別物べつもの)” の例文
惡業わるさまらぬ女子おなごがあらば、繁昌はんじようどころかひともあるまじ、貴君あなた別物べつものわたしところひととても大底たいていはそれとおぼしめせ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「僕も実は御礼にやうなものだが、本当の御礼には、いづれ当人がるだらうから」と丸で三千代と自分を別物べつものにした言分いひぶんであつた。代助はたゞ
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
答『へびはもともと地上ちじょう下級動物かきゅうどうぶつかたちも、性質せいしつも、資格しかく竜神りゅうじんとはまった別物べつものじゃ。へびがいかに功労こうろうたところで竜神りゅうじんになれるわけのものでない……。』
しかしながら、もしそこに火災かさいおこおそれがあり、また實際じつさい小火ぼやおこしてゐたならば、問題もんだい全然ぜんぜん別物べつものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
係官の中には、両者を同一の鞄とし、それが時には普通の鞄であり、また時には化けるのだと考えているようであったが、帆村はこの二つが別物べつものだとしていた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、すぐにかみして、はなくさいてみましたが、やはりすこしもいいいろなくて、まったく少年しょうねんいたのとは別物べつものであって、まずくきたなく自分じぶんながらられないものでありました。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
つやつゝみのしらべ、三味さみ音色ねいろことかゝぬ塲處ばしよも、まつりは別物べつものとりいちけては一ねんにぎはひぞかし、三島みしまさま小野照をのてるさま、お隣社となりづからけまじのきそこゝろをかしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
には襤褸ぼろげさせいゑとては二じよう此樣こん犬小屋いぬごや世間せけんたいから馬鹿ばかにされて別物べつものにされて、よしや春秋はるあき彼岸ひがんればとて、隣近處となりきんじよ牡丹ぼたもち團子だんごくばあるなか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今夜こんやれるとはゆめやうな、ほんにこゝろとゞいたのであらう、自宅うちうまものはいくらもべやうけれどおやのこしらいたはまた別物べつもの奧樣氣おくさまぎとりすてゝ今夜こんやむかしのおせきになつて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)