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おおなみ
ふりがな文庫
“
大浪
(
おおなみ
)” の例文
温泉場
(
ゆば
)
の
御那美
(
おなみ
)
さんが
昨日
(
きのう
)
冗談
(
じょうだん
)
に云った言葉が、うねりを打って、記憶のうちに寄せてくる。心は
大浪
(
おおなみ
)
にのる一枚の
板子
(
いたご
)
のように揺れる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大きな
椰子
(
やし
)
や、
橄欖
(
かんらん
)
や、ゴムの樹の植木鉢の間に、長椅子だのマットだの、クッションだの毛皮だのが
大浪
(
おおなみ
)
のように重なり合っている間を
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「なんという
自然
(
しぜん
)
の
怖
(
おそ
)
ろしさを
知
(
し
)
らぬばかじゃ。
大浪
(
おおなみ
)
よ、ちょいと
一
(
ひと
)
のみにしてしまえ。」と、
男神
(
おがみ
)
は、いいました。
海の踊り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
白帆が二つ
三
(
みっ
)
つその
麓
(
ふもと
)
と思われるところに見えました。じっと見つめていると、そこから
大風
(
おおかぜ
)
が吹き起り、山のような
大浪
(
おおなみ
)
が押し寄せて来そうな気がしました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
円福寺の方丈の書院の床の間には
光琳
(
こうりん
)
風の
大浪
(
おおなみ
)
、四壁の
欄間
(
らんま
)
には林間の
羅漢
(
らかん
)
の百態が描かれている。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
そのたいそうな大船に押しまくられた
大浪
(
おおなみ
)
が、しまいには大きな、すさまじい
大海嘯
(
おおつなみ
)
となって、これから皇后がご征伐になろうとする、今の
朝鮮
(
ちょうせん
)
の一部分の
新羅
(
しらぎ
)
の国へ
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
と、
千鳥
(
ちどり
)
を追いたつ
大浪
(
おおなみ
)
のように、逃げるに乗って、とうとう、
裾野
(
すその
)
の
平
(
たいら
)
までくりだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風も
亦
(
また
)
吹き
募
(
つの
)
って来た。天から降る雪と地に敷く雪とが一つになって、
真白
(
まっしろ
)
な
大浪
(
おおなみ
)
小波
(
こなみ
)
が到る処に渦を巻いて狂った。
其
(
そ
)
の凄じい
吹雪
(
ふぶき
)
の中を、お葉は傘も
挿
(
さ
)
さずに夢中で駈けた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大浪
(
おおなみ
)
、いかずち、白滝、
青鮫
(
あおざめ
)
など、いずれも一癖ありげな名前をつけて、里の牛飼、
山家
(
やまが
)
の
柴男
(
しばおとこ
)
、または
上方
(
かみがた
)
から落ちて来た本職の角力取りなど、
四十八手
(
しじゅうはって
)
に皮をすりむき骨を砕き
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
アンドレイ、エヒミチはアッと
云
(
い
)
ったまま、
緑色
(
みどりいろ
)
の
大浪
(
おおなみ
)
が
頭
(
あたま
)
から
打被
(
うちかぶ
)
さったように
感
(
かん
)
じて、
寐台
(
ねだい
)
の
上
(
うえ
)
に
引
(
ひ
)
いて
行
(
ゆ
)
かれたような
心地
(
ここち
)
。
口
(
くち
)
の
中
(
うち
)
には
塩気
(
しおけ
)
を
覚
(
おぼ
)
えた、
大方
(
おおかた
)
歯
(
は
)
からの
出血
(
しゅっけつ
)
であろう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そのリズムは
大浪
(
おおなみ
)
のうねりのように
澎湃
(
ほうはい
)
として
捲
(
ま
)
き起って来るような力をもっていた。何かしら自分もその波の上に乗ってどこか広々としたところにつれて行かれるような気に私は襲われた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
その声につれて
弾
(
だん
)
ずるびわの音は、また
縦横
(
じゅうおう
)
につき進む
軍船
(
ぐんせん
)
の音、
矢
(
や
)
のとびかうひびき、
甲胄
(
かっちゅう
)
の音、つるぎの
鳴
(
な
)
り、
軍勢
(
ぐんぜい
)
のわめき声、
大浪
(
おおなみ
)
のうなり、
壇
(
だん
)
ノ
浦
(
うら
)
合戦
(
かっせん
)
そのままのありさまをあらわしました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
其の
間
(
あわい
)
遠ざかるほど、
人数
(
にんず
)
を
増
(
ま
)
して、次第に百騎、三百騎、
果
(
はて
)
は空吹く風にも聞え、沖を
大浪
(
おおなみ
)
の渡るにも
紛
(
まご
)
うて、ど、ど、ど、ど、どツと
野末
(
のずえ
)
へ引いて、やがて山々へ、
木精
(
こだま
)
に響いたと思ふと
止
(
や
)
んだ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
大浪
(
おおなみ
)
がくるたびに、
方船
(
はこぶね
)
は、
顛覆
(
てんぷく
)
しそうになる。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
大浪
(
おおなみ
)
小浪に ゆれながら
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「そんなことは覚えていないけれど、恐ろしい
大浪
(
おおなみ
)
が立って、浜の
石垣
(
いしがき
)
がみんな
壊
(
こわ
)
れてしもうた。」
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
そうして
大浪
(
おおなみ
)
を打つ患者の白いタオル寝巻の胸に、ムクムクムクと散り拡がって行く血の色を楽しむかのように、紅友禅の長襦袢の袖を、左手でだんだん高くまくり上げて、白い
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、心は
矢竹
(
やたけ
)
に
遄
(
はや
)
っても
彼女
(
かれ
)
は
矢
(
や
)
はり女である。
村境
(
むらざかい
)
まで来る
中
(
うち
)
に、遂に重太郎の姿を見失ったのみか、我も
大浪
(
おおなみ
)
のような
雪風
(
ゆきかぜ
)
に吹き
遣
(
や
)
られて、
唯
(
と
)
ある
茅葺
(
かやぶき
)
屋根の軒下に
蹉
(
つまず
)
き倒れた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「それ! 若殿につづけ。」とお供の者たちに
烈
(
はげ
)
しく下知した。いずれも屈強の供の武士三十人、なんの
躊躇
(
ちゅうちょ
)
も無くつぎつぎと駒を濁流に乗り入れ、
大浪
(
おおなみ
)
をわけて若殿のあとを追った。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
(ほう、これは
大浪
(
おおなみ
)
だ。
凡
(
ただ
)
の
暴風
(
しけ
)
ではないぞ)
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
浪
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
“大”で始まる語句
大
大人
大事
大袈裟
大分
大切
大抵
大概
大方
大丈夫