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大盡
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だいじん
然うですね、
年少な
田舍の
大盡が、
相場に
掛つて
失敗でもしたか、
婦に
引掛つて
酷く
費消過ぎた……とでも
云ふのかと
見える
樣子です。
密に
招き吉之助は
古河一番の
大盡の
息子にて江戸の
店へ
遊藝稽古の爲に參られ此處へは始めての事なれば
隨分宜敷計らひ
呉よ此後も度々
連參らんと内證を
飛鳥もあとを
濁ごすなに候へば、
大藤の
大盡が
息子と
聞きしに
野澤の
桂次は
了簡の
清くない
奴、
何處やらの
割前を
人に
背負せて
逃げをつたなど
〻斯ふいふ
噂があと/\に
殘らぬやう
妻の
皓體が
氣懸りさに、
大盡ましぐらに
奧の
室へ
駈込むと、
漸と
颯と
赤く
成つて、
扱帶を
捲いて
居る
處。
物狂はしく
取つて
返せば、
畫師も
其の
畫も
何處へやら。
尋ねければ
口惡善なき下女の
習慣那こそ近在の
大盡の
娘御なるが江戸のさる
大店へ
嫁入なされしが
聟樣を
容貌のわるい
妻を
持つぐらゐ
我慢もなる
筈、
水呑みの
小作が
子として一
足飛のお
大盡なればと、やがては
實家をさへ
洗はれて、
人の
口さがなし
伯父伯母一つになつて
嘲るやうな
口調を
知らねば
疑はるゝも
道理なりいで
其譯は斯々なり宵に御身たちが
出行し跡へ年の頃廿歳
許の
容顏麗しき若者來れり
何れにも九
州邊の
大盡の
子息ならずば
大家に
仕はるゝ者なるべし此大雪に
道を
目鼻だちの
何處やらが
水子にて
亡せたる
總領によく
似たりとて、
今はなき
人なる
地主の
内儀に
可愛がられ、はじめはお
大盡の
旦那と
尊びし
人を、
父上と
呼ぶやうに
成りしは
其身の
幸福なれども