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金物
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かなもの
ふりがな文庫
“
金物
(
かなもの
)” の例文
今時、木で作られる漏斗は珍らしいのでありますが、この方が酒や
醤油
(
しょうゆ
)
の味を変えません。それ故正直な酒屋は
金物
(
かなもの
)
を
忌
(
い
)
みます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
遊客が
金物
(
かなもの
)
の嗽茶碗で口を滌いでゐる景色などは宛然柳浪が「今戸心中」もしくは盲小せんが「とんちき」中の情景であつた。
異版 浅草灯籠
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
前陳の各種を製作するにつき、これに附属する飾り
金物
(
かなもの
)
、塗り、
金箔
(
きんぱく
)
、
消粉
(
けしこな
)
、
彩色
(
さいしき
)
等の
善悪
(
よしあし
)
を見分ける鑑識も必要であります。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ヨチヨチ駕籠のそばへ歩いてきて、
金色
(
きんいろ
)
の
金物
(
かなもの
)
のみごとなお駕籠へ、手を触れてみようとしていた三つばかりの男の子が、わっと泣きだす。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私
(
わたし
)
は、わかい
牝牛
(
めうし
)
の
腎臓脂肪
(
じんぞうしぼう
)
へチーズを交ぜ、それを
陶器皿
(
とうきざら
)
に入れてとろ火で
煮
(
に
)
た。
金物
(
かなもの
)
の
臭
(
にお
)
いを
避
(
さ
)
けるために、中の
骨
(
ほね
)
を小刀がわりに使った。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
▼ もっと見る
コンクリートの表面にうちつけてある
梯子
(
はしご
)
がわりの
金物
(
かなもの
)
に、手足をかけて、グングン煙突をのぼりはじめました。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
本妻の実家は資産のある
金物
(
かなもの
)
問屋の事とて兼太郎の身持に
呆
(
あき
)
れ果て子供を引取って養育する代り本妻お静の籍を抜きやがて他へ再縁させたという話である。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
鋸鑢に驚く
金物
(
かなもの
)
細工をするに
鑢
(
やすり
)
は第一の道具で、
是
(
こ
)
れも手製に作って、その製作には随分苦心して居た所が、その
後
(
のち
)
、
年経
(
としへ
)
て私が江戸に来て
先
(
ま
)
ず大に驚いたことがある
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と
苦
(
にが
)
っぽく
嘲笑
(
あざわら
)
い、じッと、鷲のかげを見つめていたが、やがて、右手に持っていた
金無垢肉彫
(
きんむくにくぼ
)
りの
鷹
(
たか
)
の
黄金板
(
おうごんばん
)
——それはいまの
塔内
(
とうない
)
から引ッぺがしてきた
厨子
(
ずし
)
の
金物
(
かなもの
)
。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マコウレエの
談話
(
はなし
)
によると、英吉利のある鍛冶屋は、泥棒に頼まれて
金物
(
かなもの
)
の
贓品
(
ざうひん
)
を火に溶かす折には、手で触つては汚れるからといつて、
態
(
わざ
)
と長火箸を使つたといふ事だ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
庇についた紫の
流蘇
(
ふさ
)
が、煽られたやうにさつと靡くと、その下から濛々と夜目にも白い煙が渦を卷いて、或は
簾
(
すだれ
)
、或は袖、或は棟の
金物
(
かなもの
)
が、一時に碎けて飛んだかと思ふ程
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たぶん
戦災
(
せんさい
)
のなごりであろうか、なにかのこわれた
金物
(
かなもの
)
が、
道
(
みち
)
に
埋
(
う
)
まっているのです。
考えこじき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
棟の
金物
(
かなもの
)
の薄くきらめくのも見えるほどになった時に、もう待ち切れなくなった千枝太郎は木のうしろから
衝
(
つ
)
とあらわれて、覚束ない月の光りでその車の正体を見届けようとすると
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私の父といふは三つの
歳
(
とし
)
に
椽
(
えん
)
から落て片足あやしき風になりたれば人中に立まじるも嫌やとて
居職
(
いしよく
)
に
飾
(
かざり
)
の
金物
(
かなもの
)
をこしらへましたれど、気位たかくて
人愛
(
じんあい
)
のなければ
贔負
(
ひいき
)
にしてくれる人もなく
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
士「成程、大きさも飛んだ良いが、何か
金物
(
かなもの
)
があるか」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
急
(
せ
)
きあって、
金物
(
かなもの
)
をからから云わせています。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
そこに印呪をむすぶ
金物
(
かなもの
)
の像となつた。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
羽後の
金物
(
かなもの
)
では蔵戸の錠前や
五徳
(
ごとく
)
の類などに見るべきものがあって、秋田、大館、花輪などの鍛冶屋で作りましたが、流行おくれの型となりました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ボルトというのは、鉄の棒のさきにねじがきってあって、そこへ、ナットという六角形の
金物
(
かなもの
)
をはめて、スパナ(ねじまわし)でしめつけるようになっているものです。
サーカスの怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
庇
(
ひさし
)
についた紫の
流蘇
(
ふさ
)
が、煽られたやうにさつと靡くと、その下から濛々と夜目にも白い煙が渦を巻いて、或は
簾
(
すだれ
)
、或は袖、或は
棟
(
むね
)
の
金物
(
かなもの
)
が、一時に砕けて飛んだかと思ふ程
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さびしいいなかながら、
駅
(
えき
)
の
付近
(
ふきん
)
は
町
(
まち
)
らしくなっていました。たばこを
売
(
う
)
る
店
(
みせ
)
があり、
金物
(
かなもの
)
をならべた
店
(
みせ
)
があり、また
青物
(
あおもの
)
や、
荒物
(
あらもの
)
などを
売
(
う
)
る
店
(
みせ
)
などが、ぼつり、ぼつりと
見
(
み
)
られました。
しらかばの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
機智
(
きち
)
に
感嘆
(
かんたん
)
の声をあげたが瓔珞の
飾
(
かざ
)
り
座金
(
ざがね
)
がくさっていたとみえて、龍太郎の体がつりさがるとともに、
金鈴青銅
(
きんれいせいどう
)
の
金物
(
かなもの
)
といっしょにかれの五体は、ドーンと大地におちてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
の
父
(
ちゝ
)
といふは三つの
歳
(
とし
)
に
椽
(
ゑん
)
から
落
(
おち
)
て
片足
(
かたあし
)
あやしき
風
(
ふう
)
になりたれば
人中
(
ひとなか
)
に
立
(
たち
)
まじるも
嫌
(
い
)
やとて
居職
(
いしよく
)
に
飾
(
かざり
)
の
金物
(
かなもの
)
をこしらへましたれど、
氣位
(
きぐらい
)
たかくて
人愛
(
じんあい
)
のなければ
贔負
(
ひいき
)
にしてくれる
人
(
ひと
)
もなく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
暗いなかでお神輿の
金物
(
かなもの
)
がからりからりと鳴る音と、それを担いで行く
白丁
(
はくちょう
)
の足音がしとしとと聞こえるばかり。お神輿は上の町のお
旅所
(
たびしょ
)
へ送られて、暗闇のなかで配膳の式があるのだそうで……。
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
刀の
身
(
み
)
を
磨
(
と
)
ぐことは知らぬが、
鞘
(
さや
)
を塗り
柄
(
つか
)
を巻き、その外、
金物
(
かなもの
)
の細工は田舎ながらドウヤラコウヤラ形だけは出来る。今でも私の
塗
(
ぬっ
)
た
虫喰塗
(
むしくいぬ
)
りの
脇差
(
わきざし
)
の鞘が宅に一本あるが、随分不器用なものです。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
よくしらべてみると、そのぼっちは、コンクリート色にぬった
金物
(
かなもの
)
であることがわかりました。
赤いカブトムシ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
平常吾々が生活に用いるものを
凡
(
すべ
)
て訪ねたいと思います。
焼物
(
やきもの
)
もあり、
染物
(
そめもの
)
もあり、
織物
(
おりもの
)
もあり、
金物
(
かなもの
)
もあり、
塗物
(
ぬりもの
)
もあり、また木や竹や革や紙の細工などもあるでしょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
彼女はちらりと牧野の顔へ、
侮蔑
(
ぶべつ
)
の眼の色を送りながら、静に帯止めの
金物
(
かなもの
)
を合せた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高い
車蓋
(
やかた
)
にのつしりと暗を抑へて、牛はつけず黒い
轅
(
ながえ
)
を斜に
榻
(
しぢ
)
へかけながら、
金物
(
かなもの
)
の
黄金
(
きん
)
を星のやうに、ちらちら光らせてゐるのを眺めますと、春とは云ふものゝ何となく肌寒い氣が致します。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高い
車蓋
(
やかた
)
にのつしりと
暗
(
やみ
)
を抑へて、牛はつけず黒い
轅
(
ながえ
)
を斜に
榻
(
しぢ
)
へかけながら、
金物
(
かなもの
)
の
黄金
(
きん
)
を星のやうに、ちらちら光らせてゐるのを眺めますと、春とは云ふものゝ何となく肌寒い気が致します。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“金物”の解説
金物(かなもの)とは、金属製の器具・道具のこと。伝統的なものは特に金工品(きんこうひん)ともいう。
主なものとして鍋・包丁・さじ・鎖などがある。また、金具も含まれる。
(出典:Wikipedia)
金
常用漢字
小1
部首:⾦
8画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“金物”で始まる語句
金物屋
金物商
金物店