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屈
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こご
ふりがな文庫
“
屈
(
こご
)” の例文
右馬
(
うま
)
の
頭
(
かみ
)
の
菟原
(
うばら
)
ノ
薄男
(
すすきお
)
はとある町うらの人の住まない廃家の、はや虫のすだいている冷たい
竈
(
かまど
)
のうしろに
屈
(
こご
)
まって、
匿
(
かく
)
れて坐っていた。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お鳥を初め多くの婦人連がちよこ/\と
屈
(
こご
)
んでは歩み、歩んでは屈み、順ぐりに同じ切れをいぢつては行く樣子を傍觀してゐた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
屋根の上の
無頼漢
(
ならずもの
)
の
身体
(
からだ
)
は、
一寸
(
ちょっと
)
屈
(
こご
)
んだと思うと、ピンと跳ねて、頭の上の橋桁へサッと飛付きます。実に間髪を入れざる恐ろしい放れ
業
(
わざ
)
。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
屈
(
こご
)
んでて悪けりゃ、こう立ったらいかがなもの、ここんところをすっぽりおやんなすっちゃ」と言わぬばかりの姿勢です。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
門の外まで出て来て、『お
力
(
りき
)
い、お力い。』と体を
屈
(
こご
)
めねばならぬ程の高い声を出して友達を呼んでゐる女の子もあつた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
自分があまり手間取るんで、初さんが
屈
(
こご
)
んでこっちを
覗
(
のぞ
)
き込んでるところであった。この一間をどうして抜け出したか、今じゃ善く覚えていない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ぼとっ——と、時折、中庭の闇で青梅の
実
(
み
)
の落ちる音がする。武蔵は、一
穂
(
すい
)
の
灯
(
ひ
)
に向って
屈
(
こご
)
みこんだまま顔も上げない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一寸
(
ちょっと
)
お尻を
撫
(
な
)
でてから、髪を
壊
(
こわ
)
すまいと、低く
屈
(
こご
)
んで
徐
(
そっ
)
と門を
潜
(
くぐ
)
って出て行くが、時とすると潜る前にヒョイと
後
(
うしろ
)
を振向いて私と顔を看合せる事がある。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
真暗で足元が悪くて心細いことゝいったら! おまけに天井の針金には電流が通っていますから成るべく
屈
(
こご
)
んで歩いて下さい等と案内の男が驚かすんだもの。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「おう!」吉川が斬り込んだが、老人はさっと身を
屈
(
こご
)
めて、低い鴨居のある違い棚の方へ身を引いた。
仇討禁止令
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
町内にももう灯のかげは
疎
(
まば
)
らであった。佐兵衛は下腹をおさえながら
屈
(
こご
)
み勝ちにあるいていた。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、
本文
(
ほんもん
)
通り、
黒革縅
(
くろかわおどし
)
の
大鎧
(
おおよろい
)
、
樹蔭
(
こかげ
)
に沈んだ色ながら
鎧
(
よろい
)
の
袖
(
そで
)
は
颯爽
(
さっそう
)
として、
長刀
(
なぎなた
)
を軽くついて、少し
屈
(
こご
)
みかかった広い胸に、
兵
(
えもの
)
の
柄
(
え
)
のしなうような、智と勇とが満ちて見える。
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行くがね。しかし君のところの細君は闘球盤なんか絶対に駄目だよ。あんな
屈
(
こご
)
んで胸を
汽笛
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
姫は身を
屈
(
こご
)
めて、白玉を拾う。拾うても拾うても、玉は皆、
掌
(
たなそこ
)
に置くと、粉の如く砕けて、吹きつける風に散る。其でも、玉を拾い続ける。玉は
水隠
(
みがく
)
れて、見えぬ様になって行く。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
ランゲナウ
人
(
びと
)
は誰にも訊ねなかつたが、將軍が分かつた。彼は馬から跳び下りると、埃の雲のなかで身を
屈
(
こご
)
めた。彼は伯に手渡さなければならぬ信書を携へて來た。しかし、伯は命じた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
それからもう一度、前へ
屈
(
こご
)
みかけて、また
後退
(
あとすざ
)
りをした。にんじんは、その
頬
(
ほっ
)
ぺたをと思ったのだが、それも、だめだった。鼻の頭をやっとかすったぐらいだ。彼は、空間に接吻をした。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
おとよさんは少し
屈
(
こご
)
み加減になって両手を風呂へ入れているから、省作の顔とおとよさんの顔とは一尺四、五寸しか離れない。おとよさんは少し化粧をしたと見え、えもいわれないよい香りがする。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
一月
(
ひとつき
)
の
余
(
よ
)
も冠った
冠物
(
かぶりもの
)
が暑い夏の日に
焦
(
や
)
け、リボンも砂埃に汚れていた。お島はその冠物の肩までかかった丸い脊を
屈
(
こご
)
めて、夕暗のなかを、小野田についていて
貰
(
もら
)
って、ハンドルを
把
(
と
)
ることを学んだ。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なんだって
屈
(
こご
)
んだり、びく附いたりするのだ。11710
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
母は机の下を
覗
(
のぞ
)
き込む。西洋流の
籃製
(
かごせい
)
の
屑籠
(
くずかご
)
が、
足掛
(
あしかけ
)
の
向
(
むこう
)
に
仄
(
ほのか
)
に見える。母は
屈
(
こご
)
んで手を
伸
(
のば
)
した。
紺緞子
(
こんどんす
)
の帯が、窓からさす
明
(
あかり
)
をまともに受けた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
屈
(
こご
)
んで煙草盆の火をつけないで、火をつけるたびに煙草盆の方を鼻の先までつるし上げるのがこの男の癖と見えます。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
少し前に
屈
(
こご
)
んだ中背の、齢は二十九で、髯は殆んど生えないが、六七本許りも真黒なのが
頤
(
おとがひ
)
に生えて五分位に延びてる時は、其人相を一層険悪にした。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
棒立ちになって、そこに小首をかしげておりますと、その姿を見つけたらしく、石屋のわきの石置場を抜けて大股に急いで来た秦野屋九兵衛が、
屈
(
こご
)
み加減に、さぐり声をひそめて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逸
(
はず
)
してなるものか、というような気になって、必死になって武者震いを喰止めて、何喰わぬ顔をして、呼ばれる儘に雪江さんの部屋の前へ行くと、
屈
(
こご
)
んでいた雪江さんが、其時
勃然
(
むっくり
)
面
(
かお
)
を挙げた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
が、其の笑ひを中途で罷めて、
遺失物
(
おとしもの
)
でもしたやうに体を
屈
(
こご
)
めた。見ると
衣嚢
(
かくし
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
を出して、朝日に融けかけた路傍の草の葉の霜に濡れた靴の先を拭いてゐた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
屈
(
こご
)
んでいた小野さんはようやく
沓脱
(
くつぬぎ
)
に立った。格子が
明
(
あ
)
く。
華奢
(
きゃしゃ
)
な
体躯
(
からだ
)
が半分ばかり往来へ出る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ここで、「叱ッ、叱ッ」と小さな口で叱ってみたところで、
辟易
(
へきえき
)
する相手ならば、ここまで
狼狽
(
ろうばい
)
して逃げて来るがものはないではないか。茂太郎は下へ
屈
(
こご
)
んで、右の手で石を拾い
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は急に気が改まって、小腰を
屈
(
こご
)
めて、遠慮勝に中へ入った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と、渠は烈しい身顫ひをして、
再
(
また
)
しても身を
屈
(
こご
)
ませ乍ら、大事々々に足をつり出したが、遽かに腹が減つて来て、足の力もたど/\しい。喉からは変な水が湧いて来る。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
嫂
(
あによめ
)
は席に着いた初から寒いといって、
猫背
(
ねこぜ
)
の人のように、心持胸から上を前の方に
屈
(
こご
)
めて坐っていた。彼女のこの姿勢のうちには女らしいという以外に何の非難も加えようがなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、右側の或室から、さらでだに前
屈
(
こご
)
みの身体を一層屈まして、垢着いた首巻に頤を埋めた野村が飛び出して来た。広い玄関には洋燈の光のみ眩しく照つて、人影も無い。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
自分は、胸が水に
浸
(
ひた
)
るまで、
屈
(
こご
)
んで洞の中を
覗
(
のぞ
)
き込んだ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
十間許り前を行く松蔵の後姿は、荷が重くて
屈
(
こご
)
んでるから、大きい鞄に足がついた様だ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
屈
常用漢字
中学
部首:⼫
8画
“屈”を含む語句
前屈
屈曲
折屈
退屈
屈辱
窮屈
屈竟
理屈
鬱屈
背屈
屈指
屈託
屈托
屈強
佶屈
怠屈
佶屈聱牙
欝屈
屈伏
不屈
...