心配しんぺえ)” の例文
萬一まさかとき心配しんぺえだからねえ、あともの厄介やくけえりてえつちなみんなおんなじだんべぢやねえか、ねえこつちのおとつゝあんさうでがせう
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あのの事なら、器用にあきらめた方がいいよ、町内の良いが一人ずつ片付いて行くのを心配しんぺえしていた日にゃ、命が続かねえぜ
お前はちっとも心配しんぺえするこたねえや。己たちゃ間違ったこたぁしねえよ、己たちはな。でえ一、お前は今度の仕事をやりそこねた。
うん、もう寢ようおもつとつたんやが、おらあ心配しんぺえごとがあるけになあ、今日も借りとつた金の利息納めんいうて松本の虎——それ藤澤の差配を
黎明 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
何んとハア貴方あんたさまゆえにお嬢さまは、相談ずくとはいいながら吉原へ這入へえって、誠にハア何うも心配しんぺえして居さっしゃったが、その甲斐けえがあって
『そだつてお前、過般こねえだも下田の千太おやぢどこで、巡査に踏込ふんごまれて四人許よつたりばか捕縛おせえられた風だし、俺アほん心配しんぺえで……』
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「なアに、こんなもの。——おっかあ心配しんぺえしねえでもいい。あんまり近寄ってくれんな。今、刎ねえしてみせる」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心配しんぺえするねえっ」文次は急に巻き舌に変わった。「いどころは俺が知ってらあ」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「何も心配しんぺえしるでねえ。うらにしの分まで稼いでやるだから。」
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
りや何時いつでもなんちつた、おとつゝあげはけつして心配しんぺえけねえからつてつたんぢやねえか、そんでもりや心配しんぺえけねえのか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
作「静かにたって、大丈夫でえじょうぶ人子ひとっこ一人通らねえ土手下の一軒家田や畑で懸隔かけへだって誰も通りゃアしねえから心配しんぺえねえよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だもんであんまりいろんな問題持ち出しちゃ、まとまるめえって心配しんぺえがあったからわざと引っこめておいたのよ。
鰊漁場 (新字新仮名) / 島木健作(著)
心配しんぺえするなってことよ。それよりゃ、てめえの頭痛もちでもなおすがいい、きゅうでもすえてな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その話はもうよせよ。奴さんは死んじまったんだし、幽霊になって出て来もしねえよ。少くも昼のうちは出て来はしめえ。そいつは聞違えっこなしだ。心配しんぺえは身の毒さ。さあ、ダブルーン金貨を
「余計な心配しんぺえだ」
てえか、そんでもたえしたこともねえから心配しんぺえすんなよ」おつぎははらはれたきたな卯平うへい白髮しらがへそつとあてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
刃物きれものも悪かったか横にいだぐれえだから心配しんぺえはねえ、浅傷あさでだったは勿怪もっけ僥倖さいわいなんにしても此処に居ちゃアいけねえから、早く船へお乗んなせえ。
「ただ心配しんぺえなのはどうも松本の親爺も先生とおらのことうすうす感づいて來とるらしいんぢや。」
黎明 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
「餘計な心配しんぺえだ」
それが心配しんぺえでござります、そんだから苦労でござりますから、斯うやって此処こけめえったのです、どうか軽躁かるはずみな事をしてめえるような事がござりましたら
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
焼け死んだような事があったら、貴方あんたの身の上は何処へ連れてめえったらいか知んねえから、それが心配しんぺえでなんねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半五「困るなアそんなことを云って、己が今心配しんぺえして居る処へ泣込んで来て、ほんとに困るなア、なに半治が手込てごめにすると、なに酔って居るんだろう」
早「えゝさぞまア力に思う人がおっんで、あんたはさみしかろうと思ってね、わしも誠に案じられて心配しんぺえしてえますよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
長「直にったって大騒ぎなんで、家内うちに少し取込とりこみがあるんで、年頃の一人娘のあまっちょが今朝出たっきりけえらねえので、内の女房やつ心配しんぺえしてえるんでね」
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多助も父様とっさまけえらねえって心配しんぺえして、五八も案じているし、村でも心配しんぺえして、見舞みめえに来やすから、何も追剥に逢う筈はねえが、久しぶりで往ったんだから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
角「あゝ云う事をいう、マアおかみさん心配しんぺえしねえがい、仕様のねえばゝあだ、四十づらをさげて飛んだ事をいやアがって、マア貴方あんた心配しんぺえしねえがようがんす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
花「心配しんぺえありません末期まつごの煙草だ、死んだら呑めませんワ、一服やりましょう、たれか火を貸しておくんなせえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに願掛がんがけが利くだねえ、亭主が道楽ぶって他の女にはまってうちけえらぬ時は、女房が心配しんぺえして、何うか手の切れる様にねげえますと願掛すると利くてえ、妙なもので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「それは忰も嫁も心配しんぺえっていますが、他の者じゃアなし、毒な虫をお前様に六百ずつで売って、何ういう事で間違えでも出来やアしねえかと心配しんぺいしてえます」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「なに心配しんぺえしねえでも宜い、私アけえってまたあとから金右衞門きんえもんどんとこの婆アさまが来ると云ったが、おめえる年じゃアあるし、大切でえじにしなけんばなんねえからね」
それからまア何うかしてと思って居ましたけれども、太田へめえったことを聞きましたから、また此方こちらへでもめえか、ひょっとして軽躁な事がありはすめえかと心配しんぺえして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うちもん心配しんぺえを掛けて本当に困るじゃアねえか、阿母おっかアはおめえを探しに一の鳥居まで往ったぜ、親の心配は一通りじゃアねえ、年頃の娘がぴょこ/\出歩いちゃアいけねえぜ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
やかましく云えば意故地いこじになって家へも帰んねえようにするれが気象でござりまして、あんな我儘な気象、あんたも知っての通り誠に心配しんぺえして、まア縁が切れても男の未練で
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
めえらが熊女くまおんな先生でがすかねえ、何処どこの者にしろ、金がねえば仕様がねえで、村でもうかしべえから心配しんぺえしねえでるがいだ、此の村の奥へ十丁べえめえりやすと寺があるだ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馴染なじみもねえ所へ預けるのも心配しんぺえだから、身代の手堅い処がと、段々かんげえたところが、春見様が宿屋店やどやみせを出しておいでなさると云うから、買出かいだしするにも安心とかんげえてまいりました
大芳の若棟梁は今に立派なものになんなさる、親方さんもい養子をもらい当てゝ仕合せだ、あゝうめえ塩梅しきにけば実子がなくっても心配しんぺえすることはないなどと申して居ります。
一寸いっすんのびればひろッてえこともあるんだ、左様そうくよ/\心配しんぺえして身体でも悪くしちゃア詰らねえからなア、まさか間違ったら其の時にまたなんとでも仕ようがあらアな、え、何うするって
われえかくなったで知れらア、心配しんぺえせねえでもい、おふくろさまが置くも置かねえもねえ、何うしても男と女はわるさアするわけのものだ、心配しんぺえせねえでもい、どうせ聟養子むこようしをせねえばなんねえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)