“塵芥:ちりあくた” の例文
“塵芥:ちりあくた”を含む作品の著者(上位)作品数
永井荷風2
吉川英治2
泉鏡花2
太宰治2
有島武郎2
“塵芥:ちりあくた”を含む作品のジャンル比率
哲学 > 仏教 > 仏教教理・仏教哲学100.0%
哲学 > 仏教 > 経典50.0%
文学 > ドイツ文学 > 戯曲25.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
お佐代さんにはたしかに尋常でない望みがあって、その望みの前には一切の物が塵芥ちりあくたのごとく卑しくなっていたのであろう。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
遠くの沖には彼方かなた此方こなたみを粗朶そだ突立つつたつてゐるが、これさへ岸より眺むれば塵芥ちりあくたかと思はれ
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
むッとした容子だったが、大隅、薩摩、日向三カ国の太守と雖も、江戸八百万石御威光そのものなる御墨付の前には気の毒ながら塵芥ちりあくたです。
溜ってぼろ布のように浮く塵芥ちりあくたに抵抗しながら鍋膏薬なべこうやくの使いからしが流されて来た。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「……何でもない! そんな小さい私事はみな塵芥ちりあくただ。世を建直す大きな波へ浮び沈む塵芥ちりあくたよ。……目をくれている要もない」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水底みづそこ缺擂鉢かけすりばち塵芥ちりあくた襤褸切ぼろぎれくぎをれなどは不殘のこらずかたちして
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さあ、雨戸をみんなあけて、ことしの家中の塵芥ちりあくたをさっぱりと掃き出して、のんきに福の神の御入来を待つがよい。万事はわしたちが引受けました。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
気位が高くて私なぞはほとんど塵芥ちりあくた同然にしか見ていないことも、ようく心得ていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
塵の効用 いったい世の中で、なんの役にもたたないものを「塵芥ちりあくた」といいます。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
その瞬間に自分に対する誇りが塵芥ちりあくたのように踏みにじられるのを感じたからだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ええ? 黄金だと? それとはまるで大違ひ、黄金どころか、塵芥ちりあくたなんで……。
一思ひとおもひにけてしまうてくれい! 此上このうへらうはひれ、もう自由じいうるな! けがらはしい塵芥ちりあくた
思いすてて塵芥ちりあくたよりも軽かりし命は不思議にながらえて、熱去り苦痛薄らぎ食欲復するとともに、われにもあらで生を楽しむ心は動き、従って煩悩ぼんのうもわきぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
堤防の遠方おちかたにすくすくと立って白い煙を吐く此処彼処ここかしこ富家ふか煙突えんとつが低くなって、水底のその欠擂鉢、塵芥ちりあくた襤褸切ぼろぎれ
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私の心の奥底には確かに——すべての人の心の奥底にあるのと同様な——火が燃えてはいたけれども、その火をいぶらそうとする塵芥ちりあくた堆積たいせきはまたひどいものだった。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
英雄にあらずんば塵芥ちりあくた、中庸などは存在しなかった。
高邁こうまいの理想のために、おのれの財も、おのれの地位も、塵芥ちりあくたの如く投げ打って、自ら駒を陣頭にすすめた経験の無い人には、ドン・キホオテの血を吐くほどの悲哀が絶対にわからない。
デカダン抗議 (新字新仮名) / 太宰治(著)
獺は塵芥ちりあくたの中を這い廻って、5480
めるほどきたないものはちりかねなり」ということわざがあるが、これも貯めようによるべし、おそらく塵芥ちりあくたとても貯蔵ちょぞう法よろしきを得たなら、清くする工夫くふうもあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
貞之進は始終耳をそばだてゝ居たが、ついに思う名を聴得なかったので、平日ふだんならば男児が塵芥ちりあくたともせぬほどのことが胆を落し、張合なげに巻煙草を吸附て居ると、その芸妓はこっち向きに居坐いざり直って
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
これ程の評判と、これ程の奇智と、これ程の度量と、そしてこれ程の腕前に恵まれてゐる俺達にとつては、金銀財宝などは塵芥ちりあくたも同然だ、やがて、収穫とりいれの季節も終り、水車小屋が他人手ひとでに渡つたあかつきには
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
旅費の一部分として無雑作に目の前に出されたことに於て、今更、お雪ちゃんも、この人の実家というものが、底の知れないほどの長者であることを思わせられずにはいないと共に、そうかといって、それを湯水、塵芥ちりあくたの如く扱うわけでもなく
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「サーシャ、僕にはちっとも感服できんね」とラエーフスキイは答える、「自然を嘆賞してやまないのは、われとわが想像力の貧しさを語るものだ。僕の空想に描かれるものに比べると、こんな小川や岩ぼこは塵芥ちりあくただ、それ以外の何ものでもない。」
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「いやはや、目前に見る孔明と、かねて耳に聞いていた孔明とは、大きなちがいである。用兵神変、孫子以来の人だなどと、取沙汰とりざたされておるが、あの陣容とあの兵気は何事か。あくたの山を踏むより易いぞ、蹴ちらせ、あの塵芥ちりあくたを」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ましてや塵芥ちりあくたにも等しい陪臣共またものどもが、大藩の威光を笠に着て、今のごとき横道な振舞い致したとあっては、よし天下のすべてが見逃そうとも、早乙女主水之介いち人は断じて容赦ならぬ。いや、面白いぞ、面白いぞ。島津が対手ならば、久方ぶりにきもならしも出来ると申すものじゃ。
世間には随分賢からぬ者の好き地位を得て、時めかし居り候も少からぬを見るにつけ、何故なにゆゑ御前様おんまへさまにはやうの善からぬわざよりに択りて、折角の人にすぐれし御身を塵芥ちりあくたの中に御捨おんす被遊候あそばされさふらふや、残念に残念に存上ぞんじあげまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
遠くの沖には彼方かなた此方こなたみお粗朶そだ突立つったっているが、これさえ岸より眺むれば塵芥ちりあくたかと思われ、そのあいだうか牡蠣舟かきぶね苔取のりとり小舟こぶねも今は唯いて江戸の昔を追回ついかいしようとする人の眼にのみいささかの風趣を覚えさせるばかりである。