夫婦めをと)” の例文
芸人といふものは、罪のないもので、夫婦めをと喧嘩をしたり、批評家とか蜂とかにされたりすると、直ぐに師匠のとこに駈けつけようとする。
夫れは何ういふ子細でと父も母も詰寄つて問かゝるに今までは默つて居ましたれど私の家の夫婦めをとさし向ひを半日見て下さつたら大底御解りに成ませう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ほんの今日だけのことであるけれども、それでも夫婦めをとにでもなつたやうな喜悦を時子もBも感じた。
アンナ、パブロオナ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
十吉 (迷惑する。)お前とわしとは、表向きの祝言こそせぬけれど、兩方の親たちも承知の上で、末は夫婦めをとときまつてゐる仲だ。なんでほかの嫁などを貰ふものか。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
子の慈愛いつくしみ、老いたる父の敬ひ、またはペネローペを喜ばしうべかりし夫婦めをとの愛すら 九四—九六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
宿智にやあらん其言ふところ自ら道に協へる節あり、父上既に世を逃れ玉ひぬ、おのれも御後に従はんとこそ思へ、世に百歳もゝとせ夫婦めをとも無し、なにぞ一期の恩愛を説かん、たとひ思ふこと叶ひ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まへこゝろ虚僞いつはりがなく、まこと夫婦めをとにならうなら、明日あす才覺さいかくして使者つかひをばげませうほどに、何日いつ何處どこしきぐるといふ返辭へんじをしてくだされ、すれば、一しゃう運命うんめいをばおまへ足下あしもと抛出なげだして
いちにんの童子は童女と草つみて夫婦めをとごつこをするがかなしき
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
人間のこれの夫婦めをとはいと寂し人まぜもせず畑うちかへす
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それはどういふ子細でと父も母も詰寄つて問かかるに今までは黙つてゐましたれど私のうち夫婦めをとさし向ひを半日見て下さつたら大底が御解りに成ませう
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫婦めをと喧嘩か。でも、そんな傷をうつちやつとくわけにはゆくまいて。」
人間のこれの夫婦めをとはいと寂したんだだまつて畑うちかへす
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
れはういふ子細しさいでとちゝはゝ詰寄つめよつてとひかゝるにいままではだまつてましたれどわたしうち夫婦めをとさしむかひを半日はんにちくださつたら大底たいてい御解おわかりになりませう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人間のこれの夫婦めをとはいと寂し時に尻向け畑うちかへす
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すなはち新らしき一対の夫婦めをと出来あがりて、やがては父とも言はるべき身なり、諸縁これより引かれて断ちがたきほだし次第にふゆれば、一人一箇の野沢桂次ならず
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人立ひとだちおびただしき夫婦めをとあらそひの軒先のきさきなどを過ぐるとも、ただ我れのみは広野ひろのの原の冬枯れを行くやうに、心に止まる物もなく、気にかかる景色にも覚えぬは
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
物言ものいへばやがあらそひの糸口いとくち引出ひきいだし、いてうらんでれ/\のなかに、さりともくからぬ夫婦めをとおりふしのこなしわすれがたく、貴郎あなたうなされ、あなされとへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ことなく高砂たかさごをうたひおさむれば、すなはあたらしき一つい夫婦めをと出來できあがりて、やがてはちゝともはるべきなり、諸縁しよゑんこれよりかれてちがたきほだし次第しだいにふゆれば、一にん野澤桂次のざわけいじならず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひとこゑは、ひとこゑかんがへはかんがへと別々べつ/\りて、さら何事なにごとにものまぎれるものなく、人立ひとだちおびたゞしき夫婦めをとあらそひの軒先のきさきなどをぐるとも、たゞれのみは廣野ひろのはら冬枯ふゆがれをくやうに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)