居直ゐなほ)” の例文
ちや外套氏ぐわいたうし大欠伸おほあくびをしてきた。口髯くちひげ茶色ちやいろをした、けた人物じんぶつで、ズボンをはだけて、どつかと居直ゐなほつて
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだ聞かざりしをさやかに知るは怪しけれど、疑ひなきそれとまくらおしやりて、居直ゐなほれば又ひとこゑさやかにぞなく。
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たゞ見るさへあやふければ、芭蕉ばせうが蝶も居直ゐなほる笠の上といひし木曾きそかけはしにもをさ/\おとらず。
うつもらふがよい懇切ねんごろさうに申きけ居直ゐなほりて御奉行樣私よりも願ひ上ます妹の安は此三次めが殺せしと承まはる上からはすぐにも打果うちはたすべきやつなるに現在げんざい妹の敵と名乘なのるそばに居ながら手も出されぬ我が身は如何に口惜くちをしとがみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なくてはいけないなんの病中びやうちう失礼しつれいなにもあつたものぢやアないそれともすこきてならぼくりかゝつてるがいゝといだおこせば居直ゐなほつて。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つぶやくのを機會しほに、またいだ敷居しきゐこしはづすと、まどひぢを、よこざまに、むね投掛なげかけて居直ゐなほつた。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
のこさぬ者なり此越前がにらんだまなこちがひはないぞと申されければ勘太郎も所詮しよせん助かり難しと斷念あきらめ然らば白状仕つらんとて居直ゐなほり米屋の隱居とは存ぜざれども夜中やちう忍込しのびこみ切害の上金百兩うばとりたるに相違之なくと白状に及びければ神妙しんめうなりと申され其金百兩有りし事如何して知りたるやとたゞされしに勘太郎其日小間物屋彦兵衞金子無心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしは、先生せんせいなつ嘉例かれいとしてくだすつた、水色みづいろきぬべりをとつた、はい原製ばらせいすゞしい扇子あふぎを、ひざめて、むねしかつて車上しやじやう居直ゐなほつた。しかしてだいつて極暑ごくしよ一文いちぶんこゝろあんじた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とばかりで、小兒こぞうを、の、せめてもしづくとほひだりはうへ、かひなつかんで居直ゐなほらせた。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つねさんはつくゑむかうに居直ゐなほつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)