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後
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しりえ
ふりがな文庫
“
後
(
しりえ
)” の例文
と、言葉少なに仰せられ、やおら
茵
(
しとね
)
からお立ちになり、蓬生の案内に従って、
後
(
しりえ
)
に八人の従者を連れ、戸野兵衛の寝室へ入られた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恰
(
あたか
)
も欧州戦前のバルカンの如く、日露戦前の
竜岩浦
(
りゅうがんぽ
)
の如く、如何なる名外交家と
雖
(
いえど
)
も
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしむる
底
(
てい
)
の難解問題となっているのであるが
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は、乱れた髪を微風に吹かせながら、馬上に
頭
(
こうべ
)
をめぐらして、
後
(
しりえ
)
にののしり騒ぐ人々の群れを、誇らかにながめやった。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
見渡す青葉、今日しとしと、窓の緑に降りかかる雨の中を、雲は
白鷺
(
しらさぎ
)
の飛ぶごとく、ちらちらと来ては山の腹を
後
(
しりえ
)
に走る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寄手
(
よせて
)
丘の下まで進みて、けふの演習をはり、例の審判も果つるほどに、われはメエルハイムと
倶
(
とも
)
に大隊長の
後
(
しりえ
)
につきて、こよひの宿へいそぎゆくに
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
仕方なしに、もう出鱈目で、「前に聳え
後
(
しりえ
)
に望む、一夫関に当れば、万夫も通さず、かくこそありけめ往時の武夫」
箱根の山
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
騎馬の上手は、
天稟
(
てんぴん
)
だった。市川大介が師範であったが、近頃は独り乗りこなして、むしろ大介を
後
(
しりえ
)
に見ていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人もし
首
(
かしら
)
たらんと思わば、すべての人の
後
(
しりえ
)
となり、すべての人の
役者
(
えきしゃ
)
となるべし。おおよそわが名のためにかかる幼児の一人を受くる者は我を受くるなり。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
吉原冠りに懐ろ手、——
何処
(
どこ
)
に
誘
(
いざな
)
う風であろうと、吹かれて行こうといったような闇太郎を
後
(
しりえ
)
に従えた、門倉平馬、土部三斎隠居屋敷、通用門の潜りを叩いて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
日本語を
善
(
よ
)
くする事邦人に異らず、
蘇山人
(
そさんじん
)
と
戯号
(
ぎごう
)
して俳句を吟じ小説をつづりては常にわれらを
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
たらしめた才人である。
故山
(
こざん
)
に
還
(
かえ
)
る時一句を残して曰く
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
疵
(
きず
)
持つ身の
忽
(
たちま
)
ち萎縮して顔色を失い、人の
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
として卑屈
慚愧
(
ざんき
)
の状を呈すること、日光に当てられたる
土鼠
(
もぐら
)
の如くなるものに比すれば、また同日の論にあらざるなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
後
(
しりえ
)
を
顧
(
ふりかえ
)
りて見れば、真白なる
猟犬
(
かりいぬ
)
の、われを噛まんと
身構
(
みがまえ
)
たるに、黄金丸も少し
焦燥
(
いら
)
つて
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
暫らくして昇も紳士の
後
(
しりえ
)
に随って出て参り、木戸口の所でまた更に小腰を
屈
(
かが
)
めて皆それぞれに
分袂
(
わかれ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
、叮嚀に
慇懃
(
いんぎん
)
に喋々しく
陳
(
の
)
べ立てて、さて別れて独り
此方
(
こちら
)
へ両三歩来て
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その時予の
後
(
しりえ
)
にあって
攩網
(
たま
)
を
何時
(
いつ
)
か手にしていた少年は機敏に
突
(
つ
)
とその魚を
撈
(
すく
)
った。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「吾、大夫の
後
(
しりえ
)
に従うをもってなり。故にあえて言わずんばあらず。」無駄とは知りつつも一応は言わねばならぬ
己
(
おのれ
)
の地位だというのである。(当時孔子は国老の
待遇
(
たいぐう
)
を受けていた。)
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
呀
(
あ
)
?
茶釜
(
ちゃがま
)
でなく、
這般
(
この
)
文福和尚
(
ぶんぶくおしょう
)
、
渋茶
(
しぶちゃ
)
にあらぬ
振舞
(
ふるまい
)
の
三十棒
(
さんじゅうぼう
)
、思わず
後
(
しりえ
)
に
瞠若
(
どうじゃく
)
として、……
唯
(
ただ
)
苦笑
(
くしょう
)
するある
而已
(
のみ
)
……
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木鹿は大きくうなずいて、例の如く
蔕鐘
(
ほぞがね
)
を打ち鳴らし黒風を呼んで、
後
(
しりえ
)
なる猛獣群を敵軍へけしかけた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すべての人の
後
(
しりえ
)
となり、すべての人の
役者
(
えきしゃ
)
となることが私どもの生活態度であるべきごとく、偉人崇拝でなく、弱者に対する憐憫が私どもの人間観でなければなりません。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
不意の救いに驚いたのであろう、
阿濃
(
あこぎ
)
はあわてて、一二
間
(
けん
)
這
(
は
)
いのいたが、老人の
後
(
しりえ
)
へ倒れたのを見ると、
神仏
(
かみほとけ
)
をおがむように、太郎の前へ手を合わせて、震えながら頭を下げた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
箱根の山は、天下の険、函谷関も物ならず、万丈の山、千仭の谷、前に聳え
後
(
しりえ
)
に支う。
箱根の山
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
われはメエルハイムとともに大隊長の
後
(
しりえ
)
につきて、こよいの宿へいそぎゆくに、
中高
(
なかだか
)
につくりし「ショッセエ」道美しく切株残れる麦畑の間をうねりて、おりおり水音の耳に入るは
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
万一のため、市の附近に、あちこち立っていた
御小人
(
おこびと
)
たちも集まると、かなりな人数になり、縄目の法師四人を、列の
後
(
しりえ
)
につれて、やがて稲葉山の城門へかくれて行った。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
がらりと閉め棄てに、明の
背
(
せな
)
へ
飛縋
(
とびすが
)
った。——
真先
(
まっさき
)
へ行燈が、坊さまの裾あたり宙を
歩行
(
ある
)
いて、血だらけだ、と云う苦虫が馬の
這身
(
はいみ
)
、竹槍が
後
(
しりえ
)
を
圧
(
おさ
)
えて、暗がりを蟹が通る。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、その息を——一息抜くまに、五郎左衛門の駒は、鮮やかに彼を追い越し、ぱっと、砂塵を
後
(
しりえ
)
に浴びせて、なお、馬場を半廻りも先まで、馬の余勢なりで跳んで行った。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小宮山は論が無い、我を忘れて
後
(
しりえ
)
に
摚
(
どう
)
と坐りました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、客殿の前まで来ると、
尾
(
つ
)
いて来た道空、丹後の二家老を、
後
(
しりえ
)
に見
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一礼をして、ずっと通り抜けると、人々の眼を
後
(
しりえ
)
に、裏門から出て行った。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ところで、もと
東京
(
とうけい
)
の
殿司
(
でんす
)
制使
楊志
(
ようし
)
が、流されて一兵卒に落され、今日も余の供として
後
(
しりえ
)
に来ておる。彼は
近衛
(
このえ
)
の一将として、武芸十八般に
秀
(
ひい
)
でた男。——彼とここにて、槍術を競べてみせい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“後(
前後
)”の解説
前後(ぜんご・まえうしろ)とは、六方位(六方)の名称の一つで、縦や奥行を指す方位の総称。この内、進む方向を前(まえ)、これと対蹠に退く方向を後(うしろ)という。
古くは「まへ」・「しりへ」とも呼ばれた。「へ」は方向を指し、「まへ」は目の方向、「しりへ」は背の方向である。
(出典:Wikipedia)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
“後”を含む語句
後退
最後
後妻
午後
背後
後日
後生
後方
其後
以後
後継
後日譚
前後
後裔
後々
向後
後見
後宮
後来
明後日
...