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かみわざ
ふりがな文庫
“
神業
(
かみわざ
)” の例文
ハッと唇の色を変えて、錦子は
顫
(
ふる
)
えあがったが、いたずらものが忍び込んだ形跡もないので家の者たちは
神業
(
かみわざ
)
だと、
禍
(
わざわい
)
のせいにした。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
なんだか
神業
(
かみわざ
)
とでもいうような気がして、子供の私には、珍らしくもあり、怖くもあったのです。思わずそんなふうに聞き返しました。
鏡地獄
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
取リ敢エズ杉田氏ノ意見ヲ叩クト、「ヘーエ、ソンナ器用ナコトガ出来ルモンデスカナア、出来タラマルデ
神業
(
かみわざ
)
ミタイナモンデスナア」
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこを
遡
(
さかのぼ
)
ると、自分の
現
(
うつ
)
し
身
(
み
)
を
搏
(
う
)
っている血をとおして、遠い
大祖
(
おおおや
)
たちの
神業
(
かみわざ
)
と、国体の
真
(
しん
)
が、いつか明らかに、心に映じてくる。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、遠慮なさることはいらない。何しろあの場合の、咄嗟の撮影の
早業
(
はやわざ
)
なんてものは、人間業じゃなくて、まず
神業
(
かみわざ
)
ですね」
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
法水はいったんかすかに嘆息したが、なおも気魄を
凝
(
こ
)
らして、
神業
(
かみわざ
)
のような伸子の失神に絶望的な抵抗を試みた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
かかる
場合
(
ばあい
)
にのぞみて、
人間
(
にんげん
)
の
依
(
たの
)
むところはただ
神業
(
かみわざ
)
ばかり……。
私
(
わたくし
)
は一
心
(
しん
)
不乱
(
ふらん
)
に、
神様
(
かみさま
)
にお
祈祷
(
いのり
)
をかけました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
たとえ身分は
駕籠
(
かご
)
かきであれ、病魔を払った今回の大功、人間業と申すよりむしろ
神業
(
かみわざ
)
とでも申すべきか、戦場における一番鎗より遥かに秀でた立派な働き。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
即ち天の人に与えたもうた
神業
(
かみわざ
)
である。しかし、同じ「人」ではあるが、極めて低い美にしか生きることを許されていない人々がある。天の恵みが薄いのである。
雅美ということ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
神業
(
かみわざ
)
と思うにや、六部順礼など遠く
来
(
きた
)
りて
賽
(
さい
)
すとて、一文銭二文銭の青く錆びたるが、円き
木
(
こ
)
の葉のごとくあたりに落散りしを見たり。深く山の
峡
(
かい
)
を探るに及ばず。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんなことはないとは百も承知して居りながら、何となく
神業
(
かみわざ
)
のやうな気がして為方がなかつた。偶然にしても、あまりに不思議な偶然と言はなければならなかつた。
迅雷
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
白日の幽霊を見たような恐ろしい恐怖から解放されると、不思議な
神業
(
かみわざ
)
——こんなにもよく似た
双生児
(
ふたご
)
の妹の思わぬ出現に、すっかり度胆を抜かれてしまったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:03 鍵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
火山
(
かざん
)
の
噴火
(
ふんか
)
鳴動
(
めいどう
)
を
神業
(
かみわざ
)
と
考
(
かんが
)
へたのは
日本
(
につぽん
)
ばかりではないが、
特
(
とく
)
に
日本
(
につぽん
)
においてはそれが
可
(
か
)
なり
徹底
(
てつてい
)
してゐる。まづ
第一
(
だいゝち
)
に、
噴火口
(
ふんかこう
)
を
神
(
かみ
)
の
住
(
す
)
み
給
(
たま
)
へる
靈場
(
れいじよう
)
と
心得
(
こゝろえ
)
たことである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
扨
(
さて
)
は天の助くる処か。心は
神業
(
かみわざ
)
。運命は悪魔のわざとこそ聞け。一か八かと思ふ間あらせず。背後の上り
框
(
かまち
)
に
立架
(
たてか
)
けたる錫杖取る手も遅く、仕込みたる直江志津の銘刀抜く手も見せず。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
六日の
神業
(
かみわざ
)
を自分の胸に体験し
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
六日の
神業
(
かみわざ
)
を自分の胸に体験し
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
そして、約束どおり半月後に、西の丸裏御門の内の
槐
(
えんじゅ
)
の下へ、
誂
(
あつら
)
えたように、
埋
(
い
)
けておくなどということは、
神業
(
かみわざ
)
でもなければ、なしうる筈のものではない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傷害ヲ与エツツ、利得ヲ
恣
(
ほしいまま
)
ニセシ形跡アリ、即チ、古来伝ウルトコロノ「狐ヲ使ウ」「真言秘密ノ
呪法
(
じゅほう
)
ニカケル」又ハ「生霊、死霊ヲ
憑
(
つ
)
ケル」「神罰、仏罰ヲ当テル」等ノ霊験、
神業
(
かみわざ
)
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「冗談言つちやいけません、
神業
(
かみわざ
)
ですよ。大晦日の次に元日が來るほど確かで」
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
膝下
(
ひざもと
)
へ呼び出して、
長煙草
(
ながぎせる
)
で
打擲
(
ひっぱた
)
いて、
吐
(
ぬか
)
させる
数
(
すう
)
ではなし、もともと念晴しだけのこと、
縄着
(
なわつき
)
は
邸内
(
やしきうち
)
から出すまいという奥様の思召し、また爺さんの方でも、
神業
(
かみわざ
)
で、当人が分ってからが
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
答『イヤこれは
最初
(
さいしょ
)
人類
(
じんるい
)
を
創造
(
つく
)
り
出
(
だ
)
す
時
(
とき
)
の、ごく
遠
(
とお
)
い
大古
(
たいこ
)
の
神業
(
かみわざ
)
であって、
今日
(
こんにち
)
では
最早
(
もはや
)
その
必要
(
ひつよう
)
はなくなった。そなたも
知
(
し
)
るとおり
人間
(
にんげん
)
の
男女
(
だんじょ
)
は
立派
(
りっぱ
)
に
人間
(
にんげん
)
の
子
(
こ
)
を
生
(
う
)
んで
居
(
い
)
るであろうが……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
神業
(
かみわざ
)
めいた兇器が、はたして現実あり得るものだろうか。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「仁兵衛夫婦が、あえて主命もものとせずに、わしの母を力づけ、ひそかにわしを産み落させてくれたのじゃが……ひとの心は、たまたま、
神業
(
かみわざ
)
をするものかもしれぬ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何か
見馴
(
みな
)
れません綺麗な鳥が、種をこぼして行ったと申して、熱海中の
吉瑞
(
きちずい
)
、
神業
(
かみわざ
)
じゃと、
皆
(
みんな
)
が、大抵めでたがりました事でござりますが、さてこうなってみますると、それが早や魔の
業
(
わざ
)
で
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「兄殺しは重罪だが、自分の家へ入つても泥棒は泥棒に違ひない、それを暗闇の中で成敗したのは
神業
(
かみわざ
)
だ。此處でお前を縛つちや、少しばかり十手
冥利
(
みやうり
)
が惡からう。なア、八、どうしたものだ」
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
神
常用漢字
小3
部首:⽰
9画
業
常用漢字
小3
部首:⽊
13画
“神”で始まる語句
神
神々
神輿
神楽
神田
神酒
神戸
神楽坂
神仏
神主