出来上できあが)” の例文
旧字:出來上
江戸の開城かいじょうその事はなはにして当局者の心事しんじかいすべからずといえども、かくその出来上できあがりたる結果けっかを見れば大成功だいせいこうと認めざるを得ず。
う云ふ時に代助は、あたま内側うちがは外側そとがはが、しつことなつた切りみ細工で出来上できあがつてゐるとしか感じ得られないくせになつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あれはたまごなかにあまりながはいっておりましたせいで、からだつきが普通なみ出来上できあがらなかったのでございます。
現界げんかいのおみやもよくできてるが、こちらのおみやは一そうんでるぞ。もうとう出来上できあがっているから、はいまえに一そなたを案内あんないしてくといたそうか……。
「でもこれはまだほんとうに出来上できあがっていないんですからね、すっかり出来あがったら上げましょう。」
祖母 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
上等のバタを使うので、出来上できあがりがねっとりしていていささ無気味ぶきみに感ぜられる。蛙はむしろラードのようなものでからりとげた方があっさりしていてよくはないだろうか。
異国食餌抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
あなたがおでいになるたんびに、絹紐きぬひもを一ぽんずつってください、ね、あたしそれで梯子はしごんで、それが出来上できあがったら、したりますから、うませて、れてって頂戴ちょうだい
「まだ、なか/\だ。」と独言ひとりごとのやうにつて、「ちやうさん。あれア𢌞まはりの拍子木ひやうしぎつて道具立だうぐだて出来上できあがツたつて事を、役者の部屋のはうへ知らせる合図あひづなんだ。までにやアまだ、なか/\よ。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
つゞいて、だから先刻さつき云つたかねを貸してください、といふ文句がおのづからあたまなか出来上できあがつた。——けれども代助はたゞ苦笑してあによめの前にすはつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ばんこまるのは物質ぶっしつというものの兎角とかくくずやすいことで、いろいろ工夫くふうしてつくってても、みな半途はんとながれてしまい、立派りっぱたましい宿やどになるような、完全かんぜん人体じんたい容易ようい出来上できあがらなかったそうでございます。
代助の一家いつけは是丈の人数にんずから出来上できあがつてゐる。そのうちでそとてゐるものは、西洋に行つた姉と、近頃ちかごろ一戸を構へた代助ばかりだから、本家ほんけには大小合せて四人よつたり残る訳になる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
竜宮界りゅうぐうかいおも乙姫様おとひめさまのお指図さしず出来上できあがった、家庭的かていてき理想境りそうきょうなのじゃ。
さていよいよモーニングが出来上できあがってみると、あに計らんやせっかくたのみにしていた学習院の方は落第と事がきまったのです。そうしてもう一人の男が英語教師の空位を充たす事になりました。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)