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らくがき
ふりがな文庫
“
楽書
(
らくがき
)” の例文
旧字:
樂書
とその○□△を
楽書
(
らくがき
)
の余白へ、鉛筆を
真直
(
まっすぐ
)
に取ってすらすらと春の水の
靡
(
なび
)
くさまに走らした
仮名
(
かな
)
は、かくれもなく、散策子に
読得
(
よみえ
)
られた。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
悪戯好
(
いたずらず
)
きで反抗的な子供であった。教室では
傍視
(
わきみ
)
をしたり、隣の生徒に相手になったり、
楽書
(
らくがき
)
をしたりばかりしていた。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
壁のうえにはたくさん
楽書
(
らくがき
)
がしてありましたが、その半分は*「ベルラ・イタリア」にはんたいなことばばかりでした。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その名を異様に感じてその
傍
(
かた
)
えを見ると、ここへ秀吉が
床几
(
しょうぎ
)
を据えて軍勢を指揮したところだと立札に書いてあって、その次に一詩が
楽書
(
らくがき
)
してある。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これほど
手垢
(
てあか
)
さえつかずにいたらば、このまま
額縁
(
がくぶち
)
の中へ入れても——いや、
手垢
(
てあか
)
ばかりではない。何か大きい10の上に細かいインクの
楽書
(
らくがき
)
もある。
十円札
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
すると、また、昨夜眼を醒した時の母と男との
囁
(
ささや
)
きを思い出した。そして、学校の帰り道に石橋の上へ書いた
楽書
(
らくがき
)
を消したかどうかと気がかりになって来た。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
白壁があったら
楽書
(
らくがき
)
するものときまって居る。道端や公園の花は折り取るものにきまって居る。もし巡査が居なければ公園に花の咲く木は絶えてしまうだろう。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
卓子は、マアク・トウェイン、ビョルンソン、ゴウゴル、ゲエテ、グノウ、ビゼエと言った
詩人
(
ポエタ
)
達の、手垢と、
楽書
(
らくがき
)
と、
小刀
(
ナイフ
)
の痕とで、有名に装飾されてあった。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
二人はこんな事で若い
寡婦
(
ごけ
)
を嬉しがらせる事なら、自分達の顔一杯
楽書
(
らくがき
)
をしても苦しくないと思つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
入学した第一週間目、用器画の時間に、僕は所在がなくて
楽書
(
らくがき
)
して遊んでゐたら、先生が黙つてやつてきて楽書を取上げた。お前は私の時間は出席しなくてもいゝ、と言つた。
剣術の極意を語る
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
しばらく
罫紙
(
けいし
)
の上の
楽書
(
らくがき
)
を見詰めていた甲野さんは眼を上げると共に穏かに云い切った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾が
憩
(
いこ
)
ふ観音堂に
楽書
(
らくがき
)
あり Wixon, Nicol, Spark
等
(
ら
)
の名よ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
写真の裏に
種々
(
いろいろ
)
の
楽書
(
らくがき
)
がしてある。中には乃公の読めないのもあるが、「
自惚
(
うぬぼれ
)
かがみ」というのは鬚をピンと跳ねさせて鼻眼鏡を掛けている。「これでも申込んだのよ」というのがある。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
夫
(
そ
)
れから
楽書
(
らくがき
)
一切
(
いっさい
)
相成らぬ、壁や障子に楽書を禁ずるは
勿論
(
もちろん
)
、自分所有の
行灯
(
あんどう
)
にも机にも一切の品物に楽書は
相成
(
あいな
)
らぬと
云
(
い
)
うくらいの箇条で、
既
(
すで
)
に規則を
極
(
き
)
めた以上はソレを実行しなくてはならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
倦怠な
楽書
(
らくがき
)
をやつてゐるすがたが、殊更日暮れの空気と調和した。
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
この
楽書
(
らくがき
)
はじつに惜しいことをした。書いてまもなく、
密行
(
みっこう
)
の巡査が発見して、驚いて拭き消してしまったのだ。付近にはユダヤ人が多い。反ユダヤの各国人も、英国人をはじめもちろん少なくない。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
また信書を
認
(
したた
)
むる時などには、若き看守の
好奇
(
ものずき
)
にも監督を名として監房に来りては、
楽書
(
らくがき
)
などして、妾の赤面するを面白がり、なお本気の
沙汰
(
さた
)
とも覚えぬ振舞に渡りて、妾を
弄
(
もてあそ
)
ばんとするものもあり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
この国には、
楽書
(
らくがき
)
の痕をさえとどめた建物が、一つもない。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
「ほら、あそこにそのとき僕が
楽書
(
らくがき
)
をした跡がある……」
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「違う。僕は人生が寂しくって、こんな
楽書
(
らくがき
)
みたいなものの外、スケッチする張合いもないのです」わたくしは
訊
(
たず
)
ね返した「おとうさんはどうしてらっしゃるの。おかあさんはどうしてらっしゃるの。そして、ごきょうだいは」
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
言うまでもないが、手帳にこれをしるした人は、
御堂
(
みどう
)
の柱に、うたた
寐
(
ね
)
の歌を
楽書
(
らくがき
)
したとおなじ玉脇の妻、みを子である。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰る
途々
(
みちみち
)
、彼は何処か
楽書
(
らくがき
)
をするに都合の好さそうな処をと捜しながら歩いた。
土蔵
(
どぞう
)
の墨壁は一番魅力を持っていた。けれども余り
綺麗
(
きれい
)
な壁であると
一寸
(
いっすん
)
ほどの線を引いて満足しておいた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
大体、そんなような
戯画
(
ざれえ
)
と
楽書
(
らくがき
)
で、ほとんど巻の大半がうずめられていたが、そのうちで兵馬が異様に感じたのは、ただ一つの女文字が所々にはさまれて、それは多くは歌が
認
(
したた
)
められている。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その出しゃばり巡査はおそらく
罰俸
(
ばっぽう
)
でも食って郡部へまわされでもしたことだろうが、いうところによると、この
楽書
(
らくがき
)
の書体は、これより以前、二回にわたってセントラル・ニュース社に郵送された
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
楽書
(
らくがき
)
9・13(夕)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
楽書
(
らくがき
)
の文字もないが、今にも畳を離れそうで、
裾
(
すそ
)
が伸びるか、
燈
(
ともしび
)
が出るか、蚊帳へ入って来そうでならぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と気が付いた……ものらしい……で、
懐中
(
ふところ
)
へ
顎
(
あご
)
で見当をつけながら、まずその古めかしい
洋傘
(
こうもり
)
を向うの
亜鉛塀
(
トタンべい
)
へ
押
(
おし
)
つけようとして、べたりと
塗
(
ぬり
)
くった
楽書
(
らくがき
)
を読む。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
佗
(
わび
)
しい
山間
(
やまあい
)
の村で、弁当を使った時、雨を
凌
(
しの
)
いで、
簀
(
す
)
の子の縁に立掛けた板戸に、(この家の裏で鳴いたり
時鳥
(
ほととぎす
)
。……)と旅人の
楽書
(
らくがき
)
があるのを見て、つい矢立を取って
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれも雑樹林や、
畑
(
はた
)
を抱く。この
荒地
(
あれち
)
の、まばら垣と向合ったのが、火薬庫の長々とした塀になる。——人通りも何にも無い。地図の上へ鉛筆で
楽書
(
らくがき
)
したも同然な道である。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、大理石の建物にはあるまじき、ひょろひょろとした
楽書
(
らくがき
)
の形になって
彳
(
たたず
)
む処に、お
濠
(
ほり
)
の方から、円タクが、するすると流して来て、運転手台から、
仰向
(
あおむ
)
けに指を三本出した。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
花活
(
はないけ
)
に……
菖蒲
(
あやめ
)
にしては葉が細い。優しい白い
杜若
(
かきつばた
)
、それに姫百合、その床の掛物に
払子
(
ほっす
)
を描いた、
楽書
(
らくがき
)
同然の、また悪く筆意を見せて毛を
刎
(
は
)
ねた上に、「喝。」と太筆が一字
睨
(
にら
)
んでいる。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
髯
(
ひげ
)
のある
親仁
(
おやじ
)
が、紺の筒袖を、
斑々
(
むらむら
)
の
胡粉
(
ごふん
)
だらけ。腰衣のような幅広の
前掛
(
まえかけ
)
したのが、泥絵具だらけ、青や、
紅
(
あか
)
や、そのまま転がったら、
楽書
(
らくがき
)
の
獅子
(
しし
)
になりそうで、
牡丹
(
ぼたん
)
をこってりと
刷毛
(
はけ
)
で
彩
(
えど
)
る。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“楽”で始まる語句
楽
楽器
楽屋
楽園
楽隊
楽欲
楽々
楽譜
楽進
楽焼