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田畝
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たんぼ
ふりがな文庫
“
田畝
(
たんぼ
)” の例文
「谷へ下りたから、あのまんま
田畝
(
たんぼ
)
へ出て、木賃へ引取りましょうよ。もう晩方で、山に稼ぎはなし、方角がそうなんですもの。」
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
千駄谷
(
せんだがや
)
の
田畝
(
たんぼ
)
を越して、
櫟
(
くぬぎ
)
の並木の向こうを通って、新建ちのりっぱな邸宅の門をつらねている間を抜けて、牛の鳴き声の聞こえる牧場
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
右は
田畝
(
たんぼ
)
、そっちへトッ走りはしないかな? おれの身体が三つあるなら、三方へ走ってゆくのだが、お生憎様、一つしかねえ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
主家
(
しゅか
)
の方へ戻って来る途中、
其処
(
そこ
)
は山の
裾
(
すそ
)
を廻る道なので右の方が松林で、左が
田畝
(
たんぼ
)
になっているのであるが、彼はその
途
(
みち
)
を一人急いで、娘のことなど考えながらやって来ると
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
朝露しとしとと
滴
(
こぼ
)
るる桑畑の茂り、次ぎな菜畑、大根畑、新たに青み加わるさやさやしさ、一列に黄ばんだ稲の広やかな
田畝
(
たんぼ
)
や、少し色づいた遠山の秋の色、
麓
(
ふもと
)
の村里には朝煙薄青く
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
横町を
田畝
(
たんぼ
)
へ抜けて——はじめから志した——山の森の明神の、あの石段の下へ着いたまでは、馬にも、
猪
(
いのしし
)
にも乗った
勢
(
いきおい
)
だった。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山手線の朝の七時二十分の上り汽車が、
代々木
(
よよぎ
)
の電車停留場の
崖下
(
がけした
)
を地響きさせて通るころ、
千駄谷
(
せんだがや
)
の
田畝
(
たんぼ
)
をてくてくと歩いていく男がある。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
(それでは
林
(
はやし
)
へでも、
裏
(
うら
)
の
田畝
(
たんぼ
)
へでも
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ておいで。
何故
(
なぜ
)
ツて
天上
(
てんじよう
)
に
遊
(
あそ
)
んで
居
(
ゐ
)
るんだから
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
に
居
(
ゐ
)
ないのかも
知
(
し
)
れないよ)
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
片側は人家がつゞいてゐるが、向ふは
田畝
(
たんぼ
)
になつて
了
(
しま
)
ふので、
私
(
わたし
)
はまたある
家
(
うち
)
に立寄つて聞くと、このすぐ向ふだといふ。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
あの咲いております処は、今は
田畝
(
たんぼ
)
のようになりましたけれど、もと、はなれの庭だったそうですの……そして——
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
垣の角でよく
邂逅
(
めぐりあは
)
す軍人や、
田畝
(
たんぼ
)
で一所になるハイカラな若い男や、お茶の水に通ふ
肥
(
ふと
)
つた娘や、勿論口を利いたことは一度も無いが、互に顔だけは知つて居て
晩秋の頃
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
これは
新停車場
(
しんていしゃじょう
)
へ向って、ずっと滝の末ともいおう、瀬の下で、
大仁通
(
おおひとがよ
)
いの街道を
傍
(
わき
)
へ入って、
田畝
(
たんぼ
)
の中を、小路へ幾つか
畝
(
うね
)
りつつ
上
(
のぼ
)
った途中であった。
若菜のうち
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
殊に、
佳
(
い
)
い女、と思うほど、ここにうそうそ居て、この顔が見えよう。覗くのさえ気がさしますから、思切って、村はずれの
田畝
(
たんぼ
)
まで、一息に離れました。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだ船底を踏占めるような、重い足取りで、
田畝
(
たんぼ
)
添いの
脛
(
すね
)
を左右へ、草摺れに、だぶだぶと
大魚
(
おおうお
)
を
揺
(
ゆす
)
って
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨脚も白く、
真盛
(
まっさか
)
りの
卯
(
う
)
の花が波を打って、すぐの
田畝
(
たんぼ
)
があたかも湖のように拡がって、
蛙
(
かえる
)
の声が流れていた。これあるがためか、と思ったまで、雨の白河は懐しい。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
えゝ、
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
の。はあ、
夢中
(
むちゆう
)
で
其処
(
そこ
)
ら
駆廻
(
かけめぐ
)
らしつたものと
見
(
み
)
える……それは
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
では
無
(
な
)
い。お
前様
(
めえさま
)
が
温泉
(
をんせん
)
へ
来
(
き
)
さつしやつた
街道端
(
かいだうばた
)
の、
田畝
(
たんぼ
)
に
近
(
ちか
)
い
樹林
(
きはやし
)
の
中
(
なか
)
にある
大
(
おほき
)
い
沼
(
ぬま
)
よ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
途中、
田畝
(
たんぼ
)
道で自殺をしますまでも、
私
(
わたくし
)
は、しかしながらお従い申さねばなりますまい。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほかに、目に着いたものはなかったのですが……宿で教えられた寺の入口の
竹藪
(
たけやぶ
)
が、ついそこに。……川は
斜
(
ななめ
)
に曲って、
巌
(
いわ
)
が
嶮
(
けわし
)
くなり、道も狭く、
前途
(
ゆくて
)
は、もう
田畝
(
たんぼ
)
になります。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田畝
(
たんぼ
)
の鼠が、
蝙蝠
(
こうもり
)
になった、その
素袍
(
すおう
)
ひらつかいたかて、今更隠すには当らぬやて。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おきれいなのが
三人
(
さんにん
)
ばかりと、
私
(
わたし
)
たち、
揃
(
そろ
)
つて、
前津
(
まへつ
)
の
田畝
(
たんぼ
)
あたりを、
冬霧
(
ふゆぎり
)
の
薄紫
(
うすむらさき
)
にそゞろ
歩
(
ある
)
きして、
一寸
(
ちよつと
)
した
茶屋
(
ちやや
)
へ
憩
(
やす
)
んだ
時
(
とき
)
だ。「ちらしを。」と、
夫人
(
ふじん
)
が
五
(
ご
)
もくずしをあつらへた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卯の花のたえ間をここに
音信
(
おとず
)
るるものは、江戸座、雪中庵の社中か、
抱一
(
ほういつ
)
上人の三代目、少くとも蔵前の
成美
(
せいび
)
の末葉ででもあろうと思うと、違う。……
田畝
(
たんぼ
)
に狐火が
灯
(
とも
)
れた時分である。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
路傍
(
みちばた
)
に
自
(
おのず
)
から湧いて流るるのでなく、人が囲った持主があって、清水茶屋と言う茶店が一軒、
田畝
(
たんぼ
)
の土手上に
廂
(
ひさし
)
を構えた、本家は別の、
出茶屋
(
でぢゃや
)
だけれども、ちょっと
見霽
(
みはらし
)
の座敷もある。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
焚
(
た
)
こうか、埋めようか。ちょっと九尺二間を建てるにしても、場所がいまの
田畝
(
たんぼ
)
ではどうにもならず。(地蔵様の
祠
(
ほこら
)
を建てなさい、)隠居たちがいうんです。ああ、いいわねえ、そうしましょうか。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
下階
(
した
)
の病室を済ました後、横田の
田畝
(
たんぼ
)
を左に見て、右に
停車場
(
ステイション
)
を望んで、この向は天気が好いと、雲に連なって海が見える、その二階へ、
雪洞
(
ぼんぼり
)
を手にした、
白衣
(
びゃくえ
)
の看護婦を従えて、
真中
(
まんなか
)
に院長夫人。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おい、
己
(
おれ
)
を、まあ、何だと思う。浅草
田畝
(
たんぼ
)
に巣を持って、観音様へ羽を
伸
(
の
)
すから、
隼
(
はやぶさ
)
の
力
(
りき
)
と
綽名
(
あだな
)
アされた、
掏摸
(
すり
)
だよ、
巾着切
(
きんちゃくきり
)
だよ。はははは、これからその気で附合いねえ、こう、頼むぜ、小父さん。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あき
店
(
だな
)
さ、お前さん、
田畝
(
たんぼ
)
の
葦簾張
(
よしずばり
)
だ。」
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
畝
常用漢字
中学
部首:⽥
10画
“田畝”で始まる語句
田畝道
田畝畷
田畝路