さへ)” の例文
然るに各藩の執政者にして杞憂きいうある者は法を厳にし、戒をきて、以て風俗の狂瀾をさへぎり止めんと試みけれども、遂に如何いかんともする能はず。
視野をさへぎるのは長崎屋の巨大なむね、——その下には、百萬の富を護るために抱へて置くといふ、二人の浪人者の住んでゐる離屋はなれも見えます。
それから一時間じかんすると、大地だいちめる太陽たいやうが、さへぎるものゝない蒼空あをぞらはゞかりなくのぼつた。御米およねはまだすや/\てゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さへぎるはつきしたがひてゑんいよ/\ゑんならんとする雨後春山うごしゆんざんはなかほばせけんます/\けんならんとする三五ちうつきまゆいと容姿ようしばかりなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼が泣き聲で「あのジエィン・エアの畜生」がまるで氣狂きちがひ猫のやうに自分に飛びついたんだと話し始めるのが聞えた。が、彼はむしろ荒つぽくさへぎられた。
そして、見る/\、義雄の歸りさきをさへぎつて、一間さきが見えないほどに降り出した。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ここを以ちて仁岐ににぎの命、初めて高千たかちたけあも神倭かむやまと天皇すめらみこと、秋津島に經歴したまひき。化熊川より出でて、天の劒を高倉に獲、生尾こみちさへきりて、大き烏吉野に導きき。
未見みちの境を旅するといふ感じは、犇々ひし/\と私の胸に迫つて來た。空は低く曇つてゐた。目をさへぎる物もない曠野の處々には人家の屋根が見える。名も知らぬ灌木くわんぼくの叢生した箇處ところがある。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
森林しんりんでおほはれてゐる土地とちは、日光につこう枝葉えだはさへぎられて、地面じめんあたゝめることがすくないのと、もうひとつは、日光につこう直射ちよくしやによつてめん水分すいぶん蒸發じようはつするときに、多量たりよう潜熱せんねつ必要ひつようとします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しなはそれから劇烈げきれつ發作ほつささへぎられてもういはなかつた。突然とつぜん
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、娘が何か云ひ返さうとするのをさへぎつて
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「そりやわたくしのことだからすこしは道楽もしますが……」と云ひかけた。ちゝはすぐそれさへぎつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
借金しやくきんでもなんでもして、けるところまできたいが、なに工夫くふうはあるまいかと相談さうだんけるので、安之助やすのすけはよくそうさんにもはなしてやうとこたへると、小六ころくたちまちそれをさへぎつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今迄むかひ合せに言葉をかはしてゐた広田先生と庄司といふ教授は、二人ふたりの応答を途中でさへぎる事を恐れて、談話をやめた。其他の人もみんなだまつた。会の中心点が始めて出来あがつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけおどろいた。けれどもはなし途中とちゆうさへぎるわけかなかつたので、だまつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助は少々平岡が小憎こにくらしくなつたので、突然中途で相手をさへぎつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)