性情せいじやう)” の例文
ぱん子女しぢよ境涯きやうがい如此かくのごとくにしてまれにはいたしかられることもあつてそのときのみはしをれても明日あすたちま以前いぜんかへつてその性情せいじやうまゝすゝんでかへりみぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いつも画学ぐわがくと習字にかけては全級ぜんきふたれも及ぶものゝない長吉ちやうきち性情せいじやうは、鉄拳てつけんだとか柔術じうじゆつだとか日本魂やまとだましひだとかふものよりもまつたちがつた他の方面に傾いてゐた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
左樣さやう、それと反對はんたいで、社會教育しやくわいけういくだけあつて學校教育がくかうけういくのないものは、隨分ずゐぶん複雜ふくざつ性情せいじやう發揮はつきするかはりに、あたま何時いつまで小供こどもですからね。かへつて始末しまつわるいかもれない
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しか伸一先生しんいちせんせい老先生らうせんせいうるはしき性情せいじやうけてさらにこれをあたらしくみがげた人物じんぶつとして此小學校このせうがくかう監督かんとく我々われ/\第二だいに權藏ごんざうとなつて教導けうだうされたのです。權藏ごんざうこゝろざしもつと完全くわんぜん成就じやうじゆされました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼等かれら各自めい/\つて種々いろ/\かくれた性情せいじやう薄闇うすぐらしつうちにこつそりとおもつて表現へうげんされてた。女房はようばう言辭ことば悉皆みんなかほたゞ驚愕おどろき表情へうじやうもつおほはしめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのなかに、かれとしはしては複雜ふくざつ實用じつようてきしないあたまつてゐながら、としよりもわか單純たんじゆん性情せいじやう平氣へいきあらはす子供こどもぢやないかといふ質問しつもんがあつた。宗助そうすけはすぐそれを首肯うけがつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それでなくてもりたがりきたがる性情せいじやう刺戟しげきすべきことは些細ささいであるとはいひながらあひつい彼等かれらみゝきこえるので勘次かんじのみが問題もんだいではくなるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)