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其物
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そのもの
ふりがな文庫
“
其物
(
そのもの
)” の例文
内山君
(
うちやまくん
)
足下
(
そくか
)
、
先
(
ま
)
づ
此位
(
このくらゐ
)
にして
置
(
お
)
かう。さて
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
くに
僕
(
ぼく
)
は
戀
(
こひ
)
其物
(
そのもの
)
に
隨喜
(
ずゐき
)
した。これは
失戀
(
しつれん
)
の
賜
(
たまもの
)
かも
知
(
し
)
れない。
明後日
(
みやうごにち
)
は
僕
(
ぼく
)
は
歸京
(
きゝやう
)
する。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
何でも芸術品は
誰
(
たれ
)
の作とも、どうして出来た作とも思わずに、作
其物
(
そのもの
)
とぴったり
打附
(
ぶっつ
)
かって、その時の感じを味いたいのです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
奮闘も差別も自然の法則であるといふ事を忘れた。美
其物
(
そのもの
)
も一種の「力」であり、又「力」の発現であるといふ事を忘れた。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
花を研究してその本性を明にするというは、自己の主観的臆断をすてて、花
其物
(
そのもの
)
の本性に一致するの意である。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
一
體
(
たい
)
この
規則
(
きそく
)
でさせる
事
(
こと
)
は
規則
(
きそく
)
其物
(
そのもの
)
の
存
(
そん
)
してゐる
間
(
あひだ
)
、
即
(
すなは
)
ち
規則
(
きそく
)
にはまつて
居
(
ゐ
)
る
間
(
あひだ
)
はよろしいが、
他日
(
たじつ
)
境遇
(
きやうぐう
)
が
變
(
か
)
はると、
一方
(
ひとかた
)
ならぬ
差支
(
さしつかへ
)
を
生
(
しやう
)
ずる
事
(
こと
)
がありませう。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
▼ もっと見る
苦痛
(
くつう
)
を
輕蔑
(
けいべつ
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は、
多數
(
たすう
)
の
人
(
ひと
)
に
取
(
と
)
つたならば、
即
(
すなは
)
ち
生活
(
せいくわつ
)
其物
(
そのもの
)
を
輕蔑
(
けいべつ
)
すると
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
になる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人には奇癖のあるものにて、
此
(
この
)
婦人
(
をんな
)
太
(
いた
)
く
蜘蛛
(
くも
)
を恐れ、蜘蛛といふ名を聞きてだに、絶叫するほどなりければ、
況
(
ま
)
して
其物
(
そのもの
)
を見る時は、顔の色さへ
蒼
(
あを
)
ざめて死せるが
如
(
ごと
)
くなりしとかや。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし又一方に於ては、山
其物
(
そのもの
)
が神として崇められたことも否めないであろう。
山の今昔
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
此邊
(
このへん
)
の
事
(
こと
)
は、
本國
(
ほんごく
)
でも
人
(
ひと
)
の
風評
(
うわさ
)
に
上
(
のぼ
)
り、
君
(
きみ
)
にも
幾分
(
いくぶん
)
の
御想像
(
ごさうぞう
)
は
付
(
つ
)
いたらうが、
果
(
はた
)
して
如何
(
いか
)
なる
發明
(
はつめい
)
であるかは、
其物
(
そのもの
)
の
全
(
まつた
)
く
竣成
(
しゆんせい
)
する
迄
(
まで
)
は、
誰
(
たれ
)
も
知
(
し
)
つて
居
(
を
)
る
者
(
もの
)
はない、
私
(
わたくし
)
は
外國
(
ぐわいこく
)
の
軍事探偵
(
ぐんじたんてい
)
や
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
かような
根本
(
こんぽん
)
の
相違
(
そうい
)
がある
上
(
うへ
)
に、
器械
(
きかい
)
は
大抵
(
たいてい
)
地面
(
ぢめん
)
其物
(
そのもの
)
の
震動
(
しんどう
)
を
觀測
(
かんそく
)
する
樣
(
よう
)
になつてゐるのに、
體驗
(
たいけん
)
を
以
(
もつ
)
て
測
(
はか
)
つてゐるのは
家屋
(
かおく
)
の
振動
(
しんどう
)
であることが
多
(
おほ
)
い、もし
其家屋
(
そのかおく
)
が
丈夫
(
じようぶ
)
な
木造
(
もくぞう
)
平家
(
ひらや
)
であるならば
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ロミオ
得
(
え
)
れば
時
(
とき
)
が
短
(
みじか
)
うなるが、
其物
(
そのもの
)
が
得
(
え
)
られぬゆゑ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
手
其物
(
そのもの
)
が光に包まれ
手
(新字新仮名)
/
今村恒夫
(著)
正義
其物
(
そのもの
)
も本来の意味から云へば平衡を得た「力」に過ぎないといふ事を忘れた。「力」の方が原始的で、正義の方は
却
(
かへつ
)
て
転来
(
てんらい
)
的であるといふ事も忘れた。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
勳章
(
くんしやう
)
だとか、
養老金
(
やうらうきん
)
だとか
云
(
い
)
ふものは、
徳義上
(
とくぎじやう
)
の
資格
(
しかく
)
や、
才能
(
さいのう
)
などに
報酬
(
はうしう
)
されるのではなく、一
般
(
ぱん
)
に
勤務
(
つとめ
)
其物
(
そのもの
)
に
對
(
たい
)
して
報酬
(
はうしう
)
されるので
有
(
あ
)
る。
然
(
しか
)
らば
何
(
なん
)
で
自分計
(
じぶんばか
)
り
報酬
(
はうしう
)
をされぬので
有
(
あ
)
らう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
此
(
この
)
状態は
半
(
なか
)
ば事件
其物
(
そのもの
)
の性質から出る事も
序
(
ついで
)
に注意したい。煤煙の主人公が
郷里
(
きやうり
)
へ帰つてから又東京へ引き返す迄に、遭遇したり回想したりする事件は、決して尋常のものではない。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し戦争
其物
(
そのもの
)
が面白くつて戦争をしたものが昔からあるだらうか。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それだつて、
只
(
たゞ
)
刺戟
(
しげき
)
の
方便
(
はうべん
)
として
讀
(
よ
)
む
丈
(
だけ
)
で、
道
(
みち
)
其物
(
そのもの
)
とは
無關係
(
むくわんけい
)
です
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“其物”で始まる語句
其物語
其物音