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傾
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かたむき
ふりがな文庫
“
傾
(
かたむき
)” の例文
また評論中にはひたすら重きを歌麿に置かんと欲せしが故か
動
(
やや
)
もすればその以前の画工
鳥居清長
(
とりいきよなが
)
鈴木春信
(
すずきはるのぶ
)
らを
軽
(
かろん
)
ぜんとする
傾
(
かたむき
)
あり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
魂これにむかひ、しかしてこれに傾けば、この
傾
(
かたむき
)
は即ち愛なり、樂しみによりて汝等の中に新たに結ばるゝ自然なり 二五—二七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
小生も何か差上度所存だけはとうから有之候えども身体やら心やらその他色々の事情のためつい故人に疎遠に相成るようの
傾
(
かたむき
)
、甚だ無申訳候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
これも兎角セルギウスに
怒
(
いかり
)
を起させる
傾
(
かたむき
)
があるので、セルギウスは不断恐しい誘惑の一つとして感じてゐたのである。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
生活の需要なんぞというものも、高まろうとしている
傾
(
かたむき
)
はいつまでも止まることはあるまい。そんなら工場の利益の幾分を職工に分けて遣れば好いか。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
この句が
俚耳
(
りじ
)
に入りやすいのも、全くこの思わせぶりのためで、俗人はこの種のえせ風流に随喜する
傾
(
かたむき
)
がある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
漢語でいうと
短髪種々
(
たんぱつしょうしょう
)
とでも形容したら好いのかも知れない。風が吹けば毛の方で一本一本に
靡
(
なび
)
く
傾
(
かたむき
)
があった。この頭は予備門へ這入っても黒くならなかった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
この
)
地方の山は割合に高度が低いので、谷は深く木立は繁っているにも
拘
(
かかわ
)
らず、人目を惹くことが少ない
許
(
ばか
)
りか、
反
(
かえっ
)
て
夫
(
それ
)
が為に人を遠ざからしめる
傾
(
かたむき
)
がないでもない。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それと共に唯継の
行
(
おこなひ
)
も
曩日
(
さきのひ
)
とは
漸
(
やうや
)
く変りて、
出遊
(
であそび
)
に
耽
(
ふけ
)
らんとする
傾
(
かたむき
)
も
出
(
い
)
で
来
(
き
)
しを、
浅瀬
(
あさせ
)
の
浪
(
なみ
)
と
見
(
み
)
し
間
(
ま
)
も無く近き頃より
俄
(
にはか
)
に
深陥
(
ふかはまり
)
して
浮
(
うか
)
るると知れたるを、宮は
猶
(
なほ
)
しも
措
(
お
)
きて咎めず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
利益や権力の慾火は
断
(
た
)
えず燃ゆるにしてもそれが世態
漸
(
ようや
)
く安固ならんとする
傾
(
かたむき
)
を示して来て、そうむやみに
修羅心
(
しゅらしん
)
に任せて
踠
(
もが
)
きまわることも無効ならんとする
勢
(
いきおい
)
の見ゆる時において
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
戦慄すべき、犯罪の天才、私は嫉妬に狂った、而かも肺結核という——
夫
(
そ
)
れは寧ろ患者の頭脳を病的にまで
明晰
(
めいせき
)
にする
傾
(
かたむき
)
のある所の——不治の
病
(
やまい
)
に
罹
(
かか
)
った、一人の暗い女を想像した。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若いに似合わず気持の奥底の知れない人だと言って敬遠する
傾
(
かたむき
)
がありました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
主人「それでは皮の白いのが黄身も白くって赤いのが赤い黄身だという訳かね」中川「イヤそうも
極
(
き
)
まらん。幾分かその
傾
(
かたむき
)
はあるようだけれども一定しておらん」主人「それでは玉子の
雌雄
(
めすおす
)
を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それから人麿は、第三句で小休止を置いて、第四句から起す手法の
傾
(
かたむき
)
を
有
(
も
)
っている。そこで、伊藤左千夫が、「かへり見すれば」を、「俳優の身振めいて」と評したのは稍見当の違った感がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
現下の問題を極めてよく例証する
傾
(
かたむき
)
があろう。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
実は独身であるが、
今日
(
こんにち
)
までの経験で、事実を云うと、いよいよ怪しまれる
傾
(
かたむき
)
があるので、三人と答えたのである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一月二十七日の読売新聞で日高未徹君は、余の国民記者に話した、コンラッドの小説は自然に重きをおき過ぎるの結果主客
顛倒
(
てんとう
)
の
傾
(
かたむき
)
があると云う所見を非難せられた。
コンラッドの描きたる自然について
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして又言語の実際には却て
遠
(
とおざ
)
かって居たような
傾
(
かたむき
)
もあったために、理知の判断からは言文一致と云うことを嫌わなかったものも感情上から之を悦ばなかったようの次第でありましたが
言語体の文章と浮雲
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「心なき身にもあはれはしられけり」とか、「その色としもなかりけり」とか、「花も紅葉もなかりけり」とかいう
三夕
(
さんせき
)
の
糟粕
(
そうはく
)
を
嘗
(
な
)
めぬまでも、多くは寂しいということに捉われ過ぎる
傾
(
かたむき
)
がある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
わが武を
尚
(
たふと
)
べる、わがはかなき草紙の裏に筆戰墨鬪の庭を設けたり。彼は積極なる教育の道を
履
(
ふ
)
めれば、陳列して審査せざる
傾
(
かたむき
)
あり。かるが故に世には早稻田文學を講義録のみなりといふものあり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし学校教育だけで社会教育のないものは、いくら年を取ってもその
傾
(
かたむき
)
があるだろうと答えた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自然主義時代の
仏蘭西
(
フランス
)
文学は自分にはかえって隅田川に対する空想を豊富ならしめた
傾
(
かたむき
)
がある。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
中味の内に生息している人間はそれほど形式に
拘泥
(
こうでい
)
しないし、また無理な形式を喜ばない
傾
(
かたむき
)
があるが、門外漢になると中味が分らなくってもとにかく形式だけは知りたがる
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ゾラの小説は人物の描写とかく外部よりする
傾
(
かたむき
)
を
憾
(
うら
)
みとす。フローベルが『マダム・ボワリー』。トルストイの『アンナ・カレニナ』。アナトール・フランスの『
紅百合
(
べにゆり
)
』。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
徒
(
いたずら
)
に形式修辞の末端に
拘泥
(
こうでい
)
する
傾
(
かたむき
)
があったので、これを祖述した徂徠の末派に至っては、正徳享保の盛時を過ぎて宝暦明和の頃に及ぶや早くも沈滞して、当初の
気魄
(
きはく
)
を失い
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然
(
しか
)
し
學校教育
(
がくかうけういく
)
丈
(
だけ
)
で
社會教育
(
しやくわいけういく
)
のないものは、いくら
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
つても
其
(
その
)
傾
(
かたむき
)
があるだらうと
答
(
こた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
(一) 歴史の研究によって、自家を律せんとすると、相当の
根拠
(
こんきょ
)
を見出す前に、現在すなわち新という事と、価値という事を同一視する
傾
(
かたむき
)
が生じやすくはないかと思われます。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
脚色の波瀾と人物の活動とを主とする
傾
(
かたむき
)
が早くも一つの類型をなしているようになった。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕が彼らの眼にいかに
憐
(
あわ
)
れむべく映じていたかは、遠き前から僕の見抜いていたところと、ちっとも変化を来さないばかりか、近頃になってますますその
傾
(
かたむき
)
が著るしくなるように思われた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
孤独を嘆ずる
寂寥
(
せきりょう
)
悲哀の
思
(
おもい
)
はかえって尽きせぬ詩興の泉となっていたからである。わたしは好んで寂寥を追い悲愁を求めんとする
傾
(
かたむき
)
さえあった。忘れもせぬ
或
(
ある
)
年……やはり二百二十日の頃であった。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
妄
(
みだ
)
りに理想界の出来事を
点綴
(
てんてつ
)
したような
傾
(
かたむき
)
があるかも知れない。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
傾
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
“傾”を含む語句
傾斜
引傾
傾向
傾覆
傾城買
傾斜地
男傾城
傾城
打傾
傾聴
傾注
傾城遊女
緩傾斜
傾倒
傾斜面
傾蓋
傾城町
傾国
笑傾
傾聽
...