一應いちおう)” の例文
新字:一応
さひはひ、彼處あれゆる白色巡洋艦はくしよくじゆんやうかん、あれは何國いづこ軍艦ぐんかんで、何處どこから何處どこしての航海中かうかいちうかはわからぬが、一應いちおうかのふねたすけをもとめては如何どうだらう。
宗助そうすけ一應いちおうへやうち見回みまはして、この親子おやこほかに、まだ一人ひとりめうをとこが、一番いちばん入口いりぐちちかところかしこまつてゐるのを見出みいだした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こゝを一應いちおう見物けんぶつするだけでも一日いちにちようしますが、入場にゆうじよう無料むりようであり、かさつゑあづかつてくれても賃錢ちんせんりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
火山毛かざんもう成因せいゝん一應いちおう説明せつめいようする。讀者どくしや化學かがくまた物理學ぶつりがく實驗じつけんおいて、硝子管がらすくだかしながらきゆうきちぎると、くだはしほそいとくことを實驗じつけんせられたことがあるであらう。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
へえ、へえ、早速さつそくこれへ持參ぢさんいたしました人參にんじん一應いちおう御覽下ごらんくださりまするやう、へえ。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あわて押止め然ば其段いま一應いちおう申上べしまづ/\御待下されと待せ置ておくへ行き暫時ざんじにして出來り然らば其儘そのまゝにて對面たいめんあるべしとの事なりと告れば伊賀亮はも有べしとやが粗服そふくのまゝ天忠に引れて本堂の座敷ざしきへ到ればはるか末座まつざに着座させられぬ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かんがへろとはれゝば、かんがへないでもないが、それは一應いちおう腹痛ふくつうをさまつてからのことでなくては無理むりであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さてわたしたちはぎのしつにはひるまへに、ちょっと見落みおとした石器類せつきるい一應いちおうることにいたしませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
何事なにごとらず改革奉行かいかくぶぎやう命令めいれいそむさふらふまじく、いづれも杢殿もくどの手足てあしとなりて、相働あひはたらき、忠勤ちうきんはげ可申候まをすべくさふらふと、澁々しぶ/\血判けつぱんして差上さしあぐれば、御年役おんとしやく一應いちおう御覽ごらんうへ幸豐公ゆきとよぎみまゐらせたまへば、讀過どくくわ一番いちばん
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふとつたをとこ一應いちおう容體ようだいいて、口中こうちゆう檢査けんさして、宗助そうすけいたいと一寸ちよつとゆすつてたが
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)