丁度泊りがけで鎌倉に行って居た国男も戻り、屡〻噂にきく山田氏ツーさん等も見えたので、自分も荷作りを中止して仲間入りをした。
日記:09 一九二三年(大正十二年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それから、その男は、この諏訪塩尻あたりの往還で、旅客が人足の悪手段にのって路銀をせしめられる屡〻の実例を幾つも挙げて
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは屡〻パロディであり、時に稚い模倣ですらあった(例えば一八八五年の『猟手』をツルゲーネフの『あいびき』と比較して見たまえ)
チェーホフの短篇に就いて (新字新仮名) / 神西清(著)
即興詩人 (旧字旧仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
私は、日本文学の発生について、既に屡〻書いて居る。その都度、幾分違つた方面から、筆をおろしてゐるのだが、どうも、千篇一律になつて居さうなひけ目を感じる。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一 (旧字旧仮名) / 司馬遷(著)
吾々の方から見れば、もう十年生きて居られたならなどと思うことが屡〻ある。老師の尚お若きときには「わしは四十まで生きて居るかどうか」と云われたこともあった。
楞迦窟老大師の一年忌に当りて (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
しかし、間もなく朦朧俥夫の取締規則が出来て、溝の側の溜場にも屡〻お手入れがあってみると、さすがに丹造も居たたまれず、暫らくまごまごした末、大阪日報のお抱え俥夫となった。
また若きより屡〻闘ひてしばしば負けたるものは、負けぐせつきて、痛を忍び勇みをなすといふことを知らず、まことはおのが力より劣れるほどの敵にあひても勝つことを得ざるものなり。
積極的な文学上の努力であるということが、外見の消極を保たざるを得ないことは、いろんな歴史の波の間に屡〻生じましょうね。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
殊に工業主義、器械主義、商売主義のみ横行する今日のような世界に、昔気質の禅僧が一人や二人、出来るなら、日本全国に百人ばかり居てくれたらと思うこと屡〻である。
私は、この名状しがたい感覚を、自分の芸術家としての成育の上にどこまで摂取出来るだろうかと思うことが屡〻です。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
事実チェーホフは屡〻不愛想に黙りこんだ。なかでもシチューキンという司祭の初対面の感想は甚だ特徴的である。
チェーホフ序説:――一つの反措定として―― (新字新仮名) / 神西清(著)
マルチネ仏国人である——昔から革命を屡〻繰返したフランス人が民衆の夜を理解して居る点——興味がある。
日記:13 一九二七年(昭和二年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
チェーホフ序説:――一つの反措定として―― (新字新仮名) / 神西清(著)
忘れ残りの記:――四半自叙伝―― (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は実に屡〻あの愛すべき場所を思い出すのです。何卒佐藤氏に私から宜しくとお伝え下さい。さてそれから、あなたの御家族の方々にも宜しくお伝えになって下さい。
私は屡〻新しい歓びとおどろきにうたれてそれを百花繚乱という表現やそのほかの表現で二人の間にもって来たが、例えば今こうやって書いている私の心を流れているものは
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
これがすっかり直って、すっかり軽くなったらどんないい心持でしょう。どんなに軽々といい心持だろうと思うと、私は一つの夜の光景を何故か思い出します、屡〻思い出します。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)