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緘
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つぐ
ふりがな文庫
“
緘
(
つぐ
)” の例文
それを見ると弟はきゅうに口を
緘
(
つぐ
)
んで、彼女を放っておいてどんどん先へいった。弟の胸の中に不満と淋しさが
膨
(
ふく
)
れ上っていたのだ。
青草
(新字新仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
平次は他にもいろ/\のことを訊いて見ましたが、堀周吉は老巧な用人らしく口を
緘
(
つぐ
)
んで、それ以上は何んにも話してくれません。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここに至っては、道西入道もおぞ毛をふるって口を
緘
(
つぐ
)
むほかはなかった。そして到底、かかる間の使いに立つのは身の危険であるとも考えた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
圭子が
気色
(
けしき
)
ばんで言ふので、蓮見も、「ぢや、君の好いやうにするさ」と言つて口を
緘
(
つぐ
)
んだのだつたが、彼とても別に定見のありやうもなかつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし、それから奥のことについては、侯は一切口を
緘
(
つぐ
)
んで語らないので、ドイツ側じゃ、
業
(
ごう
)
を
煮
(
に
)
やしているらしい。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
「いやさうでもありません。」さう云ひながら、青年は力無ささうに口を
緘
(
つぐ
)
んだ。簡単に言葉では、現はされない原因が、存在することを暗示するかのやうに。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「
否
(
いな
)
」と気の毒そうに男が答える。「逢わせまつらんと思えど、公けの
掟
(
おきて
)
なればぜひなしと
諦
(
あきら
)
めたまえ。
私
(
わたくし
)
の
情
(
なさけ
)
売るは安き
間
(
ま
)
の事にてあれど」と急に口を
緘
(
つぐ
)
みてあたりを見渡す。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
爺
(
ぢい
)
、いま
一
(
ひと
)
つくんねえか」と
更
(
さら
)
に
強請
(
せが
)
んだ。
彼
(
かれ
)
は五
厘
(
りん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
を
大事
(
だいじ
)
にした。
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
は
暫
(
しばら
)
く一
錢
(
せん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
に
訓
(
な
)
れて
居
(
ゐ
)
たので
心
(
こゝろ
)
に
僅
(
わづか
)
な
不足
(
ふそく
)
を
感
(
かん
)
じたのであつた。
卯平
(
うへい
)
は
口
(
くち
)
を
緘
(
つぐ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その以前には皆して家の祕密の事は口を
緘
(
つぐ
)
んでしまつてゐたのです。孝順なバァサは、その兩方の點で親そのまゝでした。私は素敵な伴侶を持つた譯です——清淨で、
賢
(
かしこ
)
くて、從順な。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
こう言って朴はしばし口を
緘
(
つぐ
)
んだ。が、しばらくしてまた彼は言った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
とこの説明を聞きて若紳士は忽ち口を
緘
(
つぐ
)
みぬ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
緘
(
つぐ
)
みたる色あかき
唇
(
くちびる
)
に、あるはいやしく
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「此家の前で、親分に話そうとしたが、奥にお組が居るから——私は怖い——とか何んとか言って、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまったでしょう」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あなたは妾に信頼して下さらない。」と細い声で云つてきつと口を
緘
(
つぐ
)
んだ。道助は少し
険
(
けは
)
しい眼つきをした。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
「いやそうでもありません。」そう云いながら、青年は力無さそうに口を
緘
(
つぐ
)
んだ。簡単に言葉では、現わされない原因が、存在することを暗示するかのように。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そして道ゆく者が近づくとすぐ口を
緘
(
つぐ
)
むのであった。人目に対して
装
(
よそお
)
うことに主従はいつか熟練していた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし婦人が何者であるか、彼との関係はどうなのであるかについては中々口を
緘
(
つぐ
)
んで語らなかった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
男は仕方なしに口を
緘
(
つぐ
)
んだ。女も留ったまま動かない。まだ白状しない気かと云う眼つきをして小野さんを見ている。
宗盛
(
むねもり
)
と云う人は刀を突きつけられてさえ腹を切らなかったと云う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そんぢや
誰
(
だれ
)
だんべ、
寄
(
よ
)
せんな」
女房
(
にようばう
)
は
立
(
た
)
つた
儘
(
まゝ
)
一
同
(
どう
)
を
見廻
(
みまは
)
して
嫣然
(
にこり
)
としていつた。それでも
暫
(
しばら
)
くは
凡
(
すべ
)
てが
口
(
くち
)
を
緘
(
つぐ
)
んで
居
(
ゐ
)
た。
巫女
(
くせよせ
)
の
婆
(
ばあ
)
さんは
箱
(
はこ
)
を
包
(
つゝ
)
んだ
荷物
(
にもつ
)
を
其
(
その
)
儘
(
まゝ
)
自分
(
じぶん
)
の
膝
(
ひざ
)
へ
引
(
ひ
)
きつけて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「この家の前で、親分に話さうとしたが、奧にお組がゐるから——私は怖い——とか何んとか言つて、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまつたでせう」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこには秋霜のごとく犯しがたき威厳が伴った。こうした場合、これまでも忠直卿の意志は絶対のものであった。土佐は口を
緘
(
つぐ
)
んだまま、悄然として引き退いた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
信盛もぜひなく口を
緘
(
つぐ
)
んだまま彼の落着くのを待っていた。しかし烈しい
咳声
(
しわぶき
)
を抑えて病躯を
揉
(
も
)
んでいる半兵衛を前にしては、さすがに見ているのも苦しくなったとみえ
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次の態度には
例
(
いつも
)
に似気なく真剣なところがあるので、無駄の多いガラッ八も、さすがに口を
緘
(
つぐ
)
んで、親分の顔を見上げました。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
符牒
(
ふちょう
)
の呼び値が
懸
(
かか
)
りだすと、伊太利珊瑚の値は一躍百両を越えて百五十両の台になり、さすがな、買い方も
呆
(
あ
)
ッけにとられて口を
緘
(
つぐ
)
んでしまったと思うと、金吾のうしろから
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次の態度には
例
(
いつも
)
に似気なく真剣なところがあるので、無駄の多いガラッ八も、さすがに口を
緘
(
つぐ
)
んで、親分の顔を見上げました。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
異様な感動に心も
痺
(
しび
)
れたかの如くそのまま口を
緘
(
つぐ
)
んでいた。廊下を歩むしずかな
跫音
(
あしおと
)
がそれとともに主従の耳に聞えた。於菊である。命ぜられた水を器に汲んでもどって来た。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は他にもいろいろのことを訊いてみましたが、堀周吉は老巧な用人らしく口を
緘
(
つぐ
)
んで、それ以上は何にも話してくれません。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、時政はなぜか口を
緘
(
つぐ
)
んでしまう。あたりを見ているのである。それから云った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お葉は急に口を
緘
(
つぐ
)
みました。男に逢ふのを一生の大事と考へるやうな、
冒涜
(
ばうとく
)
的な習慣を身につけたことが、フト極りが惡かつたのでせう。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗矩は、それからまた、
短檠
(
たんけい
)
に横顔を照らされたまま、しばらく口を
緘
(
つぐ
)
んでいたが
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うっかり口を滑らして、あわてた自分の態度が
疎
(
うと
)
ましいような気がして、ツイ按摩の顔から眼を
外
(
そ
)
らして、フッと口を
緘
(
つぐ
)
んでしまいました。
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、彼が黙っていると、耕介も、ぶあいそに、いつまでも、口を
緘
(
つぐ
)
んでいる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お梅は何か言はうとして口を
緘
(
つぐ
)
んでしまひました。平次はそれを聽き度くも無ささうに、八五郎を促し立てゝ外へ出るのです。
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
飲みほして、二人はなお語りつづけていたが、
夜半
(
よなか
)
になると、さすがに何っ方からともなく口を
緘
(
つぐ
)
んで、まだ酒も少し残っていたが、脚だけを夜具に入れて、手枕のまま寝入ってしまった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お菊は何んか知って居たに違いないよ、昨日の夕方、此家の入口で俺と逢った時、何んか言いかけて急に口を
緘
(
つぐ
)
んでしまったじゃないか」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚住十介を初め、ぴりっとして、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまう。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次が問ひかけると、娘多世里は自分の
喋舌
(
しやべ
)
り過ぎたことに氣が付いたらしく、ハツと口を
緘
(
つぐ
)
んで平次の顏を見上げました。
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金子重輔は、
涕涙
(
ているい
)
して暫く、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言いかけて又次郎は口を
緘
(
つぐ
)
みました。馬道からここまでは一と走りです。煙草を買うことにして、人一人殺しに来られないはずはありません。
銭形平次捕物控:053 小唄お政
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お菊は何にか知つてゐたに違ひないよ。昨日の夕方、この家の入口で俺と會つた時、何にか言ひかけて急に口を
緘
(
つぐ
)
んでしまつたぢやないか」
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の論告に壓倒されて、お關の濱路はタジタジとなつて了ひましたが、それでも頑固に口を
緘
(
つぐ
)
んで、實は——と言つてくれさうもありません。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
上樣御脈を拜する矢先となれば、隨分口を
緘
(
つぐ
)
んで、御檢屍も内々に願ふ
術
(
て
)
もあるでせうが、金づくでやつたとあつちや、私の顏が納まりません。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次の論告に圧倒されて、お関の浜路はタジタジとなってしまいましたが、それでも頑固に口を
緘
(
つぐ
)
んで、実は——と言ってくれそうもありません。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一味の者は誰も知らず、係りの平見
某
(
なにがし
)
は口を
緘
(
つぐ
)
んで殺され、その首領の柴田三郎兵衛は、
鈴
(
すず
)
ヶ
森
(
もり
)
で腹を切ってしまった。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一味の者は誰も知らず、係りの平見
某
(
なにがし
)
は口を
緘
(
つぐ
)
んで殺され、その首領の柴田三郎兵衞は、鈴ヶ森で腹を切つてしまつた。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「近所の噂をかき集めて見たが、俵屋に遠慮して、
田螺
(
たにし
)
のやうに口を
緘
(
つぐ
)
んでしまひますよ、成程、俵屋に睨まれちや、この土地で暮しが立たない」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掛けると、逃げ出さないまでも、用心深くなつて、
田螺
(
たにし
)
見たいに口を
緘
(
つぐ
)
むに決つて居る、——知らん顏をして居るんだ
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掛けると、逃げ出さないまでも、用心深くなって、
田螺
(
たにし
)
みたいに口を
緘
(
つぐ
)
むに決っている、——知らん顔をしているんだ
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これが伊與之助から引出した全部で、これより突つ込んで訊くと、口を
緘
(
つぐ
)
んでしまひます。伊與之助を歸すと、入れ代りに八五郎が戻つて來ました。
銭形平次捕物控:295 万両息子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内儀のお延はフト舌を
滑
(
すべ
)
らせて、あわてて口を
緘
(
つぐ
)
みました。聡明さがツイ、女の本能の
憤
(
いか
)
りに破れたという様子です。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“緘”の意味
《動詞》
開いている口などををきつく閉じる。
(出典:Wiktionary)
緘
漢検1級
部首:⽷
15画
“緘”を含む語句
緘黙
緘黙行
緘默
五大力恋緘
封緘
緘默行
封緘紙
封緘葉書
緋緘
緘口
緘嘿
緘黙沈吟
要緘