“奴婢:ぬひ” の例文
“奴婢:ぬひ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治4
喜田貞吉3
森鴎外3
泉鏡花2
太宰治2
“奴婢:ぬひ”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > 戯曲50.0%
歴史 > 伝記 > 系譜・家史・皇室20.0%
社会科学 > 社会 > 社会学15.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
昔ならば家人けにん奴婢ぬひと呼ばれて、賤民階級に置かれた使用人の如きも、今ではサラリーマンと名までが変って来た。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
彼らには階級が四つあった。ぬし族、僧族、貴族、庶民。……そうしてその下に奴婢ぬひ族があったが、これは全然他人種であった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
流民の大部分は、もとより奴婢ぬひ土民が主であったが、その中には、諸葛氏一家のような士大夫や学者などの知識階級もたくさんいた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奴婢ぬひは、其々もち場持ち場の掃除を励む為に、ようべの雨に洗ったようになった、境内の沙地すなじに出て来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
大宝令にはいわゆる五色の賤民として、陵戸、官戸、家人けにん、官奴婢ぬひ、私奴婢ぬひの五種を数えている。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
その日の暮つかた、われは家内やぬちの又さきにも増して物騷がしきを覺え、側なる奴婢ぬひに問はんとするに、一人として我に答ふるものなし。
しかし、やがてシロオテは屋敷の奴婢ぬひ、長助はる夫婦に法を授けたというわけで、たいへんいじめられた。
地球図 (新字新仮名) / 太宰治(著)
然しながら形象の模倣再現から這入ったこの芸術は永くその伝統からのがれ出ることが出来ないで、その色その面を形の奴婢ぬひにのみてていた。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
奴婢ぬひは、弘前にしたがくべき若党二人を除く外、ことごといとまを取った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
妻女さいぢよていに、子息しそくかうに、奴婢ぬひともがらみなちう
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
奴婢ぬひをさえ使つかってんで、そのうえ仕事しごと自分じぶんおもうまま
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ことに後には貧乏して金が返せぬとか、父兄に売られたとか、誘拐されたとかの原因で奴婢ぬひになるのもあれば、自ら好んで家人けにんになるのもある。
夫の存命していた時のように、多くの奴婢ぬひを使い、食客しょっかくくことは出来ない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
昔は高年者に「侍」を賜うという事もある、家人けにん奴婢ぬひ等がその主人に侍し、その用務を弁じ、その護衛に任ずるもの、これすなわちさむらいである。
奴は奴隷どれいで、女は奴婢ぬひであり、庶民より一階級下の賤民とされてゐた。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
二十年以上ねんいじやうあひだも、暖爐だんろいてあり、あかりあかるき無料むれう官宅くわんたくに、奴婢ぬひをさへ使つかつてんで
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
——で、二夫人と、病弱な一児のほかは、奴婢ぬひ、召使いたちしかいない。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「劉皇叔の二夫人、御嫡子、そのほか奴婢ぬひどもにいたるまで、かならずその生命と生活の安全を確約していただきたいことでござる。しかも鄭重なる礼と俸禄ほうろくとをもって」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されば、その主人が好意上から、或いはその他の理由から、奴婢ぬひのぼせて家人けにんとなし、或いは家人けにん奴婢ぬひを解放して良民りょうみんとなすことが出来ます。
しゅう奴婢ぬひがどう仕えるかを見て、何者かとは問わぬ。
新参小屋はほかの奴婢ぬひの居所とは別になっているのである。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
厨は大きい土間で、もう大勢の奴婢ぬひが来て待っている。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
わたしはもうこの先二度と妻を持ちしょうを蓄え奴婢ぬひを使い家畜を飼い庭には花窓には小鳥縁先えんさきには金魚を飼いなぞした装飾に富んだ生活を繰返くりかえす事は出来ないであろう。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
妻となり子となり奴婢ぬひとなり鋤鍬となり、
父のひざをばわが舞踏として、父にまさる遊び相手は世になきように幼き時より思い込みし武男のほかは、夫人の慶子はもとより奴婢ぬひ出入りの者果ては居間の柱まで主人が鉄拳てっけんの味を知らぬ者なく
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
貸座敷の高楼大厦とそのうちにある奴婢ぬひ臧獲ぞうかくとは、おいらんを奉承し装飾する所以ゆえんの具で、貸座敷の主人はいかに色をさかんにし威を振うとも此等これらの雑輩に長たるものに過ぎない。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
家に飼っている女奴めのやっこ奴婢ぬひ)の蝦夷萩えぞはぎと、急に親しくなって、先頃も、昼間、さく馬糧倉まぐさぐらの中へ、ふたりきりで隠れこんでいたのを、意地のわるい叔父の郎党に見つけられ、
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、貴女を船に送出す時、いそに倒れて悲しもうが、新しい白壁、つやあるいらかを、山際の月に照らさして、夥多あまた奴婢ぬひに取巻かせて、近頃呼入れた、若いめかけに介抱されていたではないのか。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ありがとうございます。——たとえば、一家の営みを見ましても奴婢ぬひがおれば、は出でて田を耕し、は内にあってあわかしぐ。——鶏はあしたを告げ、犬は盗人の番をし、牛は重きを負い、馬は遠きに行く。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奴婢ぬひの愛。
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これは古代戸籍の制度の影響もあって、複雑な問題でこの際述べることもできないが、奈良の正倉院に残っている大宝時代の諸国の戸籍などを見ると、普通の百姓でもって一戸の人口が奴婢ぬひまでも併算すれば、八九十から百に達するものも少なくないのであります。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)