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塵芥
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ちりあくた
ふりがな文庫
“
塵芥
(
ちりあくた
)” の例文
何故
(
なにゆゑ
)
御前様
(
おんまへさま
)
には
然
(
さ
)
やうの善からぬ
業
(
わざ
)
を
択
(
より
)
に択りて、折角の人に
優
(
すぐ
)
れし御身を
塵芥
(
ちりあくた
)
の中に
御捨
(
おんす
)
て
被遊候
(
あそばされさふらふ
)
や、残念に残念に
存上
(
ぞんじあげ
)
まゐらせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
むッとした容子だったが、大隅、薩摩、日向三カ国の太守と雖も、江戸八百万石御威光そのものなる御墨付の前には気の毒ながら
塵芥
(
ちりあくた
)
です。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「……何でもない! そんな小さい私事はみな
塵芥
(
ちりあくた
)
だ。世を建直す大きな波へ浮び沈む
塵芥
(
ちりあくた
)
よ。……目をくれている要もない」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お佐代さんにはたしかに尋常でない望みがあって、その望みの前には一切の物が
塵芥
(
ちりあくた
)
のごとく卑しくなっていたのであろう。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
水底
(
みづそこ
)
の
其
(
そ
)
の
缺擂鉢
(
かけすりばち
)
、
塵芥
(
ちりあくた
)
、
襤褸切
(
ぼろぎれ
)
、
釘
(
くぎ
)
の
折
(
をれ
)
などは
不殘
(
のこらず
)
形
(
かたち
)
を
消
(
け
)
して、
蒼
(
あを
)
い
潮
(
しほ
)
を
滿々
(
まん/\
)
と
湛
(
たゝ
)
へた
溜池
(
ためいけ
)
の
小波
(
さゝなみ
)
の
上
(
うへ
)
なる
家
(
いへ
)
は、
掃除
(
さうぢ
)
をするでもなしに
美
(
うつく
)
しい。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
さあ、雨戸をみんなあけて、ことしの家中の
塵芥
(
ちりあくた
)
をさっぱりと掃き出して、のんきに福の神の御入来を待つがよい。万事はわしたちが引受けました。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
塵の効用 いったい世の中で、なんの役にもたたないものを「
塵芥
(
ちりあくた
)
」といいます。だが、もし塵芥といわれる、その塵がなかったとしたらどうでしょうか。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
思いすてて
塵芥
(
ちりあくた
)
よりも軽かりし命は不思議にながらえて、熱去り苦痛薄らぎ食欲復するとともに、われにもあらで生を楽しむ心は動き、従って
煩悩
(
ぼんのう
)
もわきぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
ええ? 黄金だと? それとはまるで大違ひ、黄金どころか、
塵芥
(
ちりあくた
)
なんで……。いやはや、実に口にするのも穢らはしいものなんで。祖父はぺつと唾を吐いた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:05 呪禁のかかつた土地
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
いやいや、それは聞いて下さるな、同じ島に住んでいる間は、迂闊なことを云おうものなら、我身が危い、あの傴僂さんにかかっては、人間の命は、
塵芥
(
ちりあくた
)
やでな。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
貯
(
た
)
めるほど
穢
(
きた
)
ないものは
塵
(
ちり
)
と
金
(
かね
)
なり」という
諺
(
ことわざ
)
があるが、これも貯めようによるべし、おそらく
塵芥
(
ちりあくた
)
とても
貯蔵
(
ちょぞう
)
法よろしきを得たなら、清くする
工夫
(
くふう
)
もあろう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私の心の奥底には確かに——すべての人の心の奥底にあるのと同様な——火が燃えてはいたけれども、その火を
燻
(
いぶ
)
らそうとする
塵芥
(
ちりあくた
)
の
堆積
(
たいせき
)
はまたひどいものだった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
英雄にあらずんば
塵芥
(
ちりあくた
)
、中庸などは存在しなかった。これがそもそもわたしの身の破滅となったのだ。
地下生活者の手記
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
遠くの沖には
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
澪
(
みを
)
や
粗朶
(
そだ
)
が
突立
(
つつた
)
つてゐるが、これさへ岸より眺むれば
塵芥
(
ちりあくた
)
かと思はれ
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「自然を嘆賞してやまないのは、われとわが想像力の貧しさを語るものだ。僕の空想に描かれるものに比べると、こんな小川や岩ぼこは
塵芥
(
ちりあくた
)
だ、それ以外の何ものでもない。」
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
気位が高くて私なぞはほとんど
塵芥
(
ちりあくた
)
同然にしか見ていないことも、ようく心得ていた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
隣家との境の醜部露出狂のような
溝
(
どぶ
)
に魚の
鱗
(
うろこ
)
が一つかみ、
爛
(
ただ
)
れた泥と水との間に捨てられていた。溜ってぼろ布のように浮く
塵芥
(
ちりあくた
)
に抵抗しながら
鍋膏薬
(
なべこうやく
)
の使いからしが流されて来た。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
金銀財宝などは
塵芥
(
ちりあくた
)
も同然だ、やがて、
収穫
(
とりいれ
)
の季節も終り、水車小屋が
他人手
(
ひとで
)
に渡つたあかつきには、ヤグラ岳の山窩へなりと
屯
(
たむ
)
ろして、ロビンフツドの夢を実現させようではないか
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
裂
(
さ
)
けよ!
此
(
この
)
胸
(
むね
)
よ!
破産
(
はさん
)
した
不幸
(
みじめ
)
な
心
(
こゝろ
)
よ、
一思
(
ひとおも
)
ひに
裂
(
さ
)
けてしまうてくれい!
目
(
め
)
も
此上
(
このうへ
)
は
牢
(
らう
)
へ
入
(
はひ
)
れ、もう
自由
(
じいう
)
を
見
(
み
)
るな!
穢
(
けがらは
)
しい
塵芥
(
ちりあくた
)
め、
元
(
もと
)
の
土塊
(
つちくれ
)
へ
歸
(
かへ
)
りをれ、
活
(
い
)
きて
働
(
はたら
)
くには
及
(
およ
)
ばぬわい
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
杉林はいうまでもなく、植込はみな勝手なほうへ枝を伸ばしているし、池は干あがって
塵芥
(
ちりあくた
)
が
溜
(
た
)
まっているし、築山は去年の霜と雪で一部が崩れ、皮の
剥
(
は
)
げた
傷痕
(
きずあと
)
のように
赭土
(
あかつち
)
の肌が見えていた。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
貞之進は始終耳を
欹
(
そばだ
)
てゝ居たが、ついに思う名を聴得なかったので、
平日
(
ふだん
)
ならば男児が
塵芥
(
ちりあくた
)
ともせぬほどのことが胆を落し、張合なげに巻煙草を吸附て居ると、その芸妓はこっち向きに
居坐
(
いざ
)
り直って
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それを湯水、
塵芥
(
ちりあくた
)
の如く扱うわけでもなく、量目の存するところは量目として説明し、換算の目算は換算の目算としての相当の常識——むしろ、富に於てはこれと比較にならない自分たちの頭よりも
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
獺は
塵芥
(
ちりあくた
)
の中を這い廻って、5480
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
水底のその欠擂鉢、
塵芥
(
ちりあくた
)
、
襤褸切
(
ぼろぎれ
)
、釘の
折
(
おれ
)
などは
不残
(
のこらず
)
形を消して、
蒼
(
あお
)
い潮を
満々
(
まんまん
)
と
湛
(
たた
)
えた
溜池
(
ためいけ
)
の
小波
(
さざなみ
)
の上なる家は、掃除をするでもなしに美しい。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠くの沖には
彼方
(
かなた
)
此方
(
こなた
)
に
澪
(
みお
)
や
粗朶
(
そだ
)
が
突立
(
つった
)
っているが、これさえ岸より眺むれば
塵芥
(
ちりあくた
)
かと思われ
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
躍り立つやいな、事実、彼の左右の腕、両の足から、さながら
塵芥
(
ちりあくた
)
みたいに人間が
刎
(
は
)
ね飛んだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高邁
(
こうまい
)
の理想のために、おのれの財も、おのれの地位も、
塵芥
(
ちりあくた
)
の如く投げ打って、自ら駒を陣頭にすすめた経験の無い人には、ドン・キホオテの血を吐くほどの悲哀が絶対にわからない。
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ましてや
塵芥
(
ちりあくた
)
にも等しい
陪臣共
(
またものども
)
が、大藩の威光を笠に着て、今のごとき横道な振舞い致したとあっては、よし天下のすべてが見逃そうとも、早乙女主水之介いち人は断じて容赦ならぬ。
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
けれども葉子はどうしてもそれを口の
端
(
は
)
に
上
(
のぼ
)
せる事はできなかった。その瞬間に自分に対する誇りが
塵芥
(
ちりあくた
)
のように踏みにじられるのを感じたからだ。葉子は自分ながら自分の心がじれったかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
踏むより易いぞ、蹴ちらせ、あの
塵芥
(
ちりあくた
)
を
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“塵芥”の意味
《名詞》
塵 芥 (じんかい、ちりあくた)
ごみ。
無価値なもの。
(出典:Wiktionary)
塵
漢検準1級
部首:⼟
14画
芥
漢検準1級
部首:⾋
7画
“塵芥”で始まる語句
塵芥箱
塵芥溜
塵芥焼
塵芥籠
塵芥車
塵芥堆
塵芥屋
塵芥捨場
塵芥掃除人
塵芥焼却場