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初めは何といっても首を振ってかなかったが、剛情我慢の二葉亭も病には勝てず、散々手古摺てこずらした挙句がよんどころなく納得したので
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
一つのお噺を終っても、子供達は「もっともっと」といってかなかった。彼は望まれるままに、二つ三つとお噺の数を重ねて行った。
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「芳江姫が強情ごうじょうで鬼王丸殿の仰せをかず、それで姫を屈伏させるため、市之丞殿を土牢へ入れ苦痛を与えたのでござります」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
兼てから二人の事にいて何くれとなく心配していた姉歯某とが、極力制止するをもかず、ひそかに旅費をこしらえて、単身人眼を避けつつ
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
M君は、風をくらうと、しばらくは激しくきこんだ。そのくせ、どっか家ン中か、木蔭こかげに入ろうと云ってもかなかった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
このおせいさんが、和武に会うて、偽者やったらとっちめてやるちゅうて、かはりまへン。子爵家の人もとうとう折れて、和武に会わしたンだす。
「僕はいてやります。けれどそれが何か話してください、一刻も早く話してください」とアリョーシャが言った。
これにはわたくしもいささか当惑とうわくしてしまいました。はたしてたき竜神りゅうじんさんがこころよははたのみをいてくださるかうか、わたくしにもまったく見当けんとうがとれないのでした。
「な、わしの言うことは分ったろうな? 分ったら、どうか得心とくしんして、わしの言うことをいてくれ、な、な!」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
こうかなかったらすて姫のこぼれるわかさを、溶きほぐすすべも、なかったからだ。永い愛撫の時が終った。
ふりにあがったお客なれどもお金をたんと持って居るとの事、目の悪い客衆に会い、わっしの無心をいて下さるか
道理で弟の宮田の奴イヤにおとなしく兄貴の云ふことをヘイヘイといてゐやアがる——と彼は思つた。
スプリングコート (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
帰りはお吉の辞するもかず、二人で桶を一つ宛軽々と持つて、勝手口まで運んだが、背後うしろからお吉が
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いや、昨日来た委員連の希望を御きにならないのではあるまいか。それが心配で。」と返事した。ファラデーは「そんな責任の重い位置につくことを勧めてくれるな。」
俗にいう梯子はしごという酒癖さけぐせで、留めるのもかず途中暖簾のれんとさえ見れば潜ったものだから、十軒店近くで同伴つれと別れ、そこらまで送って行こうというのを喧嘩するように振り切って
「いさい、わかった。頼みのこと、いてとらそう」意を決めて、きっぱりと答えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしは母にまさか、その通りにも言えませんから、ただ池上が勧説かんぜいしたことだけを母に申しますと、母は「ふーむ」と鹿爪らしい顔でいていましたが、顎を大きくしゃくって
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
いてくださるか。いずれおまえさんの身にかなったことじゃあるけれども」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お雪伯母は自分にはかゝはらずに始めようと伯父に勧めたが、伯父は縁喜えんぎをかついでかなかつた。どうせ時期を失したのだから、いつそのこと、年末の景気立つた頃の方がよからうと言つて居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「飮ますなと言つたら飮ますな! 一言いつたらそれでけ!」
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
みつぐ、お前、にいさんの言ふ事をいて呉れ無いか。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
併し其辺には彼の意に適った思わしい隠場所も無かったので、命令いいつけかない二本の脚を、無理に引擦ひきずってた歩き出した。
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それまではまアいゝんですが、今度は宅の自動車に乗せて行けといってかないんです。汽車で行きなさいといったら、汽車なんかのろ臭くって駄目だってね。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
だがG氏は果して私の申出をいて呉れるであらうか。何故なら私が彼に訊ねることは学術上のことは別として、余りにプライベイトな話に立ち至るであらうから。
交遊秘話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
母のおりうは昔盛岡で名を賣つた藝妓であつたのを、父信之が學生時代に買馴染んで、其爲に退校にまでなり、家中反對するのもかずに無理に落籍ひかさしたのだとは
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
普通の女中達のようにだんなさん、何か書いて下さい、記念に致しますからとせがんでも、藤村はお千代の場合のように簡単には、うんと言っていてはくれなかったであろう。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
臨終の床の中ででもない限り、他人に持ちかけることのできないようなことを頼んだとしたら、その男はそれをいてやるだろうかどうだろう?……もしそれが親友か兄弟であったとしたら?
若旦那さえ世に出れば私の身の上は何うなってもいといません、おまはんには難儀をかけないから、若し無心をいってかない時は、洲崎すさきの土手あたりの淋しい処で……なア、ようざますか、なア
「お待ちったらさ、そのお方を斬ったら私がかないからそう思いな」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云い出して頑としてかない。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
『おまへ本当ほんたういて呉れるか。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
どんな無理でもこうという、そんな気持ちになるらしい。そこを狙って献金を! ドッコイ、俺には物欲はねえ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
母のおりうは昔盛岡で名を売つた芸妓げいしやであつたのを、父信之が学生時代に買馴染んで、其為に退校にまでなり、家中うちぢゆう反対するのもかずに無理に落籍さしたのだとは
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いっそ、会うて話さしたら思うて、その事をいいましたが、之は照奴は何というてもきまへン。
こういう機会をうまく、袴野にもすらすらとかそうとする虫のよいはらが見えた。
Dがべろべろに酔つて町端れのカフエーで暴れ手もつけられぬからといふ知らせをうけたのだが、怕しくて途方に暮れてゐる、彼のいふことならくから——と叔母が泣き込んで来た事もあつた。
裸虫抄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
『ふん、何んでもきます。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
そうして父の依頼をかれ、この別荘へお止どまりくだされ、妾達を狙うある敵から、妾達を守ってくださるように、お約束が出来たのでございます。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
歸りはお吉の辭するもかず、二人で桶を一つづゝ輕々と持つて勝手口まで運んだが、背後うしろからお吉が
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そしてNは、改めてそのストウリイを話して呉れと云つてきません。
舞踏会余話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
汽車で来た心算つもりでこゝから歩くって、かないんですって。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
「何としてもきいれてもらえぬか。」
「そう云わずとくがいい。無理の頼みではない筈だ。好きな男を取り持とう。いわばこういう話じゃあないか」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
屹度為替で返すといふことを繰返して言つて、学生はその金をけた。そして甲田の名を聞いた。甲田は、『返して貰はなくても可い。』と言つた。然し学生はかなかつた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「女中だつてあなたの云ふことなんてきはしない。」
スプリングコート (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「まあ姐さん、せきなさんな。着ける所は眼の先だ。がその前にご相談、厭でもいて貰わなけりゃあならねえ」
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
然し學生はかなかつた。風呂敷包みから手帳を出して、是非教へて呉れと言つた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
躄者になりましても、道了様へは行かねばならぬと……そこは正気でない父、子供のように申してきませぬ。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あのね」と浜路はまじ微笑したが、「お願いがあるのでございますの。小父さんいてくださるでしょうか」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
中止させようと努めたところ、中斎がそれをかなかったので、矩之丞は断念し、大塩中斎の党から脱し、身をまっとうしたとそういうのが、一番真相に近いらしい。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)