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奴婢
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ぬひ
ふりがな文庫
“
奴婢
(
ぬひ
)” の例文
流民の大部分は、もとより
奴婢
(
ぬひ
)
土民が主であったが、その中には、諸葛氏一家のような士大夫や学者などの知識階級もたくさんいた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その日の暮つかた、われは
家内
(
やぬち
)
の又さきにも増して物騷がしきを覺え、側なる
奴婢
(
ぬひ
)
に問はんとするに、一人として我に答ふるものなし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
灯
(
あかり
)
も
明
(
あか
)
るき
無料
(
むりょう
)
の
官宅
(
かんたく
)
に、
奴婢
(
ぬひ
)
をさえ
使
(
つか
)
って
住
(
す
)
んで、その
上
(
うえ
)
、
仕事
(
しごと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
思
(
おも
)
うまま、してもしないでも
済
(
す
)
んでいると
云
(
い
)
う
位置
(
いち
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
食客は江戸
若
(
もし
)
くはその
界隈
(
かいわい
)
に寄るべき親族を求めて去った。
奴婢
(
ぬひ
)
は、弘前に
随
(
したが
)
い
行
(
ゆ
)
くべき若党二人を除く外、
悉
(
ことごと
)
く
暇
(
いとま
)
を取った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
昔は高年者に「侍」を賜うという事もある、
家人
(
けにん
)
・
奴婢
(
ぬひ
)
等がその主人に侍し、その用務を弁じ、その護衛に任ずるもの、これすなわち
侍
(
さむらい
)
である。
「特殊部落」と云う名称について
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
るに
御老職
(
ごらうしよく
)
末席
(
ばつせき
)
なる
恩田杢殿方
(
おんだもくどのかた
)
は
一家内
(
いつかない
)
能
(
よ
)
く
治
(
をさ
)
まり、
妻女
(
さいぢよ
)
は
貞
(
てい
)
に、
子息
(
しそく
)
は
孝
(
かう
)
に、
奴婢
(
ぬひ
)
の
輩
(
ともがら
)
皆
(
みな
)
忠
(
ちう
)
に、
陶然
(
たうぜん
)
として
無事
(
ぶじ
)
なること
恰
(
あたか
)
も
元日
(
ぐわんじつ
)
の
如
(
ごと
)
く
暮
(
くら
)
され
候
(
さふらふ
)
。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
普通の百姓でもって一戸の人口が
奴婢
(
ぬひ
)
までも併算すれば、八九十から百に達するものも少なくないのであります。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし、やがてシロオテは屋敷の
奴婢
(
ぬひ
)
、長助はる夫婦に法を授けたというわけで、たいへんいじめられた。
地球図
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
奴婢
(
ぬひ
)
は、其々もち場持ち場の掃除を励む為に、ようべの雨に洗ったようになった、境内の
沙地
(
すなじ
)
に出て来た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
真の『貞淑』とは、良人に
奴婢
(
ぬひ
)
としての善き奉仕をすることではなくして、良人の気質や性格をよく理解し、努めて良人に同化して一心同体となることの奉仕である。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
主
(
ぬし
)
族、僧族、貴族、庶民。……そうしてその下に
奴婢
(
ぬひ
)
族があったが、これは全然他人種であった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わたしはもうこの先二度と妻を持ち
妾
(
しょう
)
を蓄え
奴婢
(
ぬひ
)
を使い家畜を飼い庭には花窓には小鳥
縁先
(
えんさき
)
には金魚を飼いなぞした装飾に富んだ生活を
繰返
(
くりかえ
)
す事は出来ないであろう。時代は変った。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
面もまた面そのものには色の如く意味がない。然しながら形象の模倣再現から這入ったこの芸術は永くその伝統から
遁
(
のが
)
れ出ることが出来ないで、その色その面を形の
奴婢
(
ぬひ
)
にのみ
充
(
あ
)
てていた。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
奴は
奴隷
(
どれい
)
で、女は
奴婢
(
ぬひ
)
であり、庶民より一階級下の賤民とされてゐた。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
父の
膝
(
ひざ
)
をばわが舞踏
場
(
ば
)
として、父にまさる遊び相手は世になきように幼き時より思い込みし武男のほかは、夫人の慶子はもとより
奴婢
(
ぬひ
)
出入りの者果ては居間の柱まで主人が
鉄拳
(
てっけん
)
の味を知らぬ者なく
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
主
(
しゅう
)
は
奴婢
(
ぬひ
)
がどう仕えるかを見て、何者かとは問わぬ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
燈
(
あかり
)
も
明
(
あか
)
るき
無料
(
むれう
)
の
官宅
(
くわんたく
)
に、
奴婢
(
ぬひ
)
をさへ
使
(
つか
)
つて
住
(
す
)
んで、
其上
(
そのうへ
)
、
仕事
(
しごと
)
は
自分
(
じぶん
)
の
思
(
おも
)
ふ
儘
(
まゝ
)
、
仕
(
し
)
ても
仕
(
し
)
ないでも
濟
(
す
)
んでゐると
云
(
い
)
ふ
位置
(
ゐち
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
されば、その主人が好意上から、或いはその他の理由から、
奴婢
(
ぬひ
)
を
上
(
のぼ
)
せて
家人
(
けにん
)
となし、或いは
家人
(
けにん
)
・
奴婢
(
ぬひ
)
を解放して
良民
(
りょうみん
)
となすことが出来ます。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
夫の存命していた時のように、多くの
奴婢
(
ぬひ
)
を使い、
食客
(
しょっかく
)
を
居
(
お
)
くことは出来ない。しかし譜代の若党や老婦にして放ち遣るに忍びざるものもある。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
我子の嫁には鬼のごときも、他人の妻には仏のごとく、動物憐護を説く舌は、かえって
奴婢
(
ぬひ
)
を
叱責
(
しっせき
)
せずや。乞食に米銭を
擲
(
なげう
)
つ
仁者
(
じんしゃ
)
、悩める親に滋味を供せず。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「劉皇叔の二夫人、御嫡子、そのほか
奴婢
(
ぬひ
)
どもにいたるまで、かならずその生命と生活の安全を確約していただきたいことでござる。しかも鄭重なる礼と
俸禄
(
ほうろく
)
とをもって」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その夜、花の都、ネオンの森とやらの、その樹樹のまわりを、くぐり抜け、すり抜け、むなしくぐるぐる駈けずりまわった。使えないのだ。どうしても、そのお金を使えないのだ。
奴婢
(
ぬひ
)
の愛。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
妻となり子となり
奴婢
(
ぬひ
)
となり鋤鍬となり
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
特に良男良女と
奴婢
(
ぬひ
)
との関係をのみ規定して、他に及ばず、奴婢以外に賤民がありとしても、この場合それは国法上の問題に上っていないのである。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
この邸では
奴婢
(
ぬひ
)
のなにがしになんの為事をさせるということは、重いことにしてあって、父がみずからきめる。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
家に飼っている
女奴
(
めのやっこ
)
(
奴婢
(
ぬひ
)
)の
蝦夷萩
(
えぞはぎ
)
と、急に親しくなって、先頃も、昼間、
柵
(
さく
)
の
馬糧倉
(
まぐさぐら
)
の中へ、ふたりきりで隠れこんでいたのを、意地のわるい叔父の郎党に見つけられ
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、貴女を船に送出す時、
磯
(
いそ
)
に倒れて悲しもうが、新しい白壁、
艶
(
つや
)
ある
甍
(
いらか
)
を、山際の月に照らさして、
夥多
(
あまた
)
の
奴婢
(
ぬひ
)
に取巻かせて、近頃呼入れた、若い
妾
(
めかけ
)
に介抱されていたではないのか。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
家人
(
けにん
)
・
奴婢
(
ぬひ
)
にも、公私の別がありまして、官に属する
家人
(
けにん
)
相当のものは
官戸
(
かんこ
)
と云い、つまり
官戸
(
かんこ
)
・
家人
(
けにん
)
・官の
奴婢
(
ぬひ
)
・私の奴婢と、四通りになっております。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
貸座敷の高楼大厦とその
中
(
うち
)
にある
奴婢
(
ぬひ
)
臧獲
(
ぞうかく
)
とは、おいらんを奉承し装飾する
所以
(
ゆえん
)
の具で、貸座敷の主人はいかに色を
壮
(
さかん
)
にし威を振うとも
此等
(
これら
)
の雑輩に長たるものに過ぎない。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
たとえば、一家の営みを見ましても
奴婢
(
ぬひ
)
がおれば、
奴
(
ぬ
)
は出でて田を耕し、
婢
(
ひ
)
は内にあって
粟
(
あわ
)
を
炊
(
かし
)
ぐ。——鶏は
晨
(
あした
)
を告げ、犬は盗人の番をし、牛は重きを負い、馬は遠きに行く。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大宝令にはいわゆる五色の賤民として、陵戸、官戸、
家人
(
けにん
)
、官
奴婢
(
ぬひ
)
、私
奴婢
(
ぬひ
)
の五種を数えている。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
きのう奴頭に教えられたように、厨子王は
樏子
(
かれいけ
)
を持って
厨
(
くりや
)
へ
餉
(
かれい
)
を受け取りに往った。屋根の上、地にちらばった藁の上には霜が降っている。厨は大きい土間で、もう大勢の
奴婢
(
ぬひ
)
が来て待っている。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
で、二夫人と、病弱な一児のほかは、
奴婢
(
ぬひ
)
、召使いたちしかいない。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
乞胸
(
ごうむね
)
と呼ばれた大道芸人の仲間も今では立派な街上芸術家である。昔ならば
家人
(
けにん
)
、
奴婢
(
ぬひ
)
と呼ばれて、賤民階級に置かれた使用人の如きも、今ではサラリーマンと名までが変って来た。
賤民概説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
奴頭は二人の子供を新参小屋に連れて往って、安寿には
桶
(
おけ
)
と
杓
(
ひさご
)
、厨子王には
籠
(
かご
)
と
鎌
(
かま
)
を渡した。どちらにも
午餉
(
ひるげ
)
を入れる
樏子
(
かれいけ
)
が添えてある。新参小屋はほかの
奴婢
(
ぬひ
)
の居所とは別になっているのである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しからばその賤民とはどういう者であったかというと、これは後世に所謂穢多や非人とは違うのでありまして、その主なるものは、先刻申した
家人
(
けにん
)
、その次に
奴婢
(
ぬひ
)
というのがあります。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
“奴婢”の意味
《名詞》
奴婢(ぬひ、どひ)
律令制により設けられた賤民。財産(物)とみなされ、国家が所有した公奴婢、私人が所有した私奴婢があった。
下男と下女。
(出典:Wiktionary)
“奴婢”の解説
奴婢(ぬひ, )は、律令制における身分制度、社会階級の一つであり、良民(自由民)と賤民(非自由民)がある中の後者に相当する。奴(ぬ/やつこ, )は男性、婢(ひ/みやつこ, )は女性を意味する。
(出典:Wikipedia)
奴
常用漢字
中学
部首:⼥
5画
婢
漢検1級
部首:⼥
11画
“奴婢”で始まる語句
奴婢鶏犬