“大(おほひ)” の例文
背(せ)を高(たか)く、足(あし)を踏(ふ)んで、沼(ぬま)の岸(きし)を離(はな)れると、足代(あじろ)に突立(つゝた)つて見送(みおく)つた坊主(ばうず)の影(かげ)は、背後(うしろ)から蔽覆(おつかぶ)さる如(ごと)く、大(おほひ)なる形(かたち)に成(な)つて見(み)えた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
龐涓(はうけん)行(ゆ)くこと三日(みつか)、大(おほひ)に喜(よろこ)んで曰(いは)く、『我(われ)固(もと)より齊(せい)の軍(ぐん)の怯(けふ)なるを知(し)る。吾(わ)が地(ち)に入(い)りて三日(みつか)、士卒(しそつ)亡(に)ぐる者(もの)、半(なか)ばに過(す)ぎたり』
その時他(た)の二個の怪物はメヂューサの死骸を見て大(おほひ)に怒り忽(たちま)ち跡を追つかけたけれども、伝令神の沓には及ばず、パーシユーズは首尾よく虎口を脱(のが)れた。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
扨(さて)も平野村甚左衞門方に世話(せわ)に成居るお三婆は此事を聞(きく)より大(おほひ)に歎(なげ)き悲(かなし)み先年御誕生(ごたんじやう)の若君の今迄(いままで)も御存命に在(おはし)まさば將軍の御落胤(おんおとしだね)なれば何樣(いかやう)なる立身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それが第(だい)一自營獨立(じえいどくりつ)の念(ねん)を薄弱(はくじやく)にするの原因(げんいん)で、隨(したが)つて日本婦人(にほんふじん)の大(おほひ)なる弱點(じやくてん)であらうと思(おも)ひます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
『僕はそれ以来、大(おほひ)に同情を表して居る。』
一月一日 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
龐涓(はうけん)、果(はた)して夜(よる)、斫木(しやくぼく)の下(もと)に至(いた)り、白書(はくしよ)を見(み)、乃(すなは)ち(五五)火(ひ)を鑽(き)りて之(これ)を燭(てら)す。其書(そのしよ)を讀(よ)み未(いま)だ畢(をは)らざるに、齊(せい)の軍(ぐん)の萬弩(ばんど)倶(とも)に發(はつ)す。魏(ぎ)の軍(ぐん)大(おほひ)に亂(みだ)れ、(五六)相失(あひしつ)す。
されば此(こ)の家塾(かじゆく)で放任主義(はうにんしゆぎ)を行(おこな)ふのは畢竟(ひつきやう)獨立心(どくりつしん)を養(やしな)ふ爲(ため)であつて、この狹(せま)い小(ちひ)さな家塾(かじゆく)で其(そ)の習慣(しふくわん)をつけて置(お)くのは他日(たじつ)大(おほひ)なる社會(しやくわい)、廣(ひろ)き世界(せかい)へ出(い)て事(こと)の缺(か)けない仕度(したく)で御在(ござい)ます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)