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ふりがな文庫
“
混
(
こ
)” の例文
「……そらそら、すこしすいたと思ったらまた参詣人が
混
(
こ
)
んで来たよ。押さないで、押さないで——おい若いの——順番におしよ」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表の店のほうも客が
混
(
こ
)
んできたのだろう、板場へ注文をとおす女たちの声や、客の話したり笑ったりする声が賑やかに聞えた。
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「待つてくれ。そんなら、お吉の窓の戸に細工をしたのは誰だ、——お峯に引入れて貰ふくらゐなら、あんな手の
混
(
こ
)
んだ細工は無駄ぢやないか」
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
混
(
こ
)
んでいる。乗る。電車の中は、人の体温で生あたたかく、そうして、ひどく速力が鈍い。電車の中で、走りたい気持。
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして或る人は
荒寥
(
こうりよう
)
とした極光地方で、孤独のぺんぎん鳥のやうにして暮してゐるし、或る人は都会の家並の
混
(
こ
)
んでる中で、賭博場や、洗濯屋や
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
私は萱の葉の
混
(
こ
)
んだ所から無理にのぞいて見ましたら二人ともメリケン粉の袋のやうなものを小わきにかゝへてその口の結び目を立ったまゝ解いてゐるのでした。
二人の役人
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
付け旅も少しは
草臥
(
くたびれ
)
て辛い事の有るのが興多しあまり徃來の便を極めぬうち日本中を漫遊し都府を
懸隔
(
かけへ
)
だちたる地の風俗を
交
(
ま
)
ぜ
混
(
こ
)
ぜにならぬうちに
見聞
(
けんもん
)
し
山河
(
やまかは
)
も形を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「いえもうそれは、たいへん
混
(
こ
)
み
入
(
い
)
った話になりますが、今日はちょっとかい
摘
(
つま
)
んで申上げます」
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
野尻
(
のじり
)
、
三留野
(
みどの
)
の宿役人までが付き添いで、関東御通行中の人馬備えにということであった。なにしろおびただしい
混
(
こ
)
み合いで、伊那の助郷もそうそうは応援に出て来ない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
最初心ざして行った家が
混
(
こ
)
んで居て、そこから
指
(
さ
)
されて来たことをいうと、ともかくも通されたのが、ささやかな中庭を見下ろす奥の二階、それが折れ曲った廊下のはずれで
雨の宿
(新字新仮名)
/
岩本素白
(著)
恐ろしく
混
(
こ
)
んでいる場内は、霧のような濁った空気に
充
(
み
)
たされて、黒く、もくもくとかたまって
蠢動
(
しゅんどう
)
している群衆の生温かい人いきれが、顔のお白粉を腐らせるように漂って居た。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
店は、ごった返しの
混
(
こ
)
みようである。私たちは二階の隅に坐っていた。女中が去ると
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「そして、貞ちやんや光ちやんはどうなりました?」と、お梅が傍から口を出したが村上は差し當つての
混
(
こ
)
み
入
(
い
)
つた川村家の事情を
迂闊
(
うくわつ
)
にお梅などには打ち開けないで、曖昧に言ひ濁した。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
杏雲堂側面
未明
(
まだき
)
は暗き窻あけて
混
(
こ
)
み合ひの屋根に霜の置く見つ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
人出が多く、茶店はかなり
混
(
こ
)
んでいる。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
伊豆口の
三島
(
みしま
)
には尊氏方の仁木義長の軍勢が
混
(
こ
)
み入っていたので、箱根の
西裾
(
にしすそ
)
をたどって北条の
里
(
さと
)
へ落ちのび、小寺や民家にわかれて
匿
(
かく
)
れ込んだのである。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或る人は都會の家竝の
混
(
こ
)
んでる中で、賭博場や、洗濯屋や、きたない酒場や理髮店のごちやごちやしてゐる路地を求めて、毎日用もないのにぶらついてゐる。
散文詩・詩的散文
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
私は萱の
葉
(
は
)
の
混
(
こ
)
んだ
所
(
ところ
)
から
無理
(
むり
)
にのぞいて見ましたら二人ともメリケン
粉
(
こ
)
の
袋
(
ふくろ
)
のようなものを小わきにかかえてその口の
結
(
むす
)
び目を立ったまま
解
(
と
)
いているのでした。
二人の役人
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「それ、この通り、お百の首に附いて居る跡は、太い細引の跡だ、——手の
混
(
こ
)
んだ眞田紐の跡ぢやない。小指ほどの細引、そんなものが此處にないでせうか、親分」
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
殊
(
こと
)
に、余り客の立て
混
(
こ
)
んでいない
昼湯
(
ひるゆ
)
の、あの
長閑
(
のどか
)
な
雰囲気
(
ふんいき
)
は、彼の
様
(
よう
)
に
所在
(
しょざい
)
のない人間が、
贅沢
(
ぜいたく
)
な
眠
(
ねむり
)
から
醒
(
さ
)
めたのちの体の
惰気
(
だき
)
を、そのまま運んでゆくのに最も適した場所であった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たぼたぼと
蛙
(
かはづ
)
混
(
こ
)
み
合
(
あ
)
ふ日のさかり田岸は白き虎の尾のはな
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
高
(
こう
)
、仁木、西条など、けじめもつかぬ泥ンこな兵どもが、われがちに三条河原を逃げ渡って、対岸の足利陣地内へ
混
(
こ
)
み入ったことなので、尊氏、直義の
帷幕
(
いばく
)
では
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「話が少し
混
(
こ
)
んがらかつたやうだ。一
切
(
さい
)
御破算
(
ごはさん
)
にして、——圓三郎はお銀を
庇
(
かば
)
ひ立てして、つまらねえ拵へごとを言つた——といふことだけはお前にもわかるだらう」
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小松
(
こまつ
)
だ。
密
(
みつ
)
だ。
混
(
こ
)
んでいる。それから
巨礫
(
きょれき
)
がごろごろしている。うすぐろくて安山岩だ。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「いらっしゃいまし。今日は土曜の晩なもんで、こう
混
(
こ
)
んでんのよ、センセーッ」
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たぼたぼと
蛙
(
かはづ
)
混
(
こ
)
み
合
(
あ
)
ふ日のさかり田岸は白き虎の尾のはな
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
こんなうちにも、
曹
(
そう
)
の屋敷の外は黒山の人だかりだった。虎見物にと押しかけてきた村々の老幼男女は家人の制止もきかばこそ、内門の
墻
(
かき
)
の辺まで
混
(
こ
)
み入って来て。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よし/\、それ以上負けさしちや、多賀屋も
冥利
(
みやうり
)
が惡からう。お前は思つたより良い男だ、手の
混
(
こ
)
んだ人殺しなんかするより、心を入れ替へて商賣でも
勵
(
はげ
)
むがよからう。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
後
(
うし
)
ろで
誰
(
だれ
)
かこごんで石ころを
拾
(
ひろ
)
っているものもある。小松ばやしだ。
混
(
こ
)
んでいる。このみちはずうっと
上流
(
じょうりゅう
)
まで通っているんだ。
造林
(
ぞうりん
)
のときは
苗
(
なえ
)
や何かを一杯つけた馬がぞろぞろここを行くんだぞ。
台川
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
早や
愛
(
かな
)
し和田の岬の夕潮に
藷
(
いも
)
洗ふごとく子らぞ
混
(
こ
)
み合ふ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
暗いところで、手の
混
(
こ
)
んだ殺しが出來るわけはない。手さぐりでは何んにも出來ないから、——最初は行燈が灯いてゐたに違ひあるまい。曲者が入つた時は、佐野松は
灯
(
あかり
)
を
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
城際
(
しろぎわ
)
から町屋へ
混
(
こ
)
み入った大久保忠世の兵、鳥居彦右衛門の兵、井伊直政の隊など——どれひとり弱兵というのではないが、時と所と統率を得ないではその力も
奮
(
ふる
)
うすべもない。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕明き
横狭
(
よこさ
)
の入江あはれなり葦村つづき舟
混
(
こ
)
める見ゆ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
行 ┃
和賀
(
わが
)
の
混
(
こ
)
んだ松並木のときだつて
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この
界隈
(
かいわい
)
の野伏をかたらって、
乱波組
(
らっぱぐみ
)
(第五列)をつくり、放火とともに、敵の中へ
混
(
こ
)
み入るのを妙としていた男だが、この朝も、
狐河
(
きつねがわ
)
から
鳥羽
(
とば
)
へのあいだで、ふと目ざましい大将姿が六
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「思ひの外、
混
(
こ
)
み入つて居さうだ」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
混
(
こ
)
んだ野ばらやあけびのやぶ
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
ひとつに立ち
混
(
こ
)
みたる馬、車、
隙
(
ひま
)
なく
賑
(
にぎ
)
はしけれど
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
混
常用漢字
小5
部首:⽔
11画
“混”を含む語句
混雑
混合
混入
混凝土
混血児
混乱
混々
混和
混沌
混雜
混同
混交
入混
混淆
人混
混亂
混返
混合酒
打混
混多
...