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諾
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き
ふりがな文庫
“
諾
(
き
)” の例文
初めは何といっても首を振って
諾
(
き
)
かなかったが、剛情我慢の二葉亭も病には勝てず、散々
手古摺
(
てこず
)
らした挙句が
拠
(
よんどこ
)
ろなく納得したので
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一つのお噺を終っても、子供達は「もっともっと」といって
諾
(
き
)
かなかった。彼は望まれるままに、二つ三つとお噺の数を重ねて行った。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「芳江姫が
強情
(
ごうじょう
)
で鬼王丸殿の仰せを
諾
(
き
)
かず、それで姫を屈伏させるため、市之丞殿を土牢へ入れ苦痛を与えたのでござります」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兼てから二人の事に
就
(
つ
)
いて何くれとなく心配していた姉歯某とが、極力制止するをも
諾
(
き
)
かず、
窃
(
ひそ
)
かに旅費をこしらえて、単身人眼を避けつつ
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
M君は、風をくらうと、
暫
(
しば
)
らくは激しく
咳
(
せ
)
きこんだ。その
癖
(
くせ
)
、どっか家ン中か、
木蔭
(
こかげ
)
に入ろうと云っても
諾
(
き
)
かなかった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
▼ もっと見る
このおせいさんが、和武に会うて、偽者やったらとっちめてやるちゅうて、
諾
(
き
)
かはりまへン。子爵家の人もとうとう折れて、和武に会わしたンだす。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「僕は
諾
(
き
)
いてやります。けれどそれが何か話してください、一刻も早く話してください」とアリョーシャが言った。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
これには
私
(
わたくし
)
もいささか
当惑
(
とうわく
)
して
了
(
しま
)
いました。
果
(
はた
)
して
滝
(
たき
)
の
竜神
(
りゅうじん
)
さんが
快
(
こころよ
)
く
母
(
はは
)
の
依
(
たの
)
みを
諾
(
き
)
いてくださるか
何
(
ど
)
うか、
私
(
わたくし
)
にもまったく
見当
(
けんとう
)
がとれないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「な、わしの言うことは分ったろうな? 分ったら、どうか
得心
(
とくしん
)
して、わしの言うことを
諾
(
き
)
いてくれ、な、な!」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
こう
諾
(
き
)
かなかったらすて姫のこぼれるわかさを、溶きほぐすすべも、なかったからだ。永い愛撫の時が終った。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ふりに
登
(
あが
)
ったお客なれどもお金をたんと持って居るとの事、目の悪い客衆に会い、
私
(
わっし
)
の無心を
諾
(
き
)
いて下さるか
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
道理で弟の宮田の奴イヤにおとなしく兄貴の云ふことをヘイヘイと
諾
(
き
)
いてゐやアがる——と彼は思つた。
スプリングコート
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
帰りはお吉の辞するも
諾
(
き
)
かず、二人で桶を一つ宛軽々と持つて、勝手口まで運んだが、
背後
(
うしろ
)
からお吉が
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「いや、昨日来た委員連の希望を御
諾
(
き
)
きにならないのではあるまいか。それが心配で。」と返事した。ファラデーは「そんな責任の重い位置につくことを勧めてくれるな。」
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
俗にいう
梯子
(
はしご
)
という
酒癖
(
さけぐせ
)
で、留めるのも
諾
(
き
)
かず途中
暖簾
(
のれん
)
とさえ見れば潜ったものだから、十軒店近くで
同伴
(
つれ
)
と別れ、そこらまで送って行こうというのを喧嘩するように振り切って
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「いさい、わかった。頼みのこと、
諾
(
き
)
いてとらそう」意を決めて、きっぱりと答えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わたくしは母にまさか、その通りにも言えませんから、ただ池上が
勧説
(
かんぜい
)
したことだけを母に申しますと、母は「ふーむ」と鹿爪らしい顔で
諾
(
き
)
いていましたが、顎を大きくしゃくって
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
諾
(
き
)
いてくださるか。いずれおまえさんの身に
適
(
かな
)
ったことじゃあるけれども」
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お雪伯母は自分には
関
(
かゝ
)
はらずに始めようと伯父に勧めたが、伯父は
縁喜
(
えんぎ
)
をかついで
諾
(
き
)
かなかつた。どうせ時期を失したのだから、いつそのこと、年末の景気立つた頃の方がよからうと言つて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「飮ますなと言つたら飮ますな! 一言いつたらそれで
諾
(
き
)
け!」
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
『
貢
(
みつぐ
)
、お前、
兄
(
にい
)
さんの言ふ事を
諾
(
き
)
いて呉れ無いか。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
併し其辺には彼の意に適った思わしい隠場所も無かったので、
命令
(
いいつけ
)
を
諾
(
き
)
かない二本の脚を、無理に
引擦
(
ひきず
)
って
復
(
ま
)
た歩き出した。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それまではまアいゝんですが、今度は宅の自動車に乗せて行けといって
諾
(
き
)
かないんです。汽車で行きなさいといったら、汽車なんかのろ臭くって駄目だってね。
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
だがG氏は果して私の申出を
諾
(
き
)
いて呉れるであらうか。何故なら私が彼に訊ねることは学術上のことは別として、余りにプライベイトな話に立ち至るであらうから。
交遊秘話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
母のお
柳
(
りう
)
は昔盛岡で名を賣つた藝妓であつたのを、父信之が學生時代に買馴染んで、其爲に退校にまでなり、家中反對するのも
諾
(
き
)
かずに無理に
落籍
(
ひか
)
さしたのだとは
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
普通の女中達のようにだんなさん、何か書いて下さい、記念に致しますからとせがんでも、藤村はお千代の場合のように簡単には、うんと言って
諾
(
き
)
いてはくれなかったであろう。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
臨終の床の中ででもない限り、他人に持ちかけることのできないようなことを頼んだとしたら、その男はそれを
諾
(
き
)
いてやるだろうかどうだろう?……もしそれが親友か兄弟であったとしたら?
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
若旦那さえ世に出れば私の身の上は何うなっても
厭
(
いと
)
いません、おまはんには難儀をかけないから、若し無心をいって
諾
(
き
)
かない時は、
洲崎
(
すさき
)
の土手あたりの淋しい処で……なア、ようざますか、なア
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「お待ちったらさ、そのお方を斬ったら私が
諾
(
き
)
かないからそう思いな」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と云い出して頑として
諾
(
き
)
かない。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
『お
前
(
まへ
)
本当
(
ほんたう
)
に
諾
(
き
)
いて呉れるか。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
どんな無理でも
諾
(
き
)
こうという、そんな気持ちになるらしい。そこを狙って献金を! ドッコイ、俺には物欲はねえ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
母のお
柳
(
りう
)
は昔盛岡で名を売つた
芸妓
(
げいしや
)
であつたのを、父信之が学生時代に買馴染んで、其為に退校にまでなり、
家中
(
うちぢゆう
)
反対するのも
諾
(
き
)
かずに無理に落籍さしたのだとは
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いっそ、会うて話さしたら思うて、その事をいいましたが、之は照奴は何というても
諾
(
き
)
きまへン。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
こういう機会をうまく、袴野にもすらすらと
諾
(
き
)
かそうとする虫のよい
肚
(
はら
)
が見えた。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
Dがべろべろに酔つて町端れのカフエーで暴れ手もつけられぬからといふ知らせをうけたのだが、怕しくて途方に暮れてゐる、彼のいふことなら
諾
(
き
)
くから——と叔母が泣き込んで来た事もあつた。
裸虫抄
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
『ふん、何んでも
諾
(
き
)
きます。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
そうして父の依頼を
諾
(
き
)
かれ、この別荘へお止どまりくだされ、妾達を狙うある敵から、妾達を守ってくださるように、お約束が出来たのでございます。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
歸りはお吉の辭するも
諾
(
き
)
かず、二人で桶を一つ
宛
(
づゝ
)
輕々と持つて勝手口まで運んだが、
背後
(
うしろ
)
からお吉が
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そしてNは、改めてそのストウリイを話して呉れと云つて
諾
(
き
)
きません。
舞踏会余話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
汽車で来た
心算
(
つもり
)
でこゝから歩くって、
諾
(
き
)
かないんですって。
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「何としても
諾
(
き
)
きいれてもらえぬか。」
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「そう云わずと
諾
(
き
)
くがいい。無理の頼みではない筈だ。好きな男を取り持とう。いわばこういう話じゃあないか」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
屹度為替で返すといふことを繰返して言つて、学生はその金を
請
(
う
)
けた。そして甲田の名を聞いた。甲田は、『返して貰はなくても可い。』と言つた。然し学生は
諾
(
き
)
かなかつた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「女中だつてあなたの云ふことなんて
諾
(
き
)
きはしない。」
スプリングコート
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「まあ姐さん、
急
(
せき
)
なさんな。着ける所は眼の先だ。がその前にご相談、厭でも
諾
(
き
)
いて貰わなけりゃあならねえ」
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
然し學生は
諾
(
き
)
かなかつた。風呂敷包みから手帳を出して、是非教へて呉れと言つた。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
躄者になりましても、道了様へは行かねばならぬと……そこは正気でない父、子供のように申して
諾
(
き
)
きませぬ。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「あのね」と
浜路
(
はまじ
)
微笑したが、「お願いがあるのでございますの。小父さん
諾
(
き
)
いてくださるでしょうか」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
中止させようと努めたところ、中斎がそれを
諾
(
き
)
かなかったので、矩之丞は断念し、大塩中斎の党から脱し、身を
完
(
まっと
)
うしたとそういうのが、一番真相に近いらしい。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
諾
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“諾”を含む語句
諾威
承諾
許諾
諾否
諾々
唯々諾々
然諾
伊弉諾
快諾
伊弉諾尊
英諾威
否諾
諾威人
一諾
応諾
御承諾
甘諾
易々諾々
約諾
内諾
...