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好奇
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ものずき
ふりがな文庫
“
好奇
(
ものずき
)” の例文
爾
(
そ
)
して此箱も
私
(
わし
)
が
好奇
(
ものずき
)
の玉村侯爵の申込により、あの淋しい森林中に置いて、和女等三人の内、誰が一番勇ましいかを試したもの
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
縮緬
(
ちりめん
)
の
小片
(
こぎれ
)
で叔母が
好奇
(
ものずき
)
に拵えた、
蕃椒
(
とうがらし
)
ほどの大きさの比翼の枕などがあった。それを見ても叔母の
手頭
(
てさき
)
の器用なことが解った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
或いはそれに
辵
(
しんにゅう
)
をかけた程度のものが集まっていると見れば差支えないが、さりとて、相当堅気のものも
好奇
(
ものずき
)
で寄って来ている。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「どんなものか、一つ其の
妖怪
(
ばけもの
)
に逢ってみたいものじゃないかと」、権八は云いだした。平太郎も
好奇
(
ものずき
)
らしい
眼
(
まなこ
)
を輝かした。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
塀の外は町内の野次が一パイ、無遠慮なのは庭先まで入つて來て、死體はもう取りおろしたのに、未練らしく
好奇
(
ものずき
)
の眼を輝かして居るのです。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
一隅
(
かたすみ
)
には行き倒れや乞食の死んだのを埋葬したところもあった。清三は時には
好奇
(
ものずき
)
に碑の文などを読んでみることがある。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「これが
好奇
(
ものずき
)
というのでしょう、後をつけたのでございますよ、人殺しをした侍が、どこへ落ち着くかと思いましてね」
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尾鰭
(
をひれ
)
を付けて人は物を言ふのが常、まして種牛の為に傷けられたといふ事実は、
些少
(
すくな
)
からず
好奇
(
ものずき
)
な手合の心を驚かして、
到
(
いた
)
る処に茶話の種となる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
好奇
(
ものずき
)
な
統計家
(
とうけいか
)
が
概算
(
がいさん
)
に依れば
小遣帳
(
こづかいちやう
)
に
元禄
(
げんろく
)
を
拈
(
ひね
)
る
通人迄
(
つうじんまで
)
算入
(
さんにう
)
して
凡
(
およ
)
そ
一町内
(
いつちやうない
)
に百「ダース」を
下
(
くだ
)
る事あるまじといふ。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「いや、
好奇
(
ものずき
)
から、かように下らぬ
服装
(
なり
)
をしておるため、何かは知らぬが、あらぬ
嫌疑
(
けんぎ
)
をこうむり、えらい人さわがせを致したな。まま許せ、許せ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼女は彼があまりに
好奇
(
ものずき
)
だと言った。そしてただ、自分がその話の女主人公ではないということだけを打ち明けた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
おまけにこっちは、応援の青年団やら
好奇
(
ものずき
)
な
弥次馬
(
やじうま
)
やらでやたらに人数が多いから、ざわめくばかりでも先はいちはやく物音を聞きつけて逃げてしまう。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
かくして海港においては、それらの戦いと航海との驚くべき機械のまわりに、自らなぜかをもよく知らないで多くの
好奇
(
ものずき
)
な人々が集まって来るのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
何も
好奇
(
ものずき
)
で注意人物を使用するにもあたらん、と、こういうようなわけで、ハハハハ、尤もなことを云うよ。
罠を跳び越える女
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
見學の人達は
好奇
(
ものずき
)
な眼をあげて彼れの顏に表はれる感情を竊かに讀まうとした。彼れの
隻眼
(
かため
)
は、いつものやうに鋭く輝く外には、容易に
自餘
(
ほか
)
の意味を語らなかつた。
実験室
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
ウィインでは大型輸送自動車の
陸軍飯場
(
キャンティン
)
が街上に出張して、通行人と
好奇
(
ものずき
)
な外国人の旅行者に羊の脂肪肉と
麺麭
(
パン
)
屑と上官の命令とを煮込んだ熱湯汁を無料分配していた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それを、貴方は何故そう
好奇
(
ものずき
)
の眼を
睜
(
みは
)
って、新しい悲劇を待っておられるのでしょう?
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
こはかかる有様を見せしめなば妾の所感
如何
(
いかが
)
あらんとて、磯山が
好奇
(
ものずき
)
にも
特
(
こと
)
に妾を呼びしなりしに、妾の怒り思いの
外
(
ほか
)
なりしかば、同志はいうも
更
(
さら
)
なり、
絃妓
(
げんぎ
)
らまでも、
衷心
(
ちゅうしん
)
大いに
愧
(
は
)
ずる所あり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
不具者を愛する
好奇
(
ものずき
)
な女なぞが、所詮、この世のどこに住んでいようものぞ! いわんや女との交際には、昔のフロールとの世界に学芸会があったように、舞踏と社交との及び難き二つの世界がある。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一草亭は
好奇
(
ものずき
)
の目を光らせた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
神尾主膳は遠くから、皮肉のような
好奇
(
ものずき
)
のような眼をかがやかして、その美しい女房の現われた桟敷に
篤
(
とく
)
と目を注ぎました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我輩は
好奇
(
ものずき
)
の人間なので、こういう蔦吉といったような、やくざな芸人には
知己
(
しりあい
)
があり、手なずけることも出来たのさ。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
玉村侯爵とは松浪伯爵の兄君で、三人の娘には
伯父君
(
おじぎみ
)
に当って
居
(
お
)
る、余程面白い人で、時々いろいろ
好奇
(
ものずき
)
な事をする。
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
老人はこんなことを言いながらやっとこさと腰をあげ、すこし
頽
(
くず
)
れて時おり隣の灯の漏れてくる壁の処へ行って顔をぴったりつけて
好奇
(
ものずき
)
に覗いて見た。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
型の小さい安いオルガンで、音もそうたいしてよくはなかったが、みずから
好奇
(
ものずき
)
に歌などを作って、
覚束
(
おぼつか
)
ない音楽の知識で、譜を合わせてみたりなんかする。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ホテル・アムステルダムの十四号室に
昨夜
(
ゆうべ
)
誰か泊って、しかもその
好奇
(
ものずき
)
な人間は朝になってもまだ生きている、という愕くべき報知は、瞬くうちに近処に拡がって
ロウモン街の自殺ホテル
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その
好奇
(
ものずき
)
さ加減も、気が知れねえ……と、打てばひびくというところから、
鼓
(
つづみ
)
の名ある駒形の
兄
(
あに
)
い与吉、ひとり物思いにふけりながら、ブラリ、ブラリやってくる。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
(
好奇
(
ものずき
)
な彼女は、後が手紙を書いてる間に、その肩越しに読んでしまっていたのである。)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
五時間目には、国語の教科書の外に、
予
(
かね
)
て生徒から預つて置いた習字の清書、作文の帳面、そんなものを一緒に持つて教室へ入つたので、其と見た
好奇
(
ものずき
)
な少年はもう眼を円くする。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その翌日、
好奇
(
ものずき
)
な人々は民約議会員
G
(
ゼー
)
氏のことについて彼と話そうとした。が彼はただ天を
指
(
さ
)
すのみであった。その時いらい、彼は小児や苦しめる者に対する温情と友愛とを倍加した。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
これまでちょいちょい人に貸したりなどしている部屋を、この夫婦のために長く
塞
(
ふさ
)
げておくのも惜しかった。細君が
主
(
あるじ
)
の
好奇
(
ものずき
)
を喜ばない気振りが、お庄には見えすくように思えて来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
また信書を
認
(
したた
)
むる時などには、若き看守の
好奇
(
ものずき
)
にも監督を名として監房に来りては、
楽書
(
らくがき
)
などして、妾の赤面するを面白がり、なお本気の
沙汰
(
さた
)
とも覚えぬ振舞に渡りて、妾を
弄
(
もてあそ
)
ばんとするものもあり
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
好奇
(
ものずき
)
なのは、美しい順に、十七娘を數へました。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
或る
好奇
(
ものずき
)
なお大名が、相馬の古御所もどきの趣向をして、医者を誘拐して来て
弄
(
もてあそ
)
んだというようなこともないではない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何も
好奇
(
ものずき
)
、屋敷の様子を、こっそり探ってみてやろう。うまく賭博場でも目つかったら、とんだ面白いことになる」
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
伜を
伴
(
つ
)
れて往かれましたのを、この岩本さんが、
好奇
(
ものずき
)
につけて来て、裏門からたしかに入るのを見たと申しますから
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
アフリカ西岸に古代の文明を集めたる瑠璃岸国のある
好奇
(
ものずき
)
なる国王が、世界を経めぐらんとの望みを起して一大巨船を造り、百人の勇士と百人の美人と
南極の怪事
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
好奇
(
ものずき
)
半分に余計なこころを動かしたばっかりに、ああして飛んでもないことになって終う。
斧を持った夫人の像
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
気の弱い柔和な
好奇
(
ものずき
)
な彼は、優雅は欠けていないが堅固さが欠けてるその世界を、楽しげに観察してみた。そしてしだいにその色に染められてることにはみずから気づかなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
通行の旅人の中の屈強で
好奇
(
ものずき
)
なのが、うしろから駕籠かきを押したり、時には、駕籠舁きが息を入れるあいだ、代わってかついで走ったり……こんなことはなかったなどと言いっこなし
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
好奇
(
ものずき
)
なのは、美しい順に、十七娘を数えました。
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
さるお金持の
好奇
(
ものずき
)
なお医者さんが来て、この関ヶ原にあんぽつを
駐
(
とど
)
め、道中の雲助の
溢
(
あぶ
)
れをすっかり
掻
(
か
)
き集め、それにこのあたりの人夫をかり出して
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
許宣は心当りはなかったが、
好奇
(
ものずき
)
に門口へ出てみた。門口には
彼
(
か
)
の白娘子と青い上衣を着た
小婢
(
じょちゅう
)
が立っていた。許宣は驚きと
怒
(
いかり
)
がいっしょになって出た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
源氏となって益々衰えただ実朝がその
好奇
(
ものずき
)
から京師の風俗を取り入れた時、一緒に造顔師も呼び迎えたが、その実朝は
夭折
(
ようせつ
)
し、造顔師はほとんど途方に迷い
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此林中には立木と草のあるばかり、流星が
此処
(
ここ
)
で消えたとて何んの不思議な物が落ちて居るものか、
好奇
(
ものずき
)
に
此様
(
こん
)
な気味の悪い森林に入るよりは
此儘
(
このまま
)
此処から家に帰り
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
五月末ごろから江戸中を
脅
(
おびや
)
かしているこの一円の神隠し騒ぎ、腕自慢の目明しや
好奇
(
ものずき
)
半分の若い衆が夜を日に継いでの
穿鑿
(
せんさく
)
も絶って効ないばかりか、引き続いて
浚
(
さら
)
われる者が後を絶たないので
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
許宣は心当りはなかったが、
好奇
(
ものずき
)
に門口へ出てみた。門口にはかの白娘子と青い上衣を着た小婢が立っていた。許宣は驚きと怒りがいっしょになって出た。
雷峯塔物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ようやくこのごろ、人の臭いがするようになったらしいが、土地柄だけに、それほどに新たに移って来た主人の
好奇
(
ものずき
)
を注意してみようという者もありません。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてそのまま旅人はその土地へ留まろうと決心し、壊れていた牧師館を修繕し、其処に住んだのでございます……その
好奇
(
ものずき
)
の旅人というのは実は私でございます
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寧
(
むし
)
ろ
好奇
(
ものずき
)
ではあるが
暗夜
(
あんや
)
の
甲板
(
かんぱん
)
に
出
(
い
)
でゝ、
暫時
(
しばし
)
新鮮
(
しんせん
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれんと
私
(
わたくし
)
は
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
で
後部甲板
(
こうぶかんぱん
)
に
出
(
で
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
奇
常用漢字
中学
部首:⼤
8画
“好奇”で始まる語句
好奇心
好奇家
好奇気
好奇的
好奇獣
好奇者
好奇心が猫を殺した