ざけ)” の例文
それはね、「のめや、ともがら」とか「汲めや、うまざけ」とかいう繰り返しがあるからね。こう繰り返されては影響が大変だというんだ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ひる午睡ひるねゆるされてあるので時間じかんいて器用きようかれには内職ないしよく小遣取こづかひどりすこしは出來できた。きな煙草たばことコツプざけかつすることはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さっきから同じ葭簀よしずの蔭で、ざけをひっかけていた町人ていの、でっぷりと肥ったこわらしい男が、さっと追って来て
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その酒は勿論今売るくだざけのごとくうまいものでなかったことは、丁度ちょうど家々の餅と砂糖餅との差も同じであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みちすがら又いふやう。猶忘れ難きは彼の目しひたる娘の美しさなり。拿破里に歸りての後、カラブリアざけ誂へんをりは、かの娘をも共に取寄せんとぞおもふ。
水仙すゐせんかを浮世小路うきよこうぢに、やけざけ寸法すんぱふは、鮟鱇あんかうきもき、懷手ふところで方寸はうすんは、輪柳わやなぎいとむすぶ。むすぶもくも女帶をんなおびや、いつもうぐひす初音はつねかよひて、春待月はるまちつきこそ面白おもしろけれ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところが私は子供こどものとき母がちちがなくてにござけそだててもらったためにひどいアルコール中毒ちゅうどくなのであります。お酒をまないとものわすれるので丁度ちょうどみなさまの反対はんたいであります。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
苺酒いちござけ 春 第四十九 イチゴざけ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「ついでに、かんざけもね。」
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
ふところには小錢こぜにたくはへてくことも出來できるのであつたがかれくコツプざけかたむけたのでかれふところけつして餘裕よゆうそんしてはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
第四十九 イチゴざけ
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
卯平うへいれいごと豆腐とうふでコツプざけかたむけて晩餐ばんさんほつしなかつた。かれしわふかきざんだほゝにほんのりと赤味あかみびてた。かれ火鉢ひばちまへ胡坐あぐらいたまゝごんもいはない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)