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秘訣
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ひけつ
ふりがな文庫
“
秘訣
(
ひけつ
)” の例文
旧字:
祕訣
突き止めてこの聖者から、世にも
稀
(
まれ
)
な幸福の
秘訣
(
ひけつ
)
を奪い取るか、でなければ、それが偽物であるのを観破して私の夢を安らかにし
度
(
た
)
い。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お
茶漬
(
ちゃづ
)
けには、熱湯を少しずつ注いだ濃い目のものを用いるのがよい。しかし、
抹茶
(
まっちゃ
)
や
煎茶
(
せんちゃ
)
にしても、最上のものを用いることが
秘訣
(
ひけつ
)
だ。
鮪の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
何等か革新的であるかの印象を与えつつ、而もその内容が不明なることが、ファッシズムが一部の人を
牽引
(
けんいん
)
する
秘訣
(
ひけつ
)
なのである。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
それにまた、四階の人たちのところへはいり込むには、何かある魔法的な
秘訣
(
ひけつ
)
を、開けよ
胡麻
(
ごま
)
を、知っていなければならないほどだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
国師は
足利尊氏
(
あしかがたかうじ
)
を
発心
(
ほっしん
)
せしめた有名な人ですが、この無窓国師は「
長寿
(
ながいき
)
の
秘訣
(
ひけつ
)
」すなわち長生の方法について、こんな事をいっています。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
▼ もっと見る
この幻術の
秘訣
(
ひけつ
)
はどこにあるかと言えば、それは象徴の暗示によって読者の連想の活動を刺激するという修辞学的の方法によるほかはない。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
文学者の
秘訣
(
ひけつ
)
はそこにあります。こういう文学ならばわれわれ誰でも遺すことができる。それゆえに有難いことでございます。
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
僕は君達に不動の
秘訣
(
ひけつ
)
を説いて聞かせたが、君達は修養が無いから、急場に臨んでそれを実行することが出来そうでなかった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は以前
田舎
(
いなか
)
に住んでいたに違いないと思われた。なぜなら、あらゆる有益な
秘訣
(
ひけつ
)
を知っていて、それを百姓どもに教えてやったからである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
田舎者の出世の早道は、上京にある。しかも、その田舎者は、いい加減なところで必ず帰郷するのである。そこが
秘訣
(
ひけつ
)
だ。
如是我聞
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
だから、よい記憶で、「方式」どおりにやるということが、うまく勝負をする
秘訣
(
ひけつ
)
だと一般に考えられている点である。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
七兵衛が魚をとるのではない、魚の方から七兵衛に来るのだと舌を
捲
(
ま
)
いていたものです。七兵衛自身についてその
秘訣
(
ひけつ
)
を聞けば、こともなげに笑って
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
少し
胡魔化
(
ごまか
)
したように見えるが、この話の
秘訣
(
ひけつ
)
は、鉛筆で描いた線には幅があるという点に帰するのである。
地球の円い話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
すると、琴中に
竜門
(
りゅうもん
)
の暴風雨起こり、竜は電光に乗じ、
轟々
(
ごうごう
)
たる
雪崩
(
なだれ
)
は山々に鳴り渡った。帝王は狂喜して、伯牙に彼の成功の
秘訣
(
ひけつ
)
の存するところを尋ねた。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
知ることは戦ひに勝つ
秘訣
(
ひけつ
)
である——と東洋の兵法は教へてゐる。大ナポレオンの後をつぐ君等の名誉の勝利を維持して行くには、よく敵を知らなければいけない。
風変りな決闘
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
成効の
秘訣
(
ひけつ
)
というようなものが箇条書にしてあったうちに、何でも猛進しなくってはいけないと云う一カ条と、ただ猛進してもいけない、立派な根底の上に立って
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春信は
寔
(
まこと
)
に最少の手段によりて最大の効果を得べき芸術の
秘訣
(
ひけつ
)
を知りたる画家たりしといふべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この人の胸の中には万人に対する更新の
秘訣
(
ひけつ
)
がある、ついには真理を地上に押したてる偉力がある、それでやがては万人が神聖になり、互いに愛しあうようになるだろう。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この根本に帰入するのが、いくらかでも仏法の守られる
秘訣
(
ひけつ
)
だと松雲は考えた。ところがこれには反対があって、仏徒が神道を基とするのは狭い偏した説だとの意見が出た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
自由放任はすなわち政治の最大
秘訣
(
ひけつ
)
であって、また個人をしてほしいままに各自の利益を追求せしめおかば、これにより期せずして社会全体の福利を増進しうるということが
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
いつぞや色男の
秘訣
(
ひけつ
)
を買おうとして、余儀ない羽目に買って来た三世相解が手に触り、もしやこれにと思って引出して見ると、案の如く生年生月の吉凶がことごとく示してある
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「
秘訣
(
ひけつ
)
なんだよ。秘訣なんだよ。死骸を腐らせない。……屍蝋というものになるんだ」
白昼夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
元来晴れの戦場におけるノックには一種の
秘訣
(
ひけつ
)
がある、それは難球を打ってやらぬことである、だれでも取れるような球を打ってやれば過失がない、過失がなければ気がおちつく
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
長い巻紙に
出
(
で
)
たら
目
(
め
)
に沢山数字を書きつらねたのを高く頭上にさしあげて記憶術の
秘訣
(
ひけつ
)
とやらを
滔々
(
とうとう
)
弁じている角帽の書生を取り巻いた人だかりの中に、私は長男の後姿を見かけた。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「木山さんには
私淑
(
ししゆく
)
してゐます。時々会うて世渡りの
秘訣
(
ひけつ
)
を拝聴してゐますよ。」
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
これ技工をもって天然の風景とその徳を争うものなり
音曲
(
おんぎょく
)
の
秘訣
(
ひけつ
)
もここに
在
(
あ
)
りと。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これ、九星によりて人の性質を憶定する
秘訣
(
ひけつ
)
にして、これを年に配するときは
妖怪学
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
男は少女にあくがれるのが病であるほどであるから、むろん、このくらいの
秘訣
(
ひけつ
)
は人に教わるまでもなく、自然にその呼吸を自覚していて、いつでもその便利な機会を
攫
(
つか
)
むことを
過
(
あやま
)
らない。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そうすれば、人間のやること、人間の考え出したことなら、たいがいわかって来るものさ、こいつは僕の
秘訣
(
ひけつ
)
で、英夫君だから伝授してやるが、他人には口外無用ってところなんだ、はっはっは
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
しかしさすがに西洋人は、人生を享楽することの
秘訣
(
ひけつ
)
を知ってる。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
と、けだしこれ題詠の
秘訣
(
ひけつ
)
なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
宝船
(
たからぶね
)
以上の夢見る
秘訣
(
ひけつ
)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼らは皆、深い感情をいだきそれを表現した。しかし彼らの用いた言葉の
秘訣
(
ひけつ
)
は、彼らとともに死んでしまったのである。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで、この少年は上り口に腰をおろして、七兵衛を相手に、近く
来
(
きた
)
るべき天下の大乱によって、大金持になるべき
秘訣
(
ひけつ
)
を説き出して、七兵衛を
煙
(
けむ
)
にまく。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
化粧しているのやら、していないのやら、ちょっとわからないのが、いわゆる「化粧の
秘訣
(
ひけつ
)
」かと存じます。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
この花園の
奇
(
く
)
しき美の
秘訣
(
ひけつ
)
を問わば、かの花作りにして花なるひとり、一陣の秋風を呼びて応えん。「私たちは、いつでも死にます。」一語。二語ならば汚し。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
驚くようなところを捜し出すことがときどきあるのだよ、はだし女やすべたには、初手にまずびっくりさせてやるのだ——これがこういう手合いに取りかかる
秘訣
(
ひけつ
)
なのさ
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
よく見ると、どうもその
秘訣
(
ひけつ
)
の一つは、歩脚の先の指節にあるらしく、針のように細いしかし強い線で描かれた指節の突端が、石に
喰
(
く
)
い入っていた。それが
効
(
き
)
いているらしい。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
殊
(
こと
)
に犯罪には
常軌
(
じょうき
)
を
逸
(
いっ
)
した馬鹿馬鹿しい事がつきものです。そういうものを馬鹿にしないことが犯罪を解く者の
秘訣
(
ひけつ
)
です。……こんなことを外国の有名な探偵家がいい
遺
(
のこ
)
していますよ
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そもそも一技芸の起らんとするや、そが創始時代の制作には必ず原始的なる粗野の精力とこれを発表する
簡朴
(
かんぼく
)
なる様式との
間
(
あいだ
)
に
後人
(
こうじん
)
の見て以て
窺知
(
うかがいし
)
るべからざる
秘訣
(
ひけつ
)
を蔵するものあり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
物のつりあいを保って、おのれの地歩を失わず他人に譲ることが浮世芝居の成功の
秘訣
(
ひけつ
)
である。われわれはおのれの役を立派に勤めるためには、その芝居全体を知っていなければならぬ。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
アパートでも、部屋をよい趣味で整えて食事をする。そういう心掛けが、料理を美味くする
秘訣
(
ひけつ
)
だ。ただ食うだけというのではなく、美的な
雰囲気
(
ふんいき
)
にも気を配る。これが結局はまた料理を
美味
(
うま
)
くする。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
常態は皮相にして、変態は
蘊奥
(
うんおう
)
なり。前者は思議すべきものにして、後者は思議すべからざるものなり。ゆえに、妖怪学は宇宙の玄門を開き、事物の
秘訣
(
ひけつ
)
を究め、諸学の奥義を示す学なりと知るべし。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
遊ばせてやるのだと心得れば好かれぬまでも
嫌
(
きら
)
われるはずはござらぬこれすなわち女受けの
秘訣
(
ひけつ
)
色師
(
いろし
)
たる者の具備すべき必要条件法制局の裁決に徴して明らかでござるとどこで聞いたか
氏
(
うじ
)
も分らぬ色道じまんを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
鎧
(
よろい
)
の
隙間
(
すきま
)
を、魂の
秘鑰
(
ひやく
)
たる欠点弱点を、たちまちのうちに見出し、
秘訣
(
ひけつ
)
を握ることを、よく知っていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「どうして
殿下
(
あなた
)
は、今日のような御身分になられましたか。何か立身出世の
秘訣
(
ひけつ
)
でもございますか」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
政治家の
秘訣
(
ひけつ
)
はなにもないよ、ただ誠心誠意の四字ばかりだよ——内政のことにしろ、この秘訣を知らないから、どうも
杓子定規
(
しゃくしじょうぎ
)
で、さっぱり妙味というものがない。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あの雨の日に、初老の不良文士の口から出まかせの「
秘訣
(
ひけつ
)
」をさずけられ、何のばからしいと内心一応は
反撥
(
はんぱつ
)
してみたものの、しかし、自分にも、ちっとも名案らしいものは浮ばない。
グッド・バイ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
随分独断的な話であるが、南画の
秘訣
(
ひけつ
)
はここにあるということに決めた。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
しかし彼女は女だったから、友の愛を落胆させることなく、冷淡な言葉がひき起こす内心の失意を、すぐにやさしい言葉で
癒
(
いや
)
してやるだけの
秘訣
(
ひけつ
)
を、知らないではなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“秘訣”の意味
《名詞》
秘 訣(ひけつ)
奥の手。極意。
他人には知られていない自分が得意な方法、やり方。
(出典:Wiktionary)
秘
常用漢字
小6
部首:⽲
10画
訣
漢検準1級
部首:⾔
11画
“秘”で始まる語句
秘
秘密
秘蔵
秘奥
秘事
秘伝
秘鑰
秘帖
秘術
秘法