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うらおもて
ふりがな文庫
“
裏表
(
うらおもて
)” の例文
「それが少しもわからないんですよ、その上
裏表
(
うらおもて
)
の門も切戸も内から念入に締って、輪鍵が掛っていたというから変じゃありませんか」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
英
(
えい
)
ちゃんは、いまのから
見
(
み
)
ると、
大形
(
おおがた
)
な、そして、
手
(
て
)
ずれのした、一
銭
(
せん
)
銅貨
(
どうか
)
を
裏表
(
うらおもて
)
を
返
(
かえ
)
しながら、さもなつかしそうにながめていました。
一銭銅貨
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
たまたま大きな声で呼び留める人があるかと思えば、
裏表
(
うらおもて
)
の見えすいたぺてんにかけて、昔のままの女であらせようとするものばかりだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
花前と
大悟徹底
(
だいごてってい
)
とは、
裏表
(
うらおもて
)
であるが、自分と大悟徹底とは千葉と東京との
差
(
さ
)
であるように思われた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
一箇月ばかり前の
夜
(
ばん
)
に私がお客さんと舟で
難波橋
(
なにわばし
)
の下で涼んで居たら、橋の上からお皿を投げて、
丁度
(
ちょうど
)
私の三味線に
中
(
あた
)
って
裏表
(
うらおもて
)
の皮を
打抜
(
うちぬ
)
きましたが、本当に危ない事で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
他所
(
よそ
)
の
口
(
くち
)
を
探
(
さが
)
せとならば
足
(
あし
)
は
惜
(
を
)
しまじ、
何
(
いづ
)
れ
奉公
(
ほうこう
)
の
秘傳
(
ひでん
)
は
裏表
(
うらおもて
)
と
言
(
い
)
ふて
聞
(
き
)
かされて、さても
恐
(
おそ
)
ろしき
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
と
思
(
おも
)
へど、
何
(
なに
)
も
我
(
わ
)
が
心
(
こゝろ
)
一つで
又
(
また
)
この
人
(
ひと
)
のお
世話
(
せわ
)
には
成
(
な
)
るまじ
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
上着と下着と
長襦袢
(
ながじゅばん
)
と重なり合って、すぽりと脱ぎ捨てられたまま、畳の上に
崩
(
くず
)
れているので、そこには
上下
(
うえした
)
裏表
(
うらおもて
)
の、しだらなく一度に入り乱れた色の
塊
(
かたま
)
りがあるだけであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
下札
(
さげふだ
)
は
今
(
いま
)
誂
(
あつらへ
)
にやつてある、まだ
出来
(
でき
)
て
来
(
こ
)
んが
蝋色
(
ろいろ
)
にして
金蒔絵
(
きんまきゑ
)
で
文字
(
もじ
)
を
現
(
あらは
)
し、
裏表
(
うらおもて
)
とも
懸
(
か
)
けられるやうな
工合
(
ぐあひ
)
に、少し
気取
(
きどつ
)
て注文をしたもんぢやから、
手間
(
てま
)
が取れてまだ
出来
(
でき
)
ぬが
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
駆けて出て
我家
(
わがや
)
の
門
(
かど
)
へ
飛着
(
とびつ
)
いて、と思ふに、
夜
(
よ
)
も
恁
(
こ
)
う
更
(
ふ
)
けて、
他人
(
ひと
)
の家からは勝手が分らず、考ふれば、毎夜
寐
(
ね
)
つきに聞く職人が湯から帰る
跫音
(
あしおと
)
も、向うと
此方
(
こちら
)
、音にも
裏表
(
うらおもて
)
があるか
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と部下は
武者声
(
むしゃごえ
)
をあげるやいなや、蚕婆の家の
裏表
(
うらおもて
)
から、メリメリッ、バリバリッと戸を
踏
(
ふ
)
みやぶっておどりこんだ。が、なかは
暗澹
(
あんたん
)
、どこをさがしても、人かげらしい者は、見あたらなかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「僕はそんな
裏表
(
うらおもて
)
のある人間は嫌いです」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その思想と
伎倆
(
ぎりょう
)
の最も円熟した時、後代に捧ぐべき代表的傑作として、ハムレットを捕えたシェクスピアは、人の心の
裏表
(
うらおもて
)
を見知る詩人としての資格を立派に成就した人である。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その本は大分
丹念
(
たんねん
)
に使用したものと見えて
裏表
(
うらおもて
)
とも表紙が
千切
(
ちぎ
)
れていた。それを借りたときにも返した時にも、先生は哲学の方の素養もあるのかと考えて、
小供心
(
こどもごころ
)
に
羨
(
うらや
)
ましかった。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
而
(
そ
)
して、
婆
(
ばあ
)
さんの
店
(
みせ
)
なりに、お
浦
(
うら
)
の
身体
(
からだ
)
が
向
(
むか
)
ふへ
歩行
(
ある
)
いて、
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
其
(
それ
)
が、
谷
(
たに
)
を
隔
(
へだ
)
てた
山
(
やま
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
へ——
湧出
(
わきで
)
る
雲
(
くも
)
と
裏表
(
うらおもて
)
に、
動
(
うご
)
かぬ
霞
(
かすみ
)
の
懸
(
かゝ
)
つた
中
(
なか
)
へ、
裙袂
(
すそたもと
)
がはら/\と
夕風
(
ゆふかぜ
)
に
靡
(
なび
)
きながら
薄
(
うす
)
くなる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いえいえ。そういう大事なお使者なら、たった一つ人穴城へぬける
秘
(
かく
)
しみちへ、ごあんないいたしましょう。これ燕作さん、おめえちょっと、
裏表
(
うらおもて
)
にあやしいやつがいないかどうか
検
(
あらた
)
めておくれ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうもわからぬことがあるものだ。
弥次馬
(
やじうま
)
にはなにもわかるまいが、わかる者から見ていると、世の中の
裏表
(
うらおもて
)
は、じつに
奇妙
(
きみょう
)
だ。いや裏が表だか、表が裏だか、こう見ているとおれにさえわからなくなってくる」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
裏
常用漢字
小6
部首:⾐
13画
表
常用漢字
小3
部首:⾐
8画
“裏”で始まる語句
裏
裏店
裏梯子
裏面
裏口
裏手
裏庭
裏門
裏通
裏漉