)” の例文
今竜が見え次第大声でその竜肉をいたいと連呼よびつづけよと耳語ささやいて出で、竜を呼び込むと右の通りで竜大いに周章あわて、袋を落し逃れた。
……勅令……内務省令、くそらえだ。いよいよ団結を固くして、益々大資本を集中しつつ、全国的に鋭敏な爆薬取引網を作って行く。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「げえっ、沂嶺を越えて来たって。それじゃあ、い殺されねえ方が不思議なくらいだ。沂嶺の虎といったら、泣く子も黙るによ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
板橋はんきょう三娘女さんろうじょという宿屋をしている老婆があって、それが旅人に怪しい蕎麦そばもちわして、旅人をろばにして金をもうけていたところで
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ふたりともに顔や身体の内を何かにい取られて、手足やあばらの骨があらわれて、実にふた目とは見られないむごたらしい姿になっていたそうです。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
憎い憎い女……肉をらって八つ裂きにしても飽き足りぬ! しかしこの世における最も美しき悩ましきもの!
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
立所たちどころかげくらふ、はるれば、それまでぢや、生命いのちにもおよびかねぬ。かならさかとほらるゝな……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
僕は可哀想な人喰鬼だ、僕は八千代をって生きている。八千代には良いパトロンがあったんだ、それを僕が横から奪い取った。僕たちは愛を金で売りたくないと思ったからだ。
溜息の部屋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれに言わせると、自分は今までに九人の僧侶そうりょった罰で、それら九人の骸顱しゃれこうべが自分のくび周囲まわりについて離れないのだそうだが、他の妖怪ばけものらには誰にもそんな骸顱しゃれこうべは見えなかった。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
わけをたずねると、舅と所夫おっとを虎にい殺された上、今度はまた子供まで啖い殺されたのだという。わしは、その婦人に、ではなぜこんな恐ろしい山の中に住んでいるのかと訊ねて見た。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
立雲たちぐもしくかがやく日のさなか蟷螂かまきりが番ひめすをす
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
獲物えものつたる年寄さながら驚いて
ギリシアのジオメデス王、その馬に人肉を飼ったが、ヘラクレス奮闘して王を殺し、そのしかばねを馬にわしむると温柔おとなしくなったという。
其のうちに怪物の巣へ伴れて往かれて頭からわれるに違いないと思いました。そう思うと恐ろしくて生きた心地が致しません。
人蔘の精 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何かしら俺を脅迫しに来やがったんだな……と直感しましたので直ぐに……くそでもらえ……という覚悟を腹の中で決めてしまいました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お……。ここはふもとの降り道か。じつアな土地ところの衆、ゆうべ沂嶺きれいの上で、連れていたおらの大事なおふくろを、虎にい殺されてしまってさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しょせんは三井寺の僧徒を煽動して叡山に敵対させ、かれらを執念くい合わせて、仏法の乱れ、あわせて王法の乱れを惹き起こす巧みであろう。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そういった趣で、う事は、豆大福から、すしだ、蕎麦そばだ。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
立雲たちぐもしくかがやく日のさなか蟷螂かまきりが番ひめすをす
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
曰くインドで狼が人子を乳した例ウーズ州に最も多い、しかしてこの州がインド中で最も狼害の多い所でまず平均年々百人は狼にわる。
「いや、これは轆轤首と申す妖怪ばけものの首でござる。これへついておるのは、妖怪の方から勝手にいついたまでで、拙僧の知ったことではござらぬ」
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なるほど、お作はあんな女ですから、そこへ眼をつけるのも無理はありませんが、刃物で突くとか斬るとかいうなら格別、い殺すのがどうもおかしい。
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
い殺しても上げたいほど女心では憎くてならなかったのである。彼女は三十路みそじをすこし越えた自分の容色と肉体に負けじたましいをふるいおこしていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾輩は思わず犬を放り出して羽振学士の横面よこつらを力一パイらわせた。和製バレンチノが一尺ばかり飛上って、傍の猫の籠の上にブッ倒れて、そのままグッタリと伸びてしまった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
明笛みんてき竹紙ちくしすらだに舌ねぶる鼠なりきやひやぶりける
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
差配が立処たちどころたなだてをわせよう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さてはわが子はこの犬にわれたと無明の業火直上三千丈、刀を抜いてやにわに犬を切り捨てた。ところが揺籃の後ろに児の啼き声がする。
郭は珍しいさかなを献上するといって、鹿のほじしを出すふりをして、その手を斬り落し、翌日血の痕をつけて往くと、大きないのししであったから殺してった。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
答「いや、何よりは足利自体の内訌ないこうです。股肱ここうの臣と臣とがいがみあい、骨肉の弟御おととご異母子いぼしまでが、みな主体にそむいてわが身をわが歯でいはじめました」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年は三十七八で、若いときに甲州の山奥で熊と闘ってい切られたというので、左の耳が無かったそうです。
半七捕物帳:18 槍突き (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とタンカを切ってやったら牛太の奴吾輩の襟首をつかんでギューギューと小突きまわした。ついで拳固げんこを固めて吾輩の横面よこつらを一つ鼻血の出る程らわしたから、トタンに堪忍袋の緒が切れてしまった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
雲海の荘厳をしも我が飛びていつ果つるなし心
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人をう鬼の口に髣髴ほうふつする。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すなわち猫が鼠を捉えて直ちにわず、手鞠てまりにして抛げたりまた虚眠して鼠その暇を伺い逃げ出すを片手で面白そうに掴んだりするがごとし。
そろそろの坊主をいたいものだな、彼奴あいつめ、わしの言葉を真に受けやがって、頼みもせぬ経をはじめおった。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
家のお絹さんは熊にわれようとするところを、ここの勘蔵さんに助けられたと……。奉公人もみんな知っているくらいですから、主人が知らない筈はありません。
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
女は夢中で女自身の津液しんえきをふくんだ男の口を奪い、刹那、狂奮して顔を烈しくふるわせた。むしゃぶりらう勢いで如海の舌のその奥の根元までを痛いほど吸った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気に入らないと俺の咽喉笛のどぶえでも何でもい切りかねないので、毎日毎日俺に手向い出来ない事を知らせるつもりで、思い切りタタキ散らしてやるんだが、実は恐ろしくて恐ろしくて仕様がないから
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
遂にスペイン人につぐなわれて城に帰った、それはかったが全体この女性質慓悍で上長の人の命にしたがわぬから遂に野獣にわす刑に処せられた
四つの首はまたたく間に地上へ落ちたが、主人の首だけは落ちずに、いつまでも怪量に飛びかかっていたが、やがて隙を見つけたのか怪量の衣の袖へいついた。
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かれが人を害せんとする時は、山の上からくるくると廻転しながら落ちて来て、往来の人を噛むのである。そうして、人の腋の下をい破ってその穴から生血を吸う。
大きな拳骨で私の頭をゴツウ——ンと一つらわせました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その辺の大都フェスの諺に口ばかり剛情な怯者をののしって汝はアグラの獅ほど勇なりこうしにさえ尾をわるべしというとある。
烏龍はその肉をわないで、眼を据え、くちびるをねぶりながら、仇の僕を睨みつめているのである。
張は俺は怪物には殺されずに此の虎にわれるのだと思いました。
人蔘の精 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と一本らわしてやったら親仁が禿頭はげあたまを掻いた。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ケープ、カフィル人は魚を蛇に似るとてわずと(バートンの『東亜非利加初行記ファースト・フートステプス・イン・イースト・アフリカ』第五章)。
しかし彼女は何者にか喉をい破られていて、とてもその魂を呼びかえすすべはなかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「何か食物たべものいあわせではございますまいか」
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ずいぶん非道くい付いたもんだね」
呑仙士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)