とけ)” の例文
およそ雪九月末よりふりはじめて雪中に春をむかへ、正二の月は雪なほふかし。三四の月にいたりて次第にとけ、五月にいたりて雪全くきえ夏道なつみちとなる。
第一、わしには、このような強力なる空襲部隊が、急にどこから現われたのか、その辺の謎がとけなくて、気持がわるいのだ。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
実に世には理外の理というものが有るものだと、右の江原が折々に人に語って生涯その疑惑うたがいとけなかったとの事。
お住の霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
のべければ先々ゆるりと安座あんざして火にあたり給へといふ吉兵衞は世にも有難ありがたく思ひ火にあたれば今まで氷たる衣類いるゐの雪もとけかみよりはしづくしたゝり衣服はしぼるが如くなればかの男もこれを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
よろこばしやわが腹に。物がましきはなかりけり。神の結びし腹帯も。疑ひもやゝとけたれば。心にかゝる雲もなし。」云々しか/″\と云ふに至りては、明らかに因果の結局をあらはして
ああ無心こそたっとけれ、昔は我も何しら糸の清きばかりの一筋なりしに、果敢はかなくも嬉しいと云う事身に染初しみそめしより、やがて辛苦の結ぼれとけ濡苧ぬれおもつれの物思い、其色そのいろ嫌よと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「さあさあ御覧ごろうじろ、封がとけるに従うて、お蝶さんの、あの顔が段々ゆるんで来る処を、」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鉄鎖てつくさりとける日生活のめぐみを見せ
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
洗ッて何うかするとコンガラかすのも矢張やっぱり逆毛が交ッて居るからの事です逆毛と順の毛と鱗が掛り合うからコンガラかッてとけぬのです頭の毛ならば順毛ばかりですからよしんばコンガラかッても終にはとけますそれう女髪結にきいても分る事(荻)夫が何の証拠に成る(大)サア此三本の中に逆毛が有て見れば是は必ず入毛です此罪人は
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
春も稍深やゝふかくなれば雪も日あたりはとけあるひは焼火たきびの所雪早くとくるにいたりて、かの屋根のそんじたる処木羽こばの下たをくゞりなどして雪水もるゆゑ
と海野は少しく色とけてどかと身重げに椅子にれり。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
休むる其の爲に明日は花見にゆくければ必ずあしくな思ひ給ひそと和郎そなたよりして言て呉て流石さすが孝子かうしとけ安く答へにければ忠兵衞もそれ拜承うけたまはり何より安心かくと申さば御兩親もさぞお喜びなさる可し夫では明日お辨當べんたうの支度も致せばおともには店の和吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その謎は、やがてとけた。
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
春も稍深やゝふかくなれば雪も日あたりはとけあるひは焼火たきびの所雪早くとくるにいたりて、かの屋根のそんじたる処木羽こばの下たをくゞりなどして雪水もるゆゑ
以て證據とあそばされ候事一おう御道理ごもつともには候へども私し家内の脇差わきざし出刀庖丁でばばうちやうの類刄物はもの御取寄おとりよせ御吟味下され候へば御うたがひとけ申べし其上憑司は私しの叔父なり昌次郎は從弟いとこなり又つまうめは私の先妻にこれあり叔母は憑司が方に居りかくの如くつながる親類ゆゑ假令たとへたんうらみあり共親身の者いかでか殺さるべきやと義理ぎり分明に辯解いひとくを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
物をうる茶屋をもつくる、いづれの処も平一めんの雪なれば、物を煮処にるところは雪をくぼぬかをちらして火をたけば、雪のとけざる事妙なり。
物をうる茶屋をもつくる、いづれの処も平一めんの雪なれば、物を煮処にるところは雪をくぼぬかをちらして火をたけば、雪のとけざる事妙なり。
冬春にかぎらず雪の気物きものにふれてしものおきたるやうになる、是を里言りげんにシガといふ。戸障子としやうじすきよりも雪の気入りて坐敷ざしきにシガをなす時あり、此シガ朝噋あさひ温気あたゝまりをうくる処のはとけておつる。