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可哀相
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かわいそう
ふりがな文庫
“
可哀相
(
かわいそう
)” の例文
「うん、あいつも
可哀相
(
かわいそう
)
だけれども仕方がない。つまりこんなやくざな
兄貴
(
あにき
)
をもったのが不仕合せだと思って、
諦
(
あき
)
らめて貰うんだ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「永田の紙屋なんか
可哀相
(
かわいそう
)
なものさ。あの家は外から見ても、それは立派な普請だが、
親爺
(
おやじ
)
さん床柱を
撫
(
な
)
でてわいわい泣いたよ」
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
も近づけませんでしたの。ここで本ばかり読んでいましたの。冬の夜なんか
咳入
(
せきい
)
る声が私たちの方へも聞こえて、本当に
可哀相
(
かわいそう
)
でしたわ。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
嬰児が、二つ三つ、片口をきくようになると、
可哀相
(
かわいそう
)
に、いつどこで覚えたか、ママを呼んで、ごよごよちゃん、ごよちゃま。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは随分時間のない負担の重い生活をしていたので、
可哀相
(
かわいそう
)
だったが、彼女はそこから自分でグイと一突き抜け出ようとする気力や意識さえもっていなかった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
真白のおとなしそうな犬で、おどおどしながらも、
嬉
(
うれ
)
しそうにヒョコヒョコと森君の傍に寄って来た。見ると、
可哀相
(
かわいそう
)
にびっこを引いている。森君も直ぐ気がついた。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
一体日本の子供ほど
可哀相
(
かわいそう
)
なものはあるまいかと思う。我国には憲法があって、国民は自由である。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その人が人手を
借
(
か
)
らなくってはどうする事も出来ない、
可哀相
(
かわいそう
)
な人だもんだから、わたしはその人に世話をしてやって、その人のためには、わたしがいなくなっては
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
この謎を解いてやれ。そしてあのおやじに現れた若さと家霊の表現の意志を継いでやりなさい。それでなけりゃ、あんまりお前の家のものは
可哀相
(
かわいそう
)
だ。家そのものが可哀相だ
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あなたは労働者ですか、あなたが労働者だったら、私を
可哀相
(
かわいそう
)
だと思って、お返事下さい。
セメント樽の中の手紙
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
そう
一概
(
いちがい
)
なことも出来ないよ。この先一年もつか二年もつか知れないが、
俺
(
おれ
)
の寿命は
極
(
きま
)
っているのだし、そこへ持って来て母親までなくしては、あんまり子供が
可哀相
(
かわいそう
)
だからね。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「折角だがお任かせ出来ねえね。この向う
疵
(
きず
)
は承知しても
他
(
はた
)
の
奴等
(
やつら
)
が承知出来ねえ。
可哀相
(
かわいそう
)
と思うんなら早くあの小僧を
卸
(
おろ
)
してやっておくんなさい。
面
(
つら
)
を見ても
胸糞
(
むなくそ
)
が悪いから」
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
近在の人らしい両親に連れられた十歳くらいの水兵服の女の子が車に酔うて何度ももどしたりして苦しそうであるが、苦しいともいわずに大人しく我慢しているのが
可哀相
(
かわいそう
)
であった。
雨の上高地
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「ねえ、おばあさまって、何んだかお
可哀相
(
かわいそう
)
な気がするの。」
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
「そうか。
可哀相
(
かわいそう
)
な事をした。」
月世界競争探検
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
(ええ、旦那様は私が居なくっても
可
(
い
)
いけれど、千ちゃんは一所に居てあげないと死んでおしまいだから
可哀相
(
かわいそう
)
だもの。)
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まさか
冗談
(
じょうだん
)
に貰やしません。いくら僕だってそう
浮
(
ふわ
)
ついたところばかりから出来上ってるように解釈されちゃ
可哀相
(
かわいそう
)
だ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから妻は入院中の体験から死んでゆく人のうめき声も知っていた。それは、まるで
可哀相
(
かわいそう
)
な動物が夢でうなされているような声だ、と妻は云っていた。
美しき死の岸に
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
可哀相
(
かわいそう
)
な青年の額から、鼻の頭から、見る見る玉の
膏汗
(
あぶらあせ
)
がにじみ出して来た。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そしてこの魔力を持つ人間は、女をいとしみ従える事は出来る。しかし、恋に酔うことは出来ない。
憐
(
あわ
)
れなわが子よ。そしてそれを知っているのは母だけである。
可哀相
(
かわいそう
)
なむす子と、その母。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
入ると決まるとさすがに
可哀相
(
かわいそう
)
だった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「貸してくれってんだぜ、……きっと返すッてえに。……
可哀相
(
かわいそう
)
じゃないか、雪女になったなりで裸で居ら。この、お稲さんに着せるんだよ。」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可哀相
(
かわいそう
)
だのと云う私情は学問に忠実なる吾輩ごときものの口にすべきところでないと平気で云うのだろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さも欲し相に
覗
(
のぞ
)
いている装身具の類を見ても、「あれ、いいわねえ」などと、往来の
町家
(
ちょうか
)
の娘達の身なりを
羨望
(
せんぼう
)
する言葉を聞いても、
可哀相
(
かわいそう
)
に彼女のお里は、すぐに知れて了うのであった。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「そんなに考え過ぎても奥様やお子さんがお
可哀相
(
かわいそう
)
ね。」氏
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「君、君、その
異形
(
いぎょう
)
なのを空中へ
顕
(
あらわ
)
すと、
可哀相
(
かわいそう
)
に目を廻すよ。」と言いながら、一人が、下からまた
差覗
(
さしのぞ
)
いた。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
迷亭は銭に不自由はしないが、あんな偶然童子だから、寒月に
援
(
たす
)
けを与える
便宜
(
べんぎ
)
は
尠
(
すくな
)
かろう。して見ると
可哀相
(
かわいそう
)
なのは首縊りの力学を演説する先生ばかりとなる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
可哀相
(
かわいそう
)
な緑さんは、彼の巖乗な両手の中で、青くなってふるえていた。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
けれども余りに
痛
(
いたわ
)
しい。ひとえに獣にとお思いなすって、玉のごときそのお
身体
(
からだ
)
を、砕いて切っても
棄
(
す
)
てたいような
御容子
(
ごようす
)
が、余りお
可哀相
(
かわいそう
)
で見ておられん。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あなたは
父母
(
ふぼ
)
の
膝下
(
しっか
)
を離れると共に、すぐ天真の姿を
傷
(
きずつ
)
けられます。あなたは私よりも
可哀相
(
かわいそう
)
です
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母様
(
おっかさん
)
。だって、
大
(
おおき
)
いんだもの、そして三角
形
(
なり
)
の冠を被ていました。そうだけれども、王様だけれども、雨が降るからねえ、びしょぬれになって、
可哀相
(
かわいそう
)
だったよ。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可哀相
(
かわいそう
)
にヴァイオリンを買うのが悪い事じゃ、音楽学校の生徒はみんな罪人ですよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬鹿な人間は困っちまいます——
魚
(
うお
)
が
可哀相
(
かわいそう
)
でございますので……そうかと言って、
夜一夜
(
よっぴて
)
、立番をしてもおられません。旦那、お寒うございます。おしめなさいまし。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可哀相
(
かわいそう
)
に、いいえ、それでも、全く、貴下が戸をお叩き遊ばしたのは、
現
(
うつつ
)
でございましたの。」
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また何も働かずとも可いことを、五両
二人扶持
(
ににんぶち
)
らしいのが、あら、
可哀相
(
かわいそう
)
に、首が飛びます。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姉さんどうしたんだッてね、余り
可哀相
(
かわいそう
)
だから声を懸けてやりましたが、返事をしません。
疵処
(
きずしょ
)
にばかり気を取られて、もう
現
(
うつつ
)
なんだろうと思いました、
少
(
わか
)
いのに
疼々
(
いたいた
)
しい。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私が見ましてさえ、何ですか、いつも、もの
思
(
おもい
)
をして、うつらうつらとしていらっしゃるようじゃありませんか。誠にお
可哀相
(
かわいそう
)
な
様
(
よう
)
ですよ。ミリヤアドもそういいましたっけ。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こんな、お腹をして、
可哀相
(
かわいそう
)
に……と云うと、熱い
珠
(
たま
)
が、はらはらと私の
頸
(
くび
)
へ落ちた。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ね、だからそれが
記念
(
かたみ
)
なんだ。お君さん、
母様
(
おっかさん
)
の顔が見えたでしょう、見えたでしょう。一心におなんなさい、私がきっと
請合
(
うけあ
)
う、きっと見える。
可哀相
(
かわいそう
)
に、名、名も知らんのか。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
稲妻を浴びせたように……
可哀相
(
かわいそう
)
に……チョッいっそ二人で巡礼でも。……いやいや先生に誓った上は。——ええ、俺は困った。どうしよう。(倒るるがごとくベンチにうつむく。)
湯島の境内
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
烏瓜
(
からすうり
)
、夕顔などは分けても
知己
(
ちかづき
)
だろうのに、はじめて咲いた月見草の黄色な花が
可恐
(
こわ
)
いらしい……
可哀相
(
かわいそう
)
だから
植替
(
うえか
)
えようかと、言ううちに、四日めの夕暮頃から、
漸
(
や
)
っと出て来た。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
堂にお供物の赤飯でもありはしないか、とそう思って
覗
(
のぞ
)
いて、お前を見たんだ、女じゃ食われない、食いもしようが
可哀相
(
かわいそう
)
だ、といって笑うのが、まだ三十前、いいえ二十六七とも見える若い人。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引手繰
(
ひったく
)
るや否や、
肥
(
ふと
)
っているから、はだかった胸へ
腋
(
わき
)
の下まで
突込
(
つっこ
)
んだ、もじゃもじゃした胸毛も、
腋毛
(
わきげ
)
も、うつくしい、
情
(
なさけ
)
ない、浅間しい、
可哀相
(
かわいそう
)
な
婦
(
おんな
)
を
揉
(
も
)
みくたにして、
捻込
(
ねじこ
)
んだように見えて
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ちょいと、痛むかい。痛むだろうね、
可哀相
(
かわいそう
)
に。」
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
可哀相
(
かわいそう
)
に、お見せな。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
可
常用漢字
小5
部首:⼝
5画
哀
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“可哀”で始まる語句
可哀
可哀想
可哀気
可哀氣