しは)” の例文
それから、しはで、殆、鼻と一つになつた唇を、何か物でもんでゐるやうに動かした。細い喉で、尖つた喉佛のどぼとけの動いてゐるのが見える。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
もみくちやにしたので、吃驚びつくりして、ぴつたりをついてたゝみうへで、手袋てぶくろをのした。よこしはつたから、引張ひつぱつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほうのあたりのしはにもしるく、これくだされ、なんではいか、このまああかことさしつけられて、今更いまさらながらまご/\とうれしく、をさしいだすもいさゝかはづかしければ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今にかへり給はぬはもしやなだれにといひてまゆしはめければ、親子は心あたりときゝてたのみし事もあんにたがひて、顔見あはせなみださしぐむばかり也。老夫らうふはこれを見てそこ/\に立かへりぬ。
白粉おしろいあつしはづらにちからなくすすり泣きつつ
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たてしはつたもんだけあな。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
よれよれのしはの波、酒染さかじみの雲
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
大旦那はお帰りに成つたか、若旦那はと、これは小声に、まだと聞いて額にしはを寄せぬ。
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其内そのうちこしはさんだ、煮染にしめたやうな、なへ/\の手拭てぬぐひいて克明こくめいきざんだひたひしはあせいて、親仁おやぢこれしといふ気組きぐみふたゝまへまはつたが、きうつて貧乏動びんぼうゆるぎもしないので
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大旦那おほだんなはおかへりにつたか、若旦那わかだんなはと、これは小聲こゞゑに、まだといてひたいしはせぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
學士がくしまゆしはめてれはこまつたもの、全体ぜんたい健康じようぶといふたちでなければ時候じこうかはなどはことさら注意ちういせねばるし、おたみどの不養生ふやうじようをさせ給ふな、さてとれもきう白羽しらはちて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)