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雑司
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ぞうし
ふりがな文庫
“
雑司
(
ぞうし
)” の例文
旧字:
雜司
臥
(
ふ
)
しながら思うに、大正元年の秋、英一がまだ十歳なりける時、大西一外君に誘われて我と共に
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
鬼子母神
(
きしもじん
)
に詣でしことあり。
叔父と甥と:――甲字楼日記の一節――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御府外
雑司
(
ぞうし
)
ヶ谷の薬草園、芝の
魚籃坂
(
ぎょらんざか
)
における薬草園、小石川養生所の薬草園、こう三ヵ所が幕府経営の城外薬園地でありました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雑司
(
ぞうし
)
が
谷
(
や
)
の
御墓
(
おはか
)
の
傍
(
かたわら
)
には、
和歌
(
うた
)
の
友垣
(
ともがき
)
が植えた、
八重
(
やえ
)
山茶花
(
さざんか
)
の珍らしいほど
大輪
(
たいりん
)
の
美事
(
みごと
)
な白い花が秋から冬にかけて咲きます。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
おや、八五郎
兄哥
(
あにい
)
、いつも元気で結構だね。——用事というのは、あっしが持込んで来たんだが、きのう
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
に厄介な殺しがあったのさ。
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この頃の御感想は……私はこの言葉を胸にくりかえしながら、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の墓地を抜けて、
鬼子母神
(
きしぼじん
)
のそばで番地をさがした。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
今は王子
権現
(
ごんげん
)
の辺、西新井の
大師
(
だいし
)
、川崎大師、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ谷
(
や
)
等にもあり、
亀戸天満宮
(
かめいどてんまんぐう
)
門前に二軒ほど製作せし家ありしが、震災後これもありやなしや
不知
(
しらず
)
。
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
学校の裏の墓地や
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の墓地の奥の囚人墓地という木立にかこまれた一
段歩
(
たんぶ
)
ほどの草原でねころんでいた。
風と光と二十の私と
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そのうちの一度は夏目先生のたしか七回忌に
雑司
(
ぞうし
)
が
谷
(
や
)
の墓地でである。大概洋服でなければ
羽織袴
(
はおりはかま
)
を着た人たちのなかで芥川君の着流しの姿が目に立った。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
小石川区内では○植物園門前の小石川○
柳町
(
やなぎちょう
)
指
(
さす
)
ヶ
谷町
(
やちょう
)
辺の溝○
竹島町
(
たけしまちょう
)
の人参川○
音羽
(
おとわ
)
久世山
(
くぜやま
)
崖下の細流○音羽町西側
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
より
関口台町
(
せきぐちだいまち
)
下を流れし
弦巻川
(
つるまきがわ
)
。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
聞き伝えて、争って高禄と礼節をもって抱えようとする大藩諸侯の
迎駕
(
げいが
)
を一蹴して、
飄々然
(
ひょうひょうぜん
)
と山をおりたかれ泰軒は、一時京師
鷹司
(
たかつかさ
)
殿に
雑司
(
ぞうし
)
をつとめたこともあるが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
波の上の
女郎花
(
おみなえし
)
、
桔梗
(
ききょう
)
の帯を見ますと、や、
背負守
(
しょいまもり
)
の扉を透いて、道中、道すがら
参詣
(
さんけい
)
した、中山の法華経寺か、かねて御守護の
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
か、
真紅
(
まっか
)
な
柘榴
(
ざくろ
)
が輝いて燃えて
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の鬼子母神の欅が、またかなりの大木だ。そのほか一本立ちならば随分あっちこっちに大木はあるにはある。いったい、関東でも、この辺の地味は
欅
(
けやき
)
にいいんだろう。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僕等は終点で電車を下り、
注連飾
(
しめかざ
)
りの店など出来た町を
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の墓地へ歩いて行った。
年末の一日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私が或る特殊な縁故を
辿
(
たど
)
りつつ、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
鬼子母神
(
きしもじん
)
裏
陋屋
(
ろうおく
)
の放浪詩人
樹庵次郎蔵
(
じゅあんじろぞう
)
の間借部屋を訪れたのは、
恰
(
あたか
)
も秋は
酣
(
たけなわ
)
、鬼子母神の祭礼で、平常は真暗な境内にさまざまの見世物小屋が立ち並び
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
その夏になる前に
征雄
(
ゆきお
)
は台湾の大学に赴任したばかりの上、丁度お前もその数日前から一人でO村の山の家に出掛けており、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
のだだっ広い家には私ひとりきり取り残されていたのだった。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その夜の芥川君には先年
雑司
(
ぞうし
)
が
谷
(
や
)
の墓地で見た時のような心弱さといったようなものは見えなかった。若々しさと鋭さに緊張した顔容と話しぶりであった。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
宵闇を
劈
(
つんざ
)
く若い女の声は、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の静まり返った空気を、一瞬、煮えこぼれるほど掻き立てました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしその分類は例えば谷という処に
日比谷
(
ひびや
)
、
谷中
(
やなか
)
、
渋谷
(
しぶや
)
、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
なぞを編入したように、地理よりも実は地名の
文字
(
もんじ
)
から来る遊戯的興味に
基
(
もとづ
)
いた処が
尠
(
すくな
)
くない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
散歩に行った
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の墓地で、何度も何度もお
腹
(
なか
)
をぶっつけては泣いた私の姿を思い出すなり。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
飛んで
雑司
(
ぞうし
)
ヶ谷のだ、いや、つい大木戸のだと申して、油皿の中まで、十四五挺、一ツずつ消しちゃ頂いて、それで一ツずつ、
生々
(
なまなま
)
とした
香
(
におい
)
の、煙……と申して不思議にな
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その後わたしは目白に
一旦
(
いったん
)
立退
(
たちの
)
いて、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
鬼子母神
(
きしもじん
)
附近の湯屋にゆくことになった。
風呂を買うまで
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
冑
(
かぶと
)
人形、
菖蒲
(
しょうぶ
)
刀、
幟
(
のぼり
)
の
市
(
いち
)
が立って、お高は、それも見に行きたいと思ったが、二十七日は、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
鬼子母神
(
きしもじん
)
に、講中のための一年一度の内拝のある日であった。お高は、これへ行ってみたかった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
光一氏は鎌倉に、私は豊島区の
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
に住んでいた。その後、私も鎌倉へ越して、二人の野村は、ますます、こんがらかることになるのだが、この時は、まだ東京にいた。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
鬼子母神
(
きしもじん
)
、
高田
(
たかた
)
の
馬場
(
ばば
)
の
雑木林
(
ぞうきばやし
)
、目黒の不動、
角筈
(
つのはず
)
の
十二社
(
じゅうにそう
)
なぞ、かかる処は空を蔽う若葉の間より夕陽を見るによいと同時に、また晩秋の
黄葉
(
こうよう
)
を賞するに適している。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし時代の変遷で、その我楽多もだんだんに減って来るので困ります。
大師
(
だいし
)
の
達摩
(
だるま
)
、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
薄
(
すすき
)
の
木兎
(
みみずく
)
、
亀戸
(
かめいど
)
の
浮人形
(
うきにんぎょう
)
、柴又の
括
(
くく
)
り
猿
(
ざる
)
のたぐい、
皆
(
みん
)
な私の見逃されないものです。
我楽多玩具
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
馬士
(
まご
)
が通る。ちとばかり
前
(
さき
)
に、近頃は余り江戸
向
(
むき
)
では見掛けない、よかよか
飴屋
(
あめや
)
が、
衝
(
つ
)
と足早に
行
(
ゆ
)
き過ぎた。そのあとへ、学校がえりの女学生が一人、これは
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の方から来て、
巣鴨
(
すがも
)
。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
に住んだころ、たった二畳敷の
納戸
(
なんど
)
を書斎にしたことがある。気が散らなくていいが、参考書を置けないのに困った。今の書斎は八畳だが、これも少々せますぎる。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
植木屋は
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
から来る
五兵衛
(
ごへえ
)
という腰のまがった
爺
(
じじい
)
であったが、竜子が丁度高等女学校へ進もうという前の年松の霜よけをしに来た時、徴兵から戻って来た
亀蔵
(
かめぞう
)
という
伜
(
せがれ
)
を連れて来て
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
またもや楽壇に手榴弾を投じた
兼常清佐
(
かねつねきよすけ
)
博士に、今から十二、三年前、私は
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の宅で、その頃ドイツ・ポリドールに入ったばかりの、ケンプの『
月光
(
ムーンライト
)
ソナタ』を聴かしたことがある。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
「商売人上がりには違えねえが、
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
名物の鉄心道人の弟子で
袈裟
(
けさ
)
を掛けて歩く
凄
(
すご
)
い年増だ。殺されたとたんに紫の雲がおりて来て、通し
駕籠
(
かご
)
で極楽へ行こうという
代物
(
しろもの
)
だからおどろくでしょう」
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「上様には、また
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
の
御鷹狩
(
おたかがり
)
を仰せ出された」
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頂いて、明日にもきっと
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
へまいりましょう
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
司
常用漢字
小4
部首:⼝
5画
“雑司”で始まる語句
雑司ヶ谷
雑司谷