じゅう)” の例文
しかし、そののいただきまでのぼれるものは、じゅうちゃんくらいのもので、ほかのには、がまわるほど、あまりにたかかったのです。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
太鼓は三色みいろ母衣武者ほろむしゃが、試合場しあいじょうの左右から正面へむかってかけだすらせだった。そこには、矢来やらいと二じゅういまわされたさくがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ソ連軍のじゅうトーチカ集団を破るのは、俺より外にやり手がないんだから、すぐ第一線に出すよう骨を折ってくれというんだ。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
やがて湯に這入らぬかと言って今度は別の女中が顔を出した。これはおじゅうという女中頭をしている気の勝った女であった。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
毛氈もうせんも、おじゅうも、酒器も、盤も、宿からの品は一品も失いません、二人の身体だけが、水に沈んでしまいましたげな。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
じゅうのなかは肴であるそうである。やがて、博士は重箱の蓋をとった。みると、先だっての話の、ザザ虫の佃煮だ。ザザ虫ばかりではない、川百足むかでもいる。
ザザ虫の佃煮 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
私のうちには、その片腕の熊さんや、赤褌あかべことよさんやら、たわし売りのおよしさんやら、灰買いのじゅうどんなどがいた。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
腸蔵「腐りもするはずだ、正月のおセチにするって十日も前にこしらえておじゅうへ詰めておいたのだもの。 ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そうして貴方あなたはたとい三じゅう鉄格子てつごうしうちんでいようが、この幸福こうふくをもっているのでありますから。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
命は、その土地にお着きになり、熊襲建くまそたけるのうちへ近づいて、ようすをおうかがいになりますと、たけるらは、うちのまわりへ軍勢をぐるりと三じゅうに立てかこわせて、その中に住まっておりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
余は上ろうか上るまいかと踟蹰ちちゅうしたが、つい女児じょじと犬を下に残して片手てすりを握りつゝ酒樽のこもを敷いた楷梯はしごを上った。北へ、折れて西へ、折れて南へ、三じゅうの楷梯を上って漸く頂上に達した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
じゅうさん……。重太郎さん……。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
じゅうちゃんは、自分じふんも、ともだちのたすけなしに、ひとりのぼって、をとれないとさとったので、このは、そのままかえることにしました。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おおせ、ごもっともです。では方々かたがた呂宋兵衛るそんべえをこの三じゅうへひっ立てて、かならず妖術ようじゅつなどで逃げせぬように厳重なご用意あるよう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりながらわれわれの任務はじゅうだいでありまして、火星人との交渉はこれから始まらんとして居ります。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
使に来た女中が捧げているのは、蒔絵まきえじゅうに酒を添えて来ているものらしくあります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
になわれてくるので、近所の人達や、たわし売りのおよしさんや、灰買いのじゅうどんや、片腕の熊さんなどが、あるものは飯を持って帰ってから引返して来るもの、るものは、あがかまちにならんで腰をかけて
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
青年甲 じゅうさん、ほんとうかい。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし、じゅうちゃんはいえかえると、物置ものおきから、あいているにわとりかごをして、きれいにそうじしました。それから、ひとりではやしほうへといきました。
高い木とからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
阿波守は、その者たちへ何ごともいわずに、ツウと足を早めたかと思うと、以前の三じゅうやぐらの上へ駈けのぼった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思えば思えば、デニー博士の上にかかっている責任は、測りしられぬほどじゅうだいである。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「まあ、じゅうさん。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「といって、この家の四ほうは、二じゅうじゅうに取りかこんであるから、かれらのしのびだすすきもないが」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じゅうの扉が順番に開いたり閉ったりして、私たちを中へ入れて開かれます。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あ、じゅうちゃんのいえだ。」
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ちょっとした別嬪べっぴんでしたぜ。たぶん今日の墓詣りでしょう。女は女轎おんなかごに乗って、お供七人ほど連れ、じゅう二つに、お花を持たせて、街道を練って来ましたよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
公義きんよし、名よりは実だよ、当世ではな。向うに二重の腹があるなら、こっちも三じゅうばらになって、幾変化でもして見せるわさ。生き抜いた方がさいごの勝ちというものだ」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前垂れをかぶせて持って来たのは、刺身の出前ではなかった。おじゅうにつめた赤飯こわめししめである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
申す。——ここの岸より何気なく一見しただけでは、まだ二じゅうどて縄取内なわどりうちの土盛り、それと石垣が半ばぐらいしか出来上っておらぬように見えるが、あれは、敵のはかりと申すもの
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気味のわるい目礼に送られて、左兵衛佐は、老父母の起臥きがしている二じゅうますの中みたいな暗い一室へ入った。北向きの狭い軒から青葉の影が陰気にさしている十二畳の一部屋である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、膳を出して、魚松うおまつのおかみさんは、おじゅう赤飯こわめしと煮しめを置く。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つかに八寸の徳、みこしに三じゅうの利。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)