眞顏まがほ)” の例文
新字:真顔
つか/\と行懸ゆきかけた與吉よきちは、これをくと、あまり自分じぶん素氣そつけなかつたのにがついたか、小戻こもどりして眞顏まがほで、ひとしばだたいて
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこで言葉ことば途切とぎつて、青木さんは不眞顏まがほになりながら、ぢつとおくさんのかほ詰めた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
亨一も眞顏まがほになつた。こんなときは、いくら理合りあひをつくして云つても何のききめがないものであると云ふことは明らかであるけれど、やつぱり默つて居ることが出來なかつた。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
そして女教師の福富も矢張り、遣るだらうか、女だから遣らないだらうかといふ疑問を起した。或時二人きりゐた時、直接いて見た。福富は眞顏まがほになつて、そんな事はした事はありませんと言つた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
小池もお光も、互ひに眞顏まがほになつて、口先きだけで笑ひ合つてゐた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
申し出すじきとも云難く然すれば御たがひの身にかゝはる事故何分なにぶんにも見遁して貰ふより外なし其手段しゆだんは金子なりと眞顏まがほに成て語りければ仁左衞門も其事そのことに至らば誠に身の大事なりと心に納め是非なく百兩工夫くふうして相渡しける故三吉は大によろここれまこといのちの親なりと押戴き其の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與吉よきち眞面目まじめなのに釣込つりこまれて、わらふことの出來できなかつたおしなは、到頭たうとうほねのある豆腐とうふ注文ちうもんわらはずにました、そして眞顏まがほたづねた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つま微笑びせうをつづけながらつたが、そこで不意ふい眞顏まがほになると
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
聞者哉きくものかな其趣そのおもむきならば汝は立派な好男子也いゝをとこなり併しながら忠兵衞妻は餘程よほど好者ものずきなりとたはふれられしかば長庵眞顏まがほにていやさ世には相縁あひえん奇縁きえんと申事も御座候と申けるは如何にも不敵々々ふて/\しき曲者なり越前守殿如何に忠兵衞長庵の申立而已のみにては胡亂うろんなり先月中旬ちうじゆんころ其方がつま富儀とみぎ長庵と密通みつつうの場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たもとにも、懷中ふところにも、懷紙くわいしなかにもつてて、しんつて、眞顏まがほで、ゑてぐのがあぶらめるやうですごかつたとふ……ともだちはみなつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
幼君えうくん眞顏まがほにて、「くるしからず、はやつかはせ」とうながたまふ。さては仔細しさいのあることぞと籠中かごのなかひともたらせたり。彼男かのをとこいたこうじ、置處おきどころさまにて、冷汗ひやあせきてぞかしこまりたる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞顏まがほ引込ひきこまれて
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)