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不可
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いけ
ふりがな文庫
“
不可
(
いけ
)” の例文
あんたが、いくら
不可
(
いけ
)
ないって云っても、あたしのオウ・デ・コロンをフケ取りの香水の代りに使うから、懲しめのためにやったの。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
「あの小説が
出
(
で
)
てから、サヾーンといふ人が其話を脚本に仕組んだのが別にある。矢張り
同
(
おな
)
じ名でね。それを一所にしちや
不可
(
いけ
)
ない」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ちょいと、どんなことが書いてあって。また
掏賊
(
すり
)
を助けたりなんか、
不可
(
いけ
)
ないことをしたのじゃないの。急いで聞かして頂戴な。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その後土師清二氏からも長谷川伸氏からも「国枝よ。あんまりションボリし過ぎる。大酒は
不可
(
いけ
)
ないが少しは酒をやった方がいい」
小酒井さんのことども
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「又そんな六ヶ
敷
(
し
)
い言葉をお使ひなすつちやあ
不可
(
いけ
)
ません。——だが今日はどちらへ。おいでの所かお帰りの所か存じませんが。」
虎
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
▼ もっと見る
「ああ。何もならぬ事を申しました。さあ参りましょう。軍医大佐殿が待っておられますから……疑われると
不可
(
いけ
)
ませんから……」
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「助の顔色がどうも可くないね。いったい病身な児だから
余程
(
よっぽど
)
気をつけないと
不可
(
いけ
)
ませんよ」と云いつつ今度は自分の方を向いて
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
これが、彼のいちばん
不可
(
いけ
)
ないところだった。じぶんを持することあまりに高いために、すぐ人と争い
猜疑心
(
さいぎしん
)
を燃やす癖がある。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この論法で、きょうも
不可
(
いけ
)
ない、あしたも不可ないと云って、二度も三度も追い返すと、しまいには相手も飽きて、来なくなる。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「あんまりばたばたするから
不可
(
いけ
)
ない。僕の思った通りいよいよこの月世界にはもう空気が全くなくなって終っているんだ。」
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
乳母 はて、お
前
(
まへ
)
は
阿呆
(
あほ
)
らしいお
人
(
ひと
)
ぢゃ、あのやうな
男
(
をとこ
)
を
選
(
えら
)
ばッしゃるとは
目
(
め
)
が
無
(
な
)
いのぢゃ。ロミオ! ありゃ
不可
(
いけ
)
んわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
蛇や蜘蛛は、
寧
(
むし
)
ろ、愛すべき小動物としか思いませんけど、これはどうも、そうはいきません、蛾——蛾——と思うと、もう
不可
(
いけ
)
ないんです。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
『いいえいいえ、昂奮なすつちや
不可
(
いけ
)
ません。昂奮なすつちや不可ません』と、私に背を向けたまゝ、医者は弟を
宥
(
なだ
)
めすかしてゐるのであつた。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
「こないだからちっと許り元気がないの、下らない仕事ばっかし毎日しなきゃ
不可
(
いけ
)
ないでしょう、頭と手とバラバラな生活をしてる様な気がして」
歩む
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
甚だしいものになると、随分と
不可
(
いけ
)
ないことでも、兄弟のやることだと是認した上、自分までその悪事に加担して遂に大罪を犯すことがあります。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ぼくは嫌いなまま愛さなければ
不可
(
いけ
)
ないのでしょうか。なんにも云いたくない。ぼくは余り多くの人々を憎んでいます。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一緒に帰っては間男でもしたと思われるから
不可
(
いけ
)
ないって戯談を言って、如何言っても動かなかった。こう言つて二人が争って居る所へ六平が行った。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「しッ! そんなことを大きな声でいっちゃア
不可
(
いけ
)
ない。どうもお前をつれて歩くと、口が悪いんで
冷
(
ひや
)
ひやするよ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何
(
ど
)
うしても
伯林
(
ベルリン
)
で降りるのだと云つても頑として
不可
(
いけ
)
ないと云ふ。荷物の関税の関係などの事でさう云ふのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「アンコなんか
不可
(
いけ
)
ません。あんまり食べたがるもんだから、それで虫が出るんですよ——嫌ならお止しなさい」
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「へーえ。やっぱり
不可
(
いけ
)
ないんで御座いますかね。こうなると手前共にゃどうもお
上
(
かみ
)
の御趣意が分りかねます。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『だから
不可
(
いけ
)
ない。』と昌作は錆びた聲に力を入れて、『體の大小によつて人を輕重するといふ法はない。眞箇に俺は憤慨する。家の奴等も皆
然
(
さ
)
うだ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
米良、貴方は妾を世界の花から花に住みかえる毒蛾のように思っては
不可
(
いけ
)
ないのです。昔から女というものは英雄と革命を愛することに変りはないのです。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
「そこは
不可
(
いけ
)
ねえ、直ぐ見付かる」と黒人が叫んだ。「
停泊用釜
(
ドンキ・ボイラ
)
の上から水張りの
隙間
(
スペイス
)
へ潜込むんだ。早く!」
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「そいつは
不可
(
いけ
)
ねえ」と誰かが云った。トビの連中の一人であった。きれいに仕切りをつけろと云うのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
こんなことでは
不可
(
いけ
)
ないというので、真のカトリック精神、根本的なものへ還った意味でのカトリックの精神を実質的に回復させなければならぬというので
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
... イナや鰡はよく味噌汁へ入れますがあれは生の身を用いると
汁
(
つゆ
)
が生臭くなって
不可
(
いけ
)
ません、一度焼いて入れるのに限ります」妻君「それは
好
(
い
)
い事を
伺
(
うかが
)
いました。 ...
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
新聞紙も敷かず板の間に
坐
(
すわ
)
ってしまうと、両手で顔を
蔽
(
おお
)
うて眼をツブった。「休まなくては
不可
(
いけ
)
ない、俺が倒れてはならぬ」そンな
切
(
せ
)
ッ
端
(
ぱ
)
つまった気持だった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「そんだら、早く行って来やしゃれ。雪が降って来ると
不可
(
いけ
)
ないすかい、早く行って来やしゃれ。」
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『それは分ってるけれど、御領主様がお亡なり遊ばしたから、
田螺
(
たにし
)
を喰べては何うして
不可
(
いけ
)
ないの』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ますます
不可
(
いけ
)
ないことは明らかなのであるが、それを言うと、どんなに機嫌を悪くするか分らないようなその頃の伯父であったので、三造も黙っているより外はなかった。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お葉は二十五に死んでも
不可
(
いけ
)
ない。三十に死んでも不可ない。三十二に死んでも不可ない。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
「
不可
(
いけ
)
ませんよ、そんなことは……」おゆうはいれ替えて来たお茶を
注
(
つ
)
ぎながら言った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
歌ちゃんあれは、あれッて
何
(
なに
)
、おとぼけでない彼れさ、知らないよ、知らないはずがあるものかねと叱るように早口に云えば、実は七赤儂とは
極
(
ごく
)
不可
(
いけ
)
ないの、その
不可
(
いけ
)
ないのが
可
(
いい
)
のだろう
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
考へ拔いた揚句今夜私は
伯林
(
ベルリン
)
で降りるとボオイに云つたが
不可
(
いけ
)
ないと云ふ。何うしても伯林で降りるのだと云つても頑として不可ないと云ふ。荷物の關税の關係などの事でさう云ふのである。
巴里まで
(旧字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
種蒔は、深すぎても浅すぎても
不可
(
いけ
)
ない。しめり過ぎた処に蒔けば腐る。燥いた処に蒔いた後で永く雨が降らなければ枯れて了ふ。だから、百姓する第一要件として天候気象の判識力を要する。
百姓日記
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
『アッ。
不可
(
いけ
)
ねえ……こればっかりは
不可
(
いけ
)
ません』と彼は身を藻掻いた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「
何故
(
なぜ
)
不可
(
いけ
)
ないんです、え、何故?」と今度は妹が何かねだつて居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
『
何故
(
なぜ
)
、それでないのぢや
不可
(
いけ
)
ないか?』と三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
が
云
(
い
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「そりゃあ
然
(
そ
)
うだろう、惚れてるからな」
嘲笑
(
あざわら
)
うように鼻を鳴らした。「女を占めようと思ったら、決して
此方
(
こっち
)
で惚れちゃあ
不可
(
いけ
)
ねえ」
隠亡堀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
不可
(
いけ
)
ません、もう飲んでるんだもの。この上
煽
(
あお
)
らして御覧なさい。また
過日
(
いつか
)
のように、ちょいと盤台を預っとくんねえ、か何かで、」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汝
(
なんじ
)
元来一本槍に生れ付いているんだから仕方がない。スッカリ良い気持になって到る処にメートルを上げていたのが
不可
(
いけ
)
なかった。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これは兄さんには内所だからその積りでいなくっては
不可
(
いけ
)
ない。奥さんの事も宿題にするという約束だから、よく考えて返事をなさい。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乙下人 はて、うぬが
指
(
ゆび
)
を
能
(
よ
)
う
嘗
(
な
)
めぬやうな
奴
(
やつ
)
は
不可
(
いけ
)
ぬ
料理人
(
れうりにん
)
でござります。それゆゑ
指
(
ゆび
)
を
能
(
よ
)
う
嘗
(
な
)
めぬ
奴
(
やつ
)
は
採用
(
とりあ
)
げませぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「あゝ
鳥渡々々
(
ちよつと/\
)
。」手品師が呼びとめた。「しなびたのは
不可
(
いけ
)
ませんぜ。あなた方のやうに水つぽくて一切りでさくと行くんでなくちやあ。……」
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
頭の具合の悪くなった叔父様に、電気をいじらせて置いたのは、却て
不可
(
いけ
)
ないことでしたわね、なぜもっと早く病院のこと考えつかなかったかしら……
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
これは僕の實見した話だが、或る女教師は、「
可笑
(
をか
)
しい事があつても人の前へ出た時は笑つちや
不可
(
いけ
)
ません。」
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
死んでも構わないから彫ってくれと、斯う云うのです。源七も仕方がないから、まあ兎も角も念のためにその身体をあらためて見ると、なるほど
不可
(
いけ
)
ない。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「牛は
宜
(
よ
)
う御座んすが、豚は
喧
(
やかま
)
しくって
不可
(
いけ
)
ません。危いことなぞは有りませんが、騒ぐもんですから——」
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ほら、灰が落ちる、頭が?」ポマードで固めた頭へ一寸触ってみて、「馬鹿だな、こんなのカモフラージュってんだよ、出来るだけ周囲に同化しなくちゃ
不可
(
いけ
)
ないんだ」
歩む
(新字新仮名)
/
戸田豊子
(著)
“不可”の意味
《名詞》
不 可(ふか)
いけないこと、よくないこと、可と認めないこと。
試験の成績で、不合格。四段階評価で、優、良、可に次ぐもの。
(出典:Wiktionary)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
“不可”で始まる語句
不可思議
不可能
不可解
不可得
不可侵
不可致
不可抗
不可侵境
不可抗力
不可然