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國許
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くにもと
國許にござります、
其の
話につきまして、
其を
饒舌りますのに、
實にこまりますことには、
事柄の
續の
中に、
歌が
一つござります。
以て申送れば
國許にても
家老衆早々登城の上
評議に及ぶ面々は安藤
帶刀同く
市正水野
石見守宮城丹波川俣彈正登坂式部松平
監物細井
※書等なり江戸表よりの
書状を
三ヶ
月ばかり
過ぎると、
彼女は
國許に
歸つて
開業するといふので、
新しい
若い
夫と
共に、この
土地を
去るべくさま/″\な
用意に
取りかゝつた。
彼女は
持つてゐるものを
皆捧げた。
國許にござります
其の
話につきまして、
其を
饒舌りますのに
實にこまりますことには、
事柄の
續の
中に
歌が
一つござりますので。
上右金子の譯は十八年以前
國許に罷り在候節同家中に新藤市之丞と申者私し
同役の娘と
密通に及びしを
千助の
順に
杯が
𢌞つて
來た
時、
自分國許の
事に
擬へて、
仔細あつて、
世を
忍ぶ
若ものが
庄屋の
屋敷に
奉公して、
其の
妻と
不義をする
段、
手に
取るやうに
饒舌つて
なし夫より
國許へ歸れば間もなく
兩人の妻
安産なし金屋の
方は女子にて名をお
菊と呼び
井筒屋の
方は男子にて吉三郎と
名付互ひの
悦び大方ならず
豫て
約束の如く
夫婦にせんと末を
元二の
順に
杯も
𢌞つて
來た
時、
自分國許の
事に
懲りて
仔細あつて、
世を
忍ぶ
若ものが
庄屋の
屋敷に
奉公して、
其の
妻と
不義をする、なかだちは、
婦が
寵愛の
猫で
否、
私等は
東京へ
修行に
參つて
居るものでござるが、
今度國許に
父が
急病と
申す
電報が
懸つて、
其で
歸るのでござるが、
急いで
見舞はんければなりませんので、
止むを
得ず
船にしました。
因りて
倩々案ずるに、
國許に
候恩田杢と
申者、
老職末席にて
年少なれど、きつと
器量ある
者につき、
國家の
政道を
擧げて
任せ
申さむと
存ずるが、
某も
渠も
若年なれば
譜代の
重役をはじめ
家中の
者ども