行々ゆく/\)” の例文
きことにしてかねやらんせうになれ行々ゆく/\つまにもせんと口惜くちをしきことかぎくにつけてもきみさまのことがなつかしくにまぎれてくに
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
行々ゆく/\は貴様の力になってつかわし、親父も年をっているから、何時いつまでも箱屋(芸妓げいしゃの箱屋じゃアありません、木具屋と申して指物さしものを致します)
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに今はあひですから、思ふやうな役も付きませんが行々ゆく/\は好くなられて、坂東三津五郎を嗣ぐやうになりませう。
七代目坂東三津五郎 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
朱い手筐てばこの證文を、三之助へやるまいとしたのも、つまりは行々ゆく/\自分のものにするつもりだつたので御座います
おりたつ後姿うしろすがた見送みおくものはお八重やへのみならず優子いうこ部屋へや障子しようじ細目ほそめけてはれぬ心〻こゝろ/\を三らう一人ひとりすゞしげに行々ゆく/\ぎんずるからうたきゝたし
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれには兄弟も親族みよりもない者だから、行々ゆく/\おれ里方さとかたに成ってほかへ養子にやり、相応な侍にしてやろうと仰しゃいますから、わたくし折々おり/\うちの家来善藏ぜんぞうなどに
行々ゆく/\は隱居をして御自分で住むつもりだと言つて居たさうですが、一年前に私が此家へ來るやうになつてからは、恩人の娘だからと、私を此處へ入れてくれました。
ぼつちやんがとしもことしは十歳とをか十一にはならう、都合つがうるいは此處こゝうちには一人ひとり子寳こだからうて、彼方あちら立派りつぱをとこといふものだから、行々ゆく/\かんがへるとおどくなは此處こゝおくさま
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
慎まなければならんのだが、其の慎みが出来んという程惚れたせつなるじょうを話すのだが、己は何も御新造ごしんぞのある身の上でないから、行々ゆく/\は話をして表向手前を女房にしたいと思っている
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お新と言つて十六になります。行々ゆく/\は巳之吉と一緒にする約束になつて居りますが、まだ若過ぎることでもあり、昨夜のやうな時は、間違ひがあるといけませんので、麻布の親類へやつて泊めてもらひました」
にん居縮ゐすくんで乞食こじきのやうな活計くらしをするも、あまめたことではし、なんなりとくちつけて、いまうちからこゝろがけすこしおかねになる職業しよくげうとりかへずば、行々ゆく/\まへがたのふりかたは
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人の前で碌に口もきかれない人間だが、行々ゆく/\お前をい処へ嫁付かたづけてやると仰しゃったというから、私はそれをたのしんで居りましたが、何ういうわけで林藏殿と悪い事をすると云うは……のう忠平
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今宵こよひれば如何いかにもあさましい有樣ありさま木賃泊きちんどまりになさんすやうにらうとはおもひもらぬ、わたし此人このひとおもはれて、十二のとしより十七まで明暮あけくかほあはせるたび行々ゆく/\みせ彼處あすこすわつて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
辛抱次第で行々ゆく/\暖簾のれんを分けて遣る、其の代り辛抱をしろ、かりそめにも曲った心を出すなと熟々つく/″\御意見下すって、あんまり私を贔屓ひいきになすって下さいますもんだから、番頭さんがそねんでいやな事を致しますから
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)