十まで生きて居るかどうか」と云われたこともあった。
楞迦窟老大師の一年忌に当りて
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
故に之を名づけて
目利真角嘉和良
(
めりまつのかわら
)
と謂ふ。年十四歳の時、祖母天仁屋及び母真嘉那志に
相随
(
あいしたが
)
ひて、
倶
(
とも
)
に白雲に乗りて天に
升
(
のぼ
)
る。後年
屡〻
(
しばしば
)
目利真山に出現して、霊験を示す。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
一つには
屡〻
(
しばしば
)
苦しめられたことが、その原因にはなっていたが、さらに重大な原因といえば、親の敵を討たねばならず、それまでは
迂濶
(
うかつ
)
には死なれぬ体と、あまりに自分を
労
(
いた
)
わって
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、間もなく朦朧俥夫の取締規則が出来て、溝の側の溜場にも
屡〻
(
しばしば
)
お手入れがあってみると、さすがに丹造も居たたまれず、暫らくまごまごした末、大阪日報のお抱え俥夫となった。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
また若きより
屡〻
(
しばしば
)
闘ひてしばしば負けたるものは、負けぐせつきて、痛を忍び勇みをなすといふことを知らず、まことはおのが力より劣れるほどの敵にあひても勝つことを得ざるものなり。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
積極的な文学上の努力であるということが、外見の消極を保たざるを得ないことは、いろんな歴史の波の間に
屡〻
(
しばしば
)
生じましょうね。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
もと南陽の一耕夫、身のほどを知らず、
天渾
(
てんこん
)
の数をわきまえず、みだりに
師
(
いくさ
)
を
出
(
いだ
)
して、わが平和の民を苦しむることの何ぞ
屡〻
(
しばしば
)
なるや。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供じみた彼の顔から血紅が落潮の早さで
退
(
ひ
)
いて行くのを明子は見た。それと反対に、彼は
屡〻
(
しばしば
)
子供つぽい反抗を彼女に示すやうになつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
私は
屡〻
(
しばしば
)
私自身に顧慮する以上に外界に顧慮しているからだ。それは悲しい事には私が弱いからだ。私は弱い者の有らゆる窮策によく通じている。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして一日口をきかないようなことも
屡〻
(
しばしば
)
でしたが、それが最後に爆発したのは、ちょうど鎌倉を引き払ってから二箇月の後、十一月の初旬のことで
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
秀逸と認めると切り抜いて帳面へ貼る。これをヨタ帳と称して、
屡〻
(
しばしば
)
掲載の栄を得たものは昇級に影響する。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その数カ月前から立派な
白髯
(
はくぜん
)
の老人がいつも大きな花束をかかえて
屡〻
(
しばしば
)
その家に出はいりしていたが、そんなことを好きな一面のあるこの家の夫婦をおだてて
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
弁兆は食膳の
吟味
(
ぎんみ
)
に心をくばり、
一汁
(
いちじゅう
)
の風味にもあれこれと工夫を命じた。団九郎の坐禅諷経を
封
(
ふう
)
じて、山陰へ木の芽をとらせに走らせ、又、
屡〻
(
しばしば
)
蕎麦
(
そば
)
を打たせた。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
殊に工業主義、器械主義、商売主義のみ横行する今日のような世界に、昔気質の禅僧が一人や二人、出来るなら、日本全国に百人ばかり居てくれたらと思うこと
屡〻
(
しばしば
)
である。
僧堂教育論
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
屡〻
(
しばしば
)
御当地へ出てまいりまするので、商用とては、ほんのわずか、逗留中は、とかく体をもて余しまするので、御高名をお慕い申して
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は、この名状しがたい感覚を、自分の芸術家としての成育の上にどこまで摂取出来るだろうかと思うことが
屡〻
(
しばしば
)
です。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
人は
屡〻
(
しばしば
)
いう、基督は有らゆるものを犠牲に供し、救世主たるの義務の故に、凡ての迫害と窮乏とを甘受し、十字架の死をさえ敢えて堪え忍んだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
事実チェーホフは
屡〻
(
しばしば
)
不愛想に黙りこんだ。なかでもシチューキンという司祭の初対面の感想は甚だ特徴的である。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
決してそれを裏切るようなことはしないと、寝物語に彼女が
屡〻
(
しばしば
)
涙を
以
(
もっ
)
て云う言葉を、己は疑うことは出来ない。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
或
(
あるい
)
は高く或は低く絶えずかちかちと
鉄槌
(
かなづち
)
の音を響かせている細工場の中から、(父は
屡〻
(
しばしば
)
留守だった……)、よく
頓狂
(
とんきょう
)
な奴だとみんなから叱られてばかりいた佐吉という小僧が
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
こんな
風
(
ふう
)
なら、もっと早くやれば
宜
(
よ
)
かったと、
恐露病
(
ルソーホビヤ
)
は忽ちにして一掃された。私達は祝勝々々で、
屡〻
(
しばしば
)
学校を休んだ。愛国心を遊ぶ口実に使った傾向がある。丁度その頃のことだった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
いつとなく、団九郎も
彫像
(
ちょうぞう
)
の
三昧
(
さんまい
)
を知った。木材をさがしもとめ、和尚の
熟睡
(
じゅくすい
)
をまって庫裏の一隅に
胡座
(
あぐら
)
し、
鑿
(
のみ
)
を
揮
(
ふる
)
いはじめてのちには、雑念を離れ、
屡〻
(
しばしば
)
夜の白むのも忘れていたということである。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と申す
仔細
(
しさい
)
は、信長卿のお供をして
幾度
(
いくたび
)
か京都に在るうち、ご主君とご
昵懇
(
じっこん
)
な
近衛前久
(
このえさきひさ
)
様から
屡〻
(
しばしば
)
おうわさが出たものでござる。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マルチネ仏国人である——昔から革命を
屡〻
(
しばしば
)
繰返したフランス人が民衆の夜を理解して居る点——興味がある。
日記:13 一九二七年(昭和二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
幸子もひとりぼっちになると
屡〻
(
しばしば
)
ピアノに
齧
(
かじ
)
り着いて時を過したが、それにも飽きると二階の八畳で手習いをしたり、お春を呼び入れて琴の稽古をしてやったりした。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これは些か
瘠我慢
(
やせがまん
)
が勝っているかも知れない。少くも例の快活な冗談口の一種には相違ない。だがそうした冗談口が
屡〻
(
しばしば
)
反語的に真相を明している実例をわれわれは既に十分見て来たはずだ。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
昼食後屋上で
屡〻
(
しばしば
)
話した。会社はビルディングの六階全部を借りている。
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
屡〻
(
しばしば
)
、受持の先生たちが相談して、男の組と女の組とを互に競い合わせるために男の組の半分を女の教室へやり、女の組の半分を男の教室に入り
雑
(
まじ
)
らせて、一緒に授業を受けさせることがあった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
父の姿を家に見なかった幾月かの間、母は
何
(
どう
)
して生計をたてていたのだろうか。この頃からぼくは母の代りに
屡〻
(
しばしば
)
、質屋のかどを潜った。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は実に
屡〻
(
しばしば
)
あの愛すべき場所を思い出すのです。何卒佐藤氏に私から宜しくとお伝え下さい。さてそれから、あなたの御家族の方々にも宜しくお伝えになって下さい。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は
屡〻
(
しばしば
)
新しい歓びとおどろきにうたれてそれを百花繚乱という表現やそのほかの表現で二人の間にもって来たが、例えば今こうやって書いている私の心を流れているものは
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
屡〻
(
しばしば
)
自分の夢のなかにまで現はれたこともある。自らの乱行に
懶
(
ものう
)
く疲れはてた彼の夢の中で、この微笑は彼を
柔
(
やさ
)
しく
叱責
(
しっせき
)
した。あの微笑だ。彼はそれがモナ・リザの微笑であることに気づいた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「我輩は請負人の手代として諸官省へ出入をする間に
屡〻
(
しばしば
)
カギをやった」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
足を止めた万太郎は、もう
屡〻
(
しばしば
)
見ているので、月明りの遠目にもその薬草園の人影を、いつぞや取逃がした
優形
(
やさがた
)
の覆面と見て
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鳥打帽子を
被
(
かぶ
)
った姿は猫のようになまめかしい感じでしたが、夏は
勿論
(
もちろん
)
、冬もストーヴで部屋を暖めて、ゆるやかなガウンや海水着一つで遊んでいることも
屡〻
(
しばしば
)
ありました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これがすっかり直って、すっかり軽くなったらどんないい心持でしょう。どんなに軽々といい心持だろうと思うと、私は一つの夜の光景を何故か思い出します、
屡〻
(
しばしば
)
思い出します。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
なぞと矢張り子煩悩と見えて、息子さん達が
屡〻
(
しばしば
)
話題になる。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そして夏には、淀の網打ちにも
屡〻
(
しばしば
)
誘われ、四条や
糺
(
ただす
)
の夕涼み、或は、宇治の集りと、彼女を飽かせまいとする行楽と行事は果しがなかった。
梅颸の杖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
屡
漢検準1級
部首:⼫
12画
〻
“屡〻”で始まる語句
屡〻見