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屡々
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しばしば
ふりがな文庫
“
屡々
(
しばしば
)” の例文
その後も
屡々
(
しばしば
)
水戸へ人を派したが、水府は東湖塾を中心として混乱していて、一人の青年の
行衛
(
ゆくえ
)
などまるで尋ねあてる由もなかった。
岩魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
それでも電話帳や紳士録に乗っている名前では何だかインテリやブルジョアじみているような気がして満足出来ない場合が
屡々
(
しばしば
)
ある。
創作人物の名前について
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
従って、
屡々
(
しばしば
)
自分の
頂戴
(
ちょうだい
)
する
新理智派
(
しんりちは
)
と云い、新技巧派と云う名称の如きは、
何
(
いず
)
れも自分にとっては
寧
(
むし
)
ろ迷惑な
貼札
(
はりふだ
)
たるに過ぎない。
羅生門の後に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
屡々
(
しばしば
)
、質問のあるものがあまりに愚なので、笑いに窒息しかけながらも、彼等が私に与えてくれた、辛棒強くも礼義に富んだ返事は
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
ある重大な
手抜
(
てぬか
)
りに気づいたのだ。あの様な際に、よくもそこまで考え廻すことが出来たと、彼はあとになって
屡々
(
しばしば
)
不思議に思った。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
下宿が眼と鼻の間の
所為
(
せい
)
か、昇は
屡々
(
しばしば
)
文三の所へ遊びに来る。お勢が帰宅してからは、一段足繁くなって、三日にあげず遊びに来る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
屡々
(
しばしば
)
、現代の浪曼作家たちは、現代小説といふものが事実らしさに制約されて飛躍した人性を描きにくいために、歴史小説に走る。
中村地平著「長耳国漂流記」
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
私はその時分のことは知らないが大学時代の主人が
屡々
(
しばしば
)
そこへ行くことは
確
(
たしか
)
に見ていたし、一度などは私も一緒に連れて行って
貰
(
もら
)
った。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
現代は個人主義の時代であり、少数者の時代であるとは全ての政治家、社会主義者を問はず一様に提唱し又
屡々
(
しばしば
)
繰返される
鯨波
(
スローガン
)
である。
少数と多数
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
私は
屡々
(
しばしば
)
、その頃愛読していたモオリアックの「
焔
(
ほのお
)
の流れ」という小説の結末に出てくるそのかわいそうな女主人公の住んでいる
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
主人の中老人は、なかなかの弁舌で、昔は相当以上の身分のものらしく、文武両道の話など、五人の客も
屡々
(
しばしば
)
受答
(
うけこたえ
)
に困るほどです。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして
屡々
(
しばしば
)
自然の手は人間のそれよりももつと悪意的になることがあるのではないか。——無遠慮に掻き乱されてゐるのであつた。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
孤独地獄にも陥ちたらんが如く
苦艱
(
くげん
)
を受くること
屡々
(
しばしば
)
なりなど仰せられ、御改易のことについては、些の御後悔だに見えさせられず候。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
あるいは翼をもつほどならいっそ鳥と化してしまう。白鳥となって飛び立つ美しい伝説がある。また仏法には転生が
屡々
(
しばしば
)
説かれている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
若い女性について、科学の知識は相当ある筈なのにそれが生活の中では一向活かされていない、という非難が
屡々
(
しばしば
)
云われている。
科学の精神を
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
我輩は
屡々
(
しばしば
)
世界の人としての日本人の覚悟に関して述ぶるところがあった。日本人は既にこの土地の上ばかりの日本人ではない。
文明史の教訓
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
でも、良吉が
傍
(
はた
)
で洗濯物や乾魚を小さい行李に收めて明日の出立の用意をしかけると、辰男も書物を
措
(
お
)
いて
屡々
(
しばしば
)
その方を顧みた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
そして、そのために、
屡々
(
しばしば
)
、事実が極端に曲げられ、或は誇張されている。且、歴史的事実の研究が、非常に不足していたこと。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼等の越権行為を私が
屡々
(
しばしば
)
攻撃しているからだ。今日の記事など、実に
陋劣
(
ろうれつ
)
だ。初めは腹が立ったが、近頃は
寧
(
むし
)
ろ光栄を覚えるくらいだ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この人の
邸
(
やしき
)
で
屡々
(
しばしば
)
家禽
(
かきん
)
を何者にか盗まれる。土地の者は
之
(
これ
)
をピキシーと云う怪物の仕業だと昔から唱えていたが、講師は
之
(
これ
)
を信じなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
また
末枯
(
うらがれ
)
の季節になると
麓
(
ふもと
)
の村々を襲って
屡々
(
しばしば
)
民家に危害を加える狼や狐やまたは猪の隠れ家なりとして、近在の人民にはこよなく怖れられ
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
犯行については詳細な調査が遂げられたけれど、犯人が自白をしないので、
屡々
(
しばしば
)
自白から
惹出
(
ひきだ
)
される決定的事実というものが欠けていました。
自責
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
屡々
(
しばしば
)
、異様な人生が私にはある。そして、それに流されている。何かをやってみる。そして、その何かがすぐ不成功に終る。自信がなくなる。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
又タスマニアでは、
随
(
したが
)
つて又濠洲では、此の掠奪と云ふのが、
屡々
(
しばしば
)
ほんの真似事に過ぎなくなつて、男と女との間の、
予
(
あらかじ
)
めの合意から行はれる。
嫁泥棒譚
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
私は自分の心の乱れからお前たちの母上を
屡々
(
しばしば
)
泣かせたり淋しがらせたりした。またお前たちを
没義道
(
もぎどう
)
に取りあつかった。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
勿論石崎源三の家に
屡々
(
しばしば
)
行った景岡の指紋も採られるに違いない——だが——一人として該当者がない……無い筈だ……それは足の指紋だもの。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この種の技巧の例は今後もいろいろの作品をつうじて
屡々
(
しばしば
)
でてくるが、ことに圓朝はこうした教養というか用意というか、その点が秀れている。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
いよいよ淵に入る段になると、
狭霧
(
さぎり
)
が水面を立ち
罩
(
こ
)
めて、少しも様子が見られなかったという。娘は
屡々
(
しばしば
)
里へお客に来た。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
茶人だとかいうことを
屡々
(
しばしば
)
いうことですが、私が遺憾に思うのは、なんか変なことがある場合に、あれは茶人だからね、というようなことをいう。
書道と茶道
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
元来この東駿河地方は秋口から春にかけて吹きつくる沖の西風の極めて烈しい所で今でも大の男がまともに歩きかぬる風に出会ふことが
屡々
(
しばしば
)
ある。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
そが中に
屡々
(
しばしば
)
悪魔のごとき黒山の影の面を衝いて揺くに
駭
(
おどろ
)
きつ。流を左に沿ひて
大河野
(
おかの
)
に到り、右に別れて駒鳴の宿に入るや既に深夜を過ぎたり。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
おしげはまだ富士小学校に通つてゐる頃から、よくおきよの噂を聞いたものであつた、「たむら」のきよちやんと云ふ名が
屡々
(
しばしば
)
男たちの唇に乗つた
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
恋愛のために個人の幸福と社会の安寧とが
屡々
(
しばしば
)
衝突する事がある。此の時に現在の義務と云ふ観念が社会に対する個人の絶対無条件の犠牲を要求する。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
どころか、
屡々
(
しばしば
)
面会に来てくれたり、外部の情勢や家族の様子をこまごま書いた手紙を送って呉れる松枝に対して、個人的な親しみをさえ感じていた。
鋳物工場
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
なぜだといえば、あまりにばかばかしくしかも余りに
屡々
(
しばしば
)
わたしは同一人の芸風に足をはこんでいるからである。
ヒッポドロム
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
畢竟するに馬琴が頻りに『水滸』の聖嘆評を難詰
屡々
(
しばしば
)
するは『水滸』を借りて自ら弁明するのではあるまいか。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
卵から出た幼虫といふ其の小さな活きものゝかよはい虫は、食物と庇護物の危険から
屡々
(
しばしば
)
其の位置を移す——それは此の虫の世界では非常に困難な事なのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
道は雲仙の
山脚
(
さんきゃく
)
が海に落ちこんでいる
急峻
(
きゅうしゅん
)
な部分に通じているので、
可
(
か
)
なり険しい絶壁の上を、
屡々
(
しばしば
)
通らなければならぬが、そのために風致は
歩々
(
ほほ
)
展開して行く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が
与
(
あず
)
かって力あるのは、ことわるまでもない。「岡田さんを御覧なさい」と云う
詞
(
ことば
)
が、
屡々
(
しばしば
)
お上さんの口から出る。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は日頃折に触れては、彼の感化が自分のうちに深く染み込んでしまっているのを、
屡々
(
しばしば
)
思い知らされます。それはもう私の
躯
(
からだ
)
から消すことの出来ないものです。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
されば、雨風の烈しかった後では、途上に雨傘の破れたのが打っちゃってあるのを見る事が
屡々
(
しばしば
)
である。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
僕は浴場で
屡々
(
しばしば
)
、結婚の感触を
衝
(
う
)
けた。そのたびに手術室に逃げこんでいさぎよく離婚してしまった。
飛行機から墜ちるまで
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
過去の事実を
屡々
(
しばしば
)
記憶のうちに
喚
(
よ
)
び
醒
(
さま
)
しているうちに、吾々は回想の中にその事実を次第に潤色し、いつかそれが本当の事実だと記憶して了うような場合も少くない。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
黄金は試金者の手を経て一層純な物になる。恐れぬがよい、勇気を落さぬやうにするがよい。最も忠実な、最も篤信な人々は、
屡々
(
しばしば
)
このやうな誘惑を受けるものぢや。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
これは
屡々
(
しばしば
)
河口警部のお使いになる手で、私のは機を
覘
(
ねら
)
ってうまく逆手に用いて成功させたのです。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「何んとも恐れ入りました。では今後は、御迷惑でも、
屡々
(
しばしば
)
御厄介になることゝ存じます。——そのお言葉で、馬琴、世の中が急に明るくなったような気がいたします」
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
恋が
屡々
(
しばしば
)
恐ろしい結末を
齎
(
もた
)
らすものであることは、
古往今来
(
こおうこんらい
)
その例に乏しくないが、良雄とあさ子との恋仲は、あさ子の突然な失明によって、
果敢
(
はか
)
なくも、良雄の方から
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
いわば非常時経済建白書で、その要所要所が、国臣既往一年間「
屡々
(
しばしば
)
利貨を失」った経済戦線と結びつけられている点妙味がある。しかもけっしてあだにはならなかった。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
“Berg des Schreckens” として
屡々
(
しばしば
)
くりかえされた誤解であって、Sehrecken 又は Schricken は、Springen で
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
彼女が彼と
屡々
(
しばしば
)
銀座を歩いて居る所を人々は見たのです。又、或る大政治家の息子で文学好きな青年は、
度々
(
たびたび
)
彼女と共に劇場に姿を現わして、多くの人々を
羨
(
うらやま
)
しがらせました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
屡
漢検準1級
部首:⼫
12画
々
3画
“屡”で始まる語句
屡
屡〻
屡次
屡叩
屡瞬
屡ゝ
屡屡
屡〻見