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わがみ
ふりがな文庫
“
吾身
(
わがみ
)” の例文
物の
理窟
(
りくつ
)
のよく分かる所に
聚
(
あつ
)
まると
早合点
(
はやがてん
)
して、この
年月
(
としつき
)
を今度こそ、今度こそ、と経験の足らぬ
吾身
(
わがみ
)
に、待ち受けたのは
生涯
(
しょうがい
)
の誤りである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
事のおきてに
違
(
たが
)
ふとて、せめらるゝ事の苦しきも、
過世
(
すぐせ
)
のつみの滅びんと、思ふ心に忍べりと、聞ける
吾身
(
わがみ
)
のいかにして、忍ばるべしや忍ばれん
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
愛に因って醜を知らずの句は、知己の恩に感じて
吾身
(
わがみ
)
を世に
徇
(
とな
)
うるを言えるもの、
亦
(
また
)
善
(
よ
)
く
標置
(
ひょうち
)
すというべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かく成り果てし
吾身
(
わがみ
)
をいとしと思ひ給はぬにか。御身の
思召
(
おぼしめし
)
一つにて、わらはの思ひ定むる道も変りなむ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
髯
(
ひげ
)
を
剃
(
する
)
んではない、
吾身
(
わがみ
)
を
卑
(
いや
)
しめるんだ、
然
(
さ
)
うすると
先方
(
むかう
)
では
惚込
(
ほれこ
)
んだと思ふから、お
引取
(
ひきとり
)
値段
(
ねだん
)
をと
来
(
く
)
る、
其時
(
そのとき
)
買冠
(
かひかぶ
)
りをしないやうに、
其
(
そ
)
の
掛物
(
かけもの
)
へ
瑾
(
きず
)
を
附
(
つ
)
けるんだ。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
こんないとしい
吾身
(
わがみ
)
を、初めて見出したように、自分と弦之丞の姿とを、
偸
(
ぬす
)
みめにそッと見くらべたお綱の素ぶりには、あばずれた所などは
塵
(
ちり
)
ほども見えず、まったく
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或いは
土御門
(
つちみかど
)
の
三宝院
(
さんぽういん
)
へ資財を持運ばれた
由
(
よし
)
が、載せてございますが、いざそれが
吾身
(
わがみ
)
のことになって見ますれば、そぞろに昔のことも思い
出
(
い
)
でられて
洵
(
まこと
)
に感無量でございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
吾身
(
わがみ
)
ならぬ者は、
如何
(
いか
)
なる人も
皆
(
みな
)
可羨
(
うらやまし
)
く、朝夕の
雀鴉
(
すずめからす
)
、庭の木草に至る
迄
(
まで
)
、それぞれに
幸
(
さいはひ
)
ならぬは
無御座
(
ござなく
)
、世の光に遠き
囹圄
(
ひとや
)
に
繋
(
つなが
)
れ
候悪人
(
さふらふあくにん
)
にても、罪ゆり
候日
(
さふらふひ
)
の
楽
(
たのしみ
)
は
有之候
(
これありさふらふ
)
ものを
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大事な修業の身を
以
(
もっ
)
て銭の
為
(
た
)
めに時を費すは
勿体
(
もったい
)
ない、
吾身
(
わがみ
)
の為めには一刻千金の時である、金がなければ
唯
(
ただ
)
使わぬと覚悟を
定
(
き
)
めて、大阪に居る間とう/\一銭の金も借用したことなくして
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
常住の
吾身
(
わがみ
)
を観じ
悦
(
よろこ
)
べば、六尺の狭きもアドリエーナスの
大廟
(
たいびょう
)
と
異
(
こと
)
なる所あらず。成るが儘に成るとのみ覚悟せよ
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分に有理有利な口実があって、そして必勝
鏖殺
(
おうさつ
)
が期せるので無ければ、氏郷に対して公然と手を出すのは、勝っても負けても
吾身
(
わがみ
)
の破滅であるから為す
術
(
すべ
)
は無かった。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或ひは
土御門
(
つちみかど
)
の
三宝院
(
さんぽういん
)
へ資財を持運ばれた
由
(
よし
)
が、載せてございますが、いざそれが
吾身
(
わがみ
)
のことになつて見ますれば、そぞろに昔のことも思ひ
出
(
い
)
でられて
洵
(
まこと
)
に感無量でございます。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
顔を土足で
蹴附
(
けつ
)
けられた時、あゝ悪い事をしたと始めて夢の覚めたる如く心付きまして、段々
前々
(
ぜん/\
)
の悪事を思えば思う程、
吾身
(
わがみ
)
ながら如何なればこそ
斯
(
か
)
かる非道の行いを致したか
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
有効無
(
ありがひな
)
きこの
侵辱
(
はづかしめ
)
に
遭
(
あ
)
へる
吾身
(
わがみ
)
は
如何
(
いか
)
にせん、と満枝は無念の
遣
(
や
)
る方無さに色を変へながら、
些
(
ちと
)
も騒ぎ惑はずして、知りつつ
食
(
は
)
みし毒の
験
(
しるし
)
を耐へ忍びゐたらんやうに、得も
謂
(
いは
)
れず
窃
(
ひそか
)
に苦めり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
維新前後の
吾身
(
わがみ
)
の
挙動
(
きょどう
)
は一時の
権道
(
けんどう
)
なり、
権
(
か
)
りに
和議
(
わぎ
)
を講じて
円滑
(
えんかつ
)
に事を
纏
(
まと
)
めたるは、ただその時の
兵禍
(
へいか
)
を恐れて人民を
塗炭
(
とたん
)
に救わんが
為
(
た
)
めのみなれども、本来
立国
(
りっこく
)
の要は
瘠我慢
(
やせがまん
)
の一義に
在
(
あ
)
り
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
気が
咎
(
とが
)
めるとは、その上にこちらから済まぬ事をした場合に用いる。困るとなると、もう一層
上手
(
うわて
)
に出て、利害が直接に
吾身
(
わがみ
)
の上に
跳
(
は
)
ね返って来る時に使う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
嘘
(
うそ
)
だと思うなら、試験して見るがいい。
他人
(
ひと
)
を試験するなんて罪な事をしないで、まず
吾身
(
わがみ
)
で吾身を試験して見るがいい。坑夫にまで
零落
(
おちぶ
)
れないでも分る事だ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分から云えば、この坑夫共が社会に対する
恨
(
うら
)
みを、
吾身
(
わがみ
)
一人で引き受けた訳になる。銅山へ
這入
(
はい
)
るまでは、自分こそ社会に立てない
身体
(
からだ
)
だと思い詰めていた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黄金
(
おうごん
)
の
貴
(
たっと
)
きも知る。
木屑
(
きくず
)
のごとく取り扱わるる
吾身
(
わがみ
)
のはかなくて、浮世の苦しみの骨に食い入る
夕々
(
ゆうべゆうべ
)
を知る。下宿の
菜
(
さい
)
の憐れにして
芋
(
いも
)
ばかりなるはもとより知る。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、自分はたまらなくなったから、
後
(
うしろ
)
から初さんを呼び留めた。この声は普通の質問の声ではない。
吾身
(
わがみ
)
を思うの余り、命が口から飛び出したようなものである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
普通に知れ渡った因果の法則もこの通りであります。だからすべてこれらに存在の権利を与えないと
吾身
(
わがみ
)
が危ういのであります。わが身が危うければどんな無理な事でもしなければなりません。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吾
漢検準1級
部首:⼝
7画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“吾”で始まる語句
吾
吾人
吾家
吾々
吾妻橋
吾妻
吾儕
吾輩
吾子
吾等