如何様いかよう)” の例文
旧字:如何樣
人々口を開けば正義といい、人道という。正義、人道は古来吾人ごじんの標置する高き理想であるが、これを如何様いかようにして実現すべきか。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
かの戦争に如何いかなる意義があったか、如何なる効果をかの戦争の犠牲に由って持ちきたしたか、戦争の名は如何様いかように美くしかったにせよ
婦人と思想 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
この様な大悪事を(彼自身如何様いかように弁護しようとも)たくらむ程の彼ですから、生れつき所謂いわゆる奸智かんちけていたのでもありましょう。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
かつまた高貴の品物にからむ愛着や慾念の表裏が如何様いかように深刻で険危なものであるということを語っている点で甚だ面白いと感ずるのみならず
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
得心の上でございませんければ、それはなんで如何様いかようともお話も致しましょうが、今が今どうも御挨拶も出来かねますことで
追々正義家の為に相用ひ申すべく喜び入り候。尊家の御事御国の御事、如何様いかようにも御所置もこれ有べき事如何いかが御座候や。
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
アンドレイ、エヒミチは院長いんちょうとしてそのしょくいたのちかかる乱脈らんみゃくたいして、はたしてこれを如何様いかよう所置しょちしたろう、敏捷てきぱき院内いんない秩序ちつじょ改革かいかくしたろうか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「なるほど——こいつは参り申した、その一千〇八年前は如何様いかようの時代でござったか、それを承りたいのでござる」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一行は赤でもなく白でもなく、親分「岩」に率いられてその胸三寸次第で如何様いかようにも突入していったのだった。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自分のこのたびの恋情が如何様いかように熾烈の度を加へるにしても、自分と女との交渉がこれまでのところあたかかみしもをつけた道学者の如く四角張つた身構えにあり
雨宮紅庵 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
理窟をいはば如何様いかようにもいはるるものにして、人の意見とか議論とかいふもの、表面はいかめしき理論や証拠やの物具もて固めをるといへども、その裏面を探れば
仏教史家に一言す (新字旧仮名) / 津田左右吉小竹主(著)
一箇条宛致合点急度きっと相守可申候、若此旨相背候はば、如何様いかよう曲事くせごとにも可仰付云々。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
同志は如何様いかようの余裕ありて、かくは豪奢ごうしゃを尽すにかあらん、ここぞ詰問きつもんの試みどころと、葉石氏に向かい今日こんにちの宴会は妾ほとほとその心を得ず、磯山氏よりの急使を受けて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
をりをりは和歌をそしる人に向ひて、さて和歌は如何様いかように改良すべきかと尋ね候へば、その人が首をふつて、いやとよ和歌は腐敗し尽したるに、いかでか改良の手だてあるべき
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
翻訳は如何様いかようにすべきものか、其の標準は人に依って、おのおの異ろうから、もとより一概に云うことは出来ぬ。されば、自分は、自分が従来やって来た方法しかたについて述べることとする。
余が翻訳の標準 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私たちが如何様いかように自分の住むの近代の都市を誇称しようとも、そして昼夜のあらゆる時を通じて其処そこに渦巻くどんな悪徳や鋭ぎ澄ました思想によつて昂奮こうふん偽瞞ぎまんされてゐようとも
水に沈むロメオとユリヤ (新字旧仮名) / 神西清(著)
しかる上は拙老よりとくと本人へ申聴かせ何卒なにとぞして料簡を入替えさせたく、万一改俊かいしゅん不致候わば如何様いかようにも成敗可仕つかまつるべく、もし又本人に於て向後を屹度きっと相慎しみ候節は、幾重にも御勘弁願上候。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
負ふべきむね明記しあれば既に御承知のはずなりと手強てごわく申出で容易に譲らざる模様なればわれはこの喧嘩相手甚よろしからずと思ひそのまま打捨て如何様いかよう申来もうしきたるも一切返事せざりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
如何様いかような人物かと申しますと、若い折は露西亜人を装いまして彼得堡ペトログラードに入り込み、明石あかし大佐の配下に属してウラジミル大公の召使に住み込み、軍事探偵の仕事を致しておりました者で
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし少しにても経済的のことならば改むるにはばからずそれらは御考にて如何様いかようとも可被成なさるべく候。ただ隔月刊行の事は小生絶対的反対に有之候。隔月にするようならば廃刊のまさるにかずと存候。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
独立敢て新事例を開く私のかんがえは塾に少年を集めて原書を読ませるばかりが目的ではない。如何様いかようにもしてこの鎖国の日本をひらいて西洋流の文明に導き、富国強兵もって世界中におくれを取らぬようにしたい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
知らず、休戦の尽くる明朝は、如何様いかように吾等の上に明け来たるや。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
其の方如何様いかように陳じても天命はのがれ難い事で有る、其の方は監物の妾むらと申す者と密通致し、村の腹へ宿したる鐵之丞を家督に直さんが為に
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかして、これを率いるものは、の倨傲自らるカイゼル、ウィルヘルム二世である。欧州大戦は如何様いかように終結すべきか。
列強環視の中心に在る日本 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
如何様いかようにして斬られ、いかようなきずが致命傷になっているか、ということを知りたい心に駆られたものでしたが、見るとこの男の致命傷というのは、たった一カ所で
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
勿論駄夫はその事を知つてゐたが、それが如何様いかような手紙であり、又、その消息をとりまいて、この侘びしい竹藪の家ではどんな評定が開かれたかも彼は知らずに過してゐた。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
如何様いかように陳じてものがれん処であるぞ、兎や角陳ずると厳しい処の責めにわんければならんぞ、よく考えて、とてのがれん道と心得て有体ありていに申せ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しからば、この中心が憲法を実施されて後に如何様いかように変ったか。我輩の予期するところでは、もはや長く続くべきでない。今より大変化が来るべきであるとした。
如何様いかよう手並てなみを彼が現わすかということが玄人くろうと仲間の研究物けんきゅうものであったということと、もう一つは、机竜之助は甲源一刀流から出でて別に一派を開かんとする野心がある
兵馬は、実に、これだけのきり手を、如何様いかように想像し、如何様に判断すべきかに苦しみました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と長二は此の先婆さんが如何様いかようのことを云出すやも分らず、次第によってはまことの両親の身の上、又は自分の恥になることを襖越しの相客などに聞かれては不都合と思いましたから
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
如何様いかような立派な家にも必ず雪隠せっちんがあると同じように、何処の国でも蓋を開けてみれば幾らかは臭いところがあるが、それを日本人は正直に台所の隅々までほじる癖があるのは、却っていけぬ。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
「そのお人と申すのは、如何様いかようの人にござりしや、少々思い当ることもあれば」
しかしながら世界の全人類の中に資本家階級に属する者と、しからざる下層民の階級に属する者との数の比較は如何様いかようになるか。言うまでも無く前者は少数であって、後者は極めて多数である。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
それは先方へ話して金高が分りさえすれば何うにでも成る此処こゝを通り掛ってお助け申した以上は…何さそれは多分でも有るまいから、此処においでになる大夫たいふ如何様いかようとも致して進ぜられる
文「恐入ります、言訳にならぬは承知の上、如何様いかようとも御処分を願います」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あたかも日本にも今一大疑獄が起り醜穢しゅうかい耳目じもくおおわしむるものがあるが、支那はこれが昔からで、他人がそのために如何どうなろうとも、国家がそのために如何様いかような運命に陥ろうとも関知せぬのだ。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
如何様いかように人心が動揺し出したかという径路から略叙しなければならぬ。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)